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通勤ラッシュ
残り10分-2
しおりを挟む身分不相応にもすっかり恋い焦がれてしまっているイケメンディレクター、彼の名は紺屋 祐樹(28歳)隣のCM部門のディレクターで業界では最近ちょっと引っ張りだこの売れっ子ADなのだった。手がけるCMのジャンルは多岐にわたるけど彼の創る映像はどれも色鮮やかで華やかで・・女優さんの魅力を引き出すのがとにかく上手く、業界では映像の魔術師・・なんて呼ばれてたりするスーパーディレクター。しかもご本人も容姿端麗、整った顔立ちはモデル顔負けのクールなかっこよさ。少し太めの眉が誠実そうで実に好みである。身長は、多分180㎝近くはあるのかなぁ。たぶん絶対彼女とか居そうだけど、とにかく恐ろしいほどの仕事の鬼。すごい作業スピードで黙々とこなしてくクールな姿に憧れを持ってる女性社員はきっと私だけじゃないはずだ。
よく帰宅しないで泊まり込み作業をすることも多いらしい彼の事をふんわりと思い浮かべながら、車内の人間サンドイッチ状態が辛く、ほぅ・・っと小さなため息が漏れた。
ガタンッ!!
電車がカーブに差し掛かったタイミングで大きく車両が揺れる。すし詰め状態の車内では大きく転ぶようなこともないけど、なんの防御態勢も取れずさらに上半身が反り返って後ろによっかかってしまう形になってしまった。
右肩にかけていたショルダーバッグは今や手の先で人と人のお尻の間に挟まってびくともしない。これは手を離したら最後次の駅で踏み潰されて蹴飛ばされるコース・・とおもい右手をしっかりと握りしめる。
左手は前の人の後頭部が顔面にぶつかるのを防ぐため肘を曲げて自分の顔の前に置いていた。
(なんなのもう、満員電車には慣れてるけど今日はその中でも最悪の部類だ。こんな身を任せっきりのような体制で後10分もだなんて、なんとかギリギリ踏ん張ってる足がもたない。)
そう思いながらうつむき加減でなるべく足に力を入れようと耐えていたら、ふと一瞬、何かいつもとは違う違和感を背後に感じた。
(ん・・?なんだろう今の)
あまり気にならなかったものの、何となく普段とは違う気配を感じ意識が背中に集中する。
すると、グッっといきなりお尻を鷲掴みにされる感覚にびっくりして思わず身体が硬直してしまった。
(えっ!?!?ちょ、ちょっとまって…!!なにこれ!?!?!?)
突然の事に一緒頭が真っ白になってしまってなにも考えられなかった。確かにこの混み具合、痴漢には今までだって何度か出会ったことはあったけど、普段はどうにか移動したり肘鉄を食らわせたりして上手いこと対処してたのだ。
でも今日はよりによって完璧無防備なこの体勢…言うならば痴漢の上に寝っ転がり、さぁどうぞと言わんばかりに差し出されたエサである。
私がびっくりして放心していた間に、いつの間にか後ろの誰かはしっかりと脚を私の股の間に差し込んできていた。背後から伸びる得体の知れない右手はPコートのスリットから手を差し込んだのか、カーディガンの上から横腹をさわりさわりと感触を楽しむように撫でている。
よく帰宅しないで泊まり込み作業をすることも多いらしい彼の事をふんわりと思い浮かべながら、車内の人間サンドイッチ状態が辛く、ほぅ・・っと小さなため息が漏れた。
ガタンッ!!
電車がカーブに差し掛かったタイミングで大きく車両が揺れる。すし詰め状態の車内では大きく転ぶようなこともないけど、なんの防御態勢も取れずさらに上半身が反り返って後ろによっかかってしまう形になってしまった。
右肩にかけていたショルダーバッグは今や手の先で人と人のお尻の間に挟まってびくともしない。これは手を離したら最後次の駅で踏み潰されて蹴飛ばされるコース・・とおもい右手をしっかりと握りしめる。
左手は前の人の後頭部が顔面にぶつかるのを防ぐため肘を曲げて自分の顔の前に置いていた。
(なんなのもう、満員電車には慣れてるけど今日はその中でも最悪の部類だ。こんな身を任せっきりのような体制で後10分もだなんて、なんとかギリギリ踏ん張ってる足がもたない。)
そう思いながらうつむき加減でなるべく足に力を入れようと耐えていたら、ふと一瞬、何かいつもとは違う違和感を背後に感じた。
(ん・・?なんだろう今の)
あまり気にならなかったものの、何となく普段とは違う気配を感じ意識が背中に集中する。
すると、グッっといきなりお尻を鷲掴みにされる感覚にびっくりして思わず身体が硬直してしまった。
(えっ!?!?ちょ、ちょっとまって…!!なにこれ!?!?!?)
突然の事に一緒頭が真っ白になってしまってなにも考えられなかった。確かにこの混み具合、痴漢には今までだって何度か出会ったことはあったけど、普段はどうにか移動したり肘鉄を食らわせたりして上手いこと対処してたのだ。
でも今日はよりによって完璧無防備なこの体勢…言うならば痴漢の上に寝っ転がり、さぁどうぞと言わんばかりに差し出されたエサである。
私がびっくりして放心していた間に、いつの間にか後ろの誰かはしっかりと脚を私の股の間に差し込んできていた。背後から伸びる得体の知れない右手はPコートのスリットから手を差し込んだのか、カーディガンの上から横腹をさわりさわりと感触を楽しむように撫でている。
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