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数日後、馬車の窓からアルヴヘイムの外壁が見えてきた。このペースだと明日にはアルヴヘイムに着くだろう。
「主よ、魔物の気配を感じる。結構な数じゃぞ」
少し離れたところで、魔物が群れを成して、こっちにやってくる。
「ブラックピューマか。別に大したことじゃない魔物だ」
「我の魔法で一網打尽にしてやろう」
「だめだ、ここは人里近い。あまり目立つマネはしたくない」
「むぅ、しょうがないのう」
「あいつらはできるだけ目立たない方法で討伐する」
俺は馬車の窓から身を乗り出し、右手を前に突き出す。
「【大顎】!」
地面に巨大な顎が出現し、魔物の群れを喰らっていく。ブラックピューマは抵抗虚しく全滅したのだった。
「これでいいだろ」
そう言って馬車に戻ろうとすると、アリアが真っ青になっていた。
「少々……派手すぎではないでしょうか?」
「そうか? 俺の持ってるスキルの中で一番地味なやつを選んだつもりだったんだが……」
「……十分目立ってたと思いますけど?」
「それより早く出発しよう」
俺たちは馬車を再び走らせ、アルヴヘイムへと向かうのだった……
「また魔物の大群じゃ」
「え、また……?」
窓から様子を見る。少し先には角の生えた魔物が群れをなしているのが見えた。
「ワイルドガゼルか。ブラックピューマよりかはマシだな」
ワイルドガゼルの群れがこちらに押し寄せてくる。今度は地味な方法で討伐することにしよう。
「【鉄鋲】!」
地面に無数の鋲が出現し、ワイルドガゼルの体を突き刺す。そのまま絶命していく魔物たちを見ながら呟いた。
「これなら目立たないはずだ」
「……」
アリアは言葉を失っていたようだが気にしないことにする。これで無事にアルヴヘイムに着きそうだと思ったのだが、そう簡単にはいかなかったようだ……
「今度はアイアンライノスの群れじゃ!」
「……はぁ」
思わずため息が出る。どうしてこうもトラブルに巻き込まれるのだろうか? まあ仕方ないかと思いつつ馬車を降りて戦闘態勢に入った。
「スキルを使うと目立つから剣で戦うぞ」
俺は異空間から剣を取り出し、アイアンライノスの群れに突っ込んでいく。
ズバッ!
流れるような動きで、次々とライノスを切り刻んでいく。
「これで最後っと」
最後の一匹を仕留めると、アリアが駆け寄ってきた。
「すごいです! あんなに簡単に倒すなんて!」
目を輝かせながら褒めてくれる彼女に照れてしまう。
「解せぬな」
「なにがだ?」
「先ほどの大量の魔物どもじゃ。なぜ同じ方向から押し寄せてきたんじゃ?」
言われてみれば、確かにおかしい。まるで何かから逃げたきたようだ。
「我の感知では、何かに怯えてるような魔力の波長を出していたが……」
「ということはものすごく強い魔物がいて、怯えてたってことか?」
「ありえんな。この周囲に脅威となるような魔力は感知しておらん」
「じゃあ、あの魔物の大群は何に怯えていたんだ?」
「それが分かれば苦労せんわ!」
「とりあえず先を急ぐか」
結局考えても分からないので、俺たちはアルヴヘイムに向けて馬車を走らせることにした。
「主よ、魔物の気配を感じる。結構な数じゃぞ」
少し離れたところで、魔物が群れを成して、こっちにやってくる。
「ブラックピューマか。別に大したことじゃない魔物だ」
「我の魔法で一網打尽にしてやろう」
「だめだ、ここは人里近い。あまり目立つマネはしたくない」
「むぅ、しょうがないのう」
「あいつらはできるだけ目立たない方法で討伐する」
俺は馬車の窓から身を乗り出し、右手を前に突き出す。
「【大顎】!」
地面に巨大な顎が出現し、魔物の群れを喰らっていく。ブラックピューマは抵抗虚しく全滅したのだった。
「これでいいだろ」
そう言って馬車に戻ろうとすると、アリアが真っ青になっていた。
「少々……派手すぎではないでしょうか?」
「そうか? 俺の持ってるスキルの中で一番地味なやつを選んだつもりだったんだが……」
「……十分目立ってたと思いますけど?」
「それより早く出発しよう」
俺たちは馬車を再び走らせ、アルヴヘイムへと向かうのだった……
「また魔物の大群じゃ」
「え、また……?」
窓から様子を見る。少し先には角の生えた魔物が群れをなしているのが見えた。
「ワイルドガゼルか。ブラックピューマよりかはマシだな」
ワイルドガゼルの群れがこちらに押し寄せてくる。今度は地味な方法で討伐することにしよう。
「【鉄鋲】!」
地面に無数の鋲が出現し、ワイルドガゼルの体を突き刺す。そのまま絶命していく魔物たちを見ながら呟いた。
「これなら目立たないはずだ」
「……」
アリアは言葉を失っていたようだが気にしないことにする。これで無事にアルヴヘイムに着きそうだと思ったのだが、そう簡単にはいかなかったようだ……
「今度はアイアンライノスの群れじゃ!」
「……はぁ」
思わずため息が出る。どうしてこうもトラブルに巻き込まれるのだろうか? まあ仕方ないかと思いつつ馬車を降りて戦闘態勢に入った。
「スキルを使うと目立つから剣で戦うぞ」
俺は異空間から剣を取り出し、アイアンライノスの群れに突っ込んでいく。
ズバッ!
流れるような動きで、次々とライノスを切り刻んでいく。
「これで最後っと」
最後の一匹を仕留めると、アリアが駆け寄ってきた。
「すごいです! あんなに簡単に倒すなんて!」
目を輝かせながら褒めてくれる彼女に照れてしまう。
「解せぬな」
「なにがだ?」
「先ほどの大量の魔物どもじゃ。なぜ同じ方向から押し寄せてきたんじゃ?」
言われてみれば、確かにおかしい。まるで何かから逃げたきたようだ。
「我の感知では、何かに怯えてるような魔力の波長を出していたが……」
「ということはものすごく強い魔物がいて、怯えてたってことか?」
「ありえんな。この周囲に脅威となるような魔力は感知しておらん」
「じゃあ、あの魔物の大群は何に怯えていたんだ?」
「それが分かれば苦労せんわ!」
「とりあえず先を急ぐか」
結局考えても分からないので、俺たちはアルヴヘイムに向けて馬車を走らせることにした。
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