俺だけレベルアップできる件～ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座してももう遅い〜

12

数日後、王都でお祭りが開かれた。お祭りでは様々な出店が並び、人々は楽しそうに過ごしている。


「カイトさん！ 見てください！」


フィーナが駆けてきた。彼女は可愛らしい浴衣を着ている。どうやら獣人族の民族衣装のようだ。


「どうですか？ 似合いますか？」


フィーナは恥ずかしそうに言う。俺は素直に褒めることにした。


「ああ、似合っているよ」


「本当ですか！？ 嬉しいです！」


フィーナは嬉しそうな表情を浮かべると、飛び跳ねるように喜んでいた。その姿はとても可愛らしく、思わず見惚れてしまう。


「おーい！ カイトくん！」


そこにセレナがやってきた。彼女もまた、綺麗な浴衣を着ている。


「どうですか？」


「可愛いよ」


「えへへ……ありがとうございます」


セレナは照れたように微笑むと、俺の腕に手を絡めてきた。柔らかな感触が伝わってくる。思わずドキッとした。


「な、何をしているのですか！？」


フィーナが慌てた様子で声を上げる。セレナは悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「あら？ 嫉妬かしら？」


「そ、そういうわけではありませんけど……」


フィーナは頰を膨らませて拗ねる。そんな二人のやり取りを見ていると微笑ましい気持ちになった。


（美少女二人に囲まれて幸せだなぁ……）


そんなことを考えていると、ガラの悪い男たちに絡まれている一人の少女を見つけた。少女は怯えるように縮こまっている。


「俺たちと遊ぼうぜ」


どうやらチンピラたちが少女に絡んでいるようだ。俺はため息をつくと、少女たちを守るようにして前に出た。


「あ？ なんだテメェ？」


チンピラの一人がガンを飛ばして来る。俺はそれを軽く受け流して言った。


「嫌がっているじゃないか。やめてやれよ」


「ああ？ 関係ない奴は引っ込んでろ！」


男たちが襲いかかってくる。やれやれ、穏便に済ませたかったんだが仕方がないな。

俺は男たちを軽くあしらった。すると、男たちは慌てて逃げ出す。


「覚えてろよ！」


ベタな捨て台詞を吐いて逃げていった。やれやれ、雑魚すぎるだろ……。


「大丈夫かい？」


俺が声をかけると、少女はビクッと身体を震わせた。そして恐る恐るといった様子でこちらを見上げる。その耳は猫耳だった。年齢は12歳くらいに見えるが、顔は童顔なのでもう少し下かもしれない。髪はふわふわした金髪で、瞳の色は綺麗な青色だ。服装は浴衣に似た服を着ている。


「あ、ありがとうございます……」


少女は小さな声でお礼を言った。よく見ると頰に引っ掻き傷があることに気づく。


「怪我をしているじゃないか」


俺は少女を抱き寄せると、治癒魔法を使った。傷を治すと、腕の拘束を解く。


「これでよしっと」


「あ……えっと……」


少女は戸惑っている様子だったが、すぐに笑顔になった。そしてそのまま抱きついてくる。俺はドキッとしたが、なんとか平静を保った。


「あ、あの！ お名前を教えていただけませんか？」


少女は目を輝かせながら言う。俺は少し迷ったが、素直に答えることにした。


「カイトだ」


「カイトさん……素敵なお名前ですね……」


少女は嬉しそうに微笑むと、上目遣いで見つめてきた。その瞳には熱がこもっているように見える。


「じゃあ、私は行きますね……」


少女は名残惜しそうに離れると、走り去っていった。俺は呆然としながら、その後ろ姿を見送るのだった……。


「カイトさん！ 大丈夫ですか？」


フィーナが心配そうに声をかけてきた。俺は我に返ると、笑顔を浮かべて答えた。


「ああ、大丈夫だよ」


「カイトさんは本当にお人好しですね……」


フィーナは呆れたような表情を浮かべると、ため息をつく。


「それがカイトさんの魅力だと分かってはいるんですけど……」


「心配かけて悪かったな」


俺はフィーナの頭を優しく撫でてやった。彼女は気持ち良さそうに目を細める。


（なんだか猫みたいだな……）


俺はそんなことを考えながら、しばらく彼女の頭を撫で続けたのだった……。