副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜

有明波音

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酔っ払いと本音 -飛鳥side-

1.

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自宅マンションに戻ると、澪はローストビーフの下ごしらえを始めた。無意識に鼻歌を歌っていて、可愛いなと思ってしまう。

昔から澪のことは特別な存在だったが、一緒に過ごすほどに愛おしさが増していた。

下ごしらえをしている澪を見ていたくて、リビングのソファに座りながら、仕事の資料に目を通しているフリをしている俺はやっぱりヤバい奴なのだろうか。

とはいえ、澪が俺に対して、多少苦手意識があったことも事実だ。少しは心を開いてくれているかもしれないが、まだ油断してはいけない。
そう、なかなか踏み込めずにいた。
 

「飛鳥さん、下ごしらえ終わりました。あとは冷蔵庫で寝かせるだけです」

「そうか、ありがとう。早速、映画見るか?」

「はい、そうですね。1時間以上はお肉を寝かせたいので、映画1本は見れちゃいそうです」

「そうだな。何か見ようか」

 
そう言うと、澪はミックスナッツやチーズ、クラッカーなどおつまみを載せたお皿を持ってきた。そして、ワインも。

 
「お家で映画鑑賞といえば、これですよね」

「お、準備ばっちりだな。ありがとう」

 
せっかくなら、もっと澪と近づきたい。そう思って、澪に手招きする。


「澪、こっち来て」

「え?」

「ここ」
 

そう指を指したのは、自分の膝の上だ。それを見た澪は真っ赤になって、顔を隠そうとしている。でも全然隠れていないので、ただ可愛いだけだ。


「はい…座りますね?」

澪が俺の膝の上に座る。こちらに背を向けているので表情までは見えないが、耳は真っ赤になっている。澪の髪を触ると、ピクッと反応した。


(あーやばい、俺のアソコ大丈夫かな…)

 
自分から膝に座らせておいて、若干後悔し始めていた。澪の匂いと、いちいち可愛い反応に、俺のアソコが反応してしまいそうだった。


(まずい、落ち着けないと……)


ひとまず映画をつけると、お互い真剣に見始めた。この後ローストビーフもあるので、おつまみやワインもほどほどに抑えた。

 
「この映画も最初はカオスでしたけど、最後はちゃんとしまりましたね」

「あぁ、毎回展開が全く読めないから、ハラハラするよな」

「あ、ローストビーフもちょうど良い頃合いなので、晩御飯にしちゃいましょうか」

 
そう言って、澪はローストビーフを冷蔵庫から出し、カットしていく。
 
その他にも、春キャベツとポテトのサラダや、トマトと豆のスープ、クリームパスタまで並べていった。こんなに用意してくれていたのか。


「悪い、こんなに用意させて。次はちゃんと俺も手伝う」

「あぁ、大丈夫ですよ。私、料理、結構好きなんですよね。ありがとうございます」


そう言ってニコニコしながら「さぁ召し上がれ」と言う。こういう澪を見ても、俺は「お母さんっぽい」とは一度も思ったことがない。
今まで澪と付き合ってきた男は、澪の何を見ていたんだろう?


「いただきます」


早速、ローストビーフからいただく。しっかり味が染みていて、とても美味しい。
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