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私と彼の悪役令嬢計画
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「ロナルド・フェイユはコゼット・ウェンデルとの婚約を破棄する!!!」
白銀の髪に、澄み切っているはずのアクアマリンの宝石眼を、憎悪で濁らせた青年が声を荒あげる。
本来、この場は学園の卒業パーティーで賑やかであるはずだった。だったとは、見ての通りぶち壊した者が現れたから。
その呆れた張本人こそ、私の目の前にいる人だ。
パーティー会場の真ん中にいる彼の声は、何事かと思った出席者の視線を集めながらも静まり返った室内に響き渡る。
「あらロナルド王太子殿下、本当によろしいのですか?」
私は口元を扇で隠しながらもゆったりと微笑み、彼を挑発するかのように余裕のある声を出す。
「よろしいのか、だって? 何の戯言を。貴様みたいな嫉妬の塊の悪女は、私の婚約者にふさわしくない!!! 私に相応しいのは女神のように慈愛に満ちて誰にでも優しいユリアだ」
そう言ってロナルド殿下が抱き締めたのはユリアと呼ばれた少女。
淡い光沢のあるドレスに身を包み、プラチナブロンドの柔らかそうな髪にぷっくりとした唇。大きなヴァイオレットの瞳は溢れんばかりの涙を溜めて、子息達の庇護欲をそそるその容貌は悲劇のヒロインだ。
だが、彼女は学園の令嬢方の間では嫌われ者だった。
ユリア様はグレゴリー伯爵の隠し子として、今年の春から私達と同じ第三学年に転入して来た。
するとすぐに彼女は婚約者がいる子息にもベッタリとくっつきに行き、愚かな子息は彼女に堕ちて取り巻きになってしまったからだ。
その中には私の婚約者であるロナルド殿下も含まれる。彼は初日にあっさりと彼女に堕ちてしまった。
彼女に堕ちた子息達はタチの悪いことにそれでは終わらず、私がユリア様を苛めたと言う始末。
何故そんなデマをギャーギャー言うのかと調べると、ユリア様が子息達に泣きついていることが発覚した。
分かった当初はいくら何でもやりすぎでは? と思ってしまった次第。
そんな彼女に婚約者を取られた令嬢達は数知れず、憎々しげにユリア様のことを今も見ている。
その視線は恐らく、彼女達の愚かな婚約者であるユリア様の取り巻き達にも注がれているが……彼等は気付いていないだろう。
「誰が悪女ですって? 御名前をお出し下さいませ」
いつものように笑顔の仮面を被って一歩、ロナルド殿下との距離を詰める。
こうなるように動いてはいたが、本当に公の場で婚約破棄を言い渡す愚かさには呆れてものも言えない。
周りの者も大方何が始まったのか察したようで、遠巻きにこちらを面白そうに見ている。
「貴様、分かって言ってるだろ!! お前の事だ! コゼット・ウェンデル!」
「そうです! コゼット様、シラを切るのは止めてください!」
「ユリア様、口を挟まないで頂きたいです。私が尋ねたのは王太子殿下でございます。加えて、ユリア様の家格は伯爵家であり、公爵家である私よりも家格は圧倒的に下。よって上の者の話に割ってはいるのは無礼ですわ」
貴族としてのマナー違反を窘めると彼女はポロリ、と見ていた者からしたら白々しい涙を零した。
「……酷いですっ! 私はコゼット様が嘘をつくから真実を話して頂こうと思ってお伝えしたのに!」
「そうだ! ユリアはこの通り悪女である貴様にも罪を償う機会を与えるようにする心優しい令嬢なのだぞ! それを貴様は!」
いつの間にか集まってきたユリア様の取り巻き達がこぞって私を罵るのを、王妃教育で培ってきた笑みではじき返す。
これで私が取り乱すとは思わないで頂きたい。
何年、王妃教育の中でどんな環境下でも相手に弱みを見せないように、罵倒や罵声に耐える訓練をしてきたか彼は知らないだろう。
だってロナルド殿下は私のことを疎ましく、嫌っているから。
私は殿下の婚約者に選ばれた日から今日まで、王太子妃として恥じないように立ち回り、スキルを身につけてきた。
そのおかげで秀才、素晴らしい、令嬢の手本、と呼ばれるようになったがそれは努力の塊なのだ。産まれた時から天才でいる人物なのは、ほんのひと握りしかいないのだから。
それに対してロナルド殿下本人はあまり優秀ではなく、彼はプライドが高くて自分より優秀な人を認めたがらない。
それなのに、努力をして周りを見返そうとする気持ちもなかったことから、人として、王太子として、ダメな人になってしまった。
このままではいけないと、婚約者として何度忠告してもうるさい者として扱われ、無視される始末。
花瓶の水をかけられた時は相手が王太子であるとしても反抗してやろうかと思ってしまった。
それなのに、嫉妬の塊?
馬鹿馬鹿しい。申し訳ないが、王太子殿下に恋情等抱いたことがあるはずも無いのに嫉妬し、挙句の果てにほかの令嬢に危害を加えるなんてする訳が無い。
「私はユリア様に何かをした覚えはございません」
「嘘だユリアを階段から突き落としだろう!? ほら、これが証拠だ」
証拠も何も私はやってないのだからあるはずも無い。偉そうに、ふんぞり返って、ロナルド殿下が証拠だとして私に見せてきたのは、ユリア様の手首にでき痛々しいアザだった。
それを見て、少し眉をひそめる。
「ユリア様、どこかでお怪我でもしたのですか? 私、腕のいいお医者様知っていますのでご紹介致しましょう」
「白々しい。貴様が突き落としたんだ」
何かした覚えはないと言っているのにこの馬鹿王太子は人の話を聞かないんだから。
「私はユリア様を突き落としていません。誰かの見間違えでは?」
「ユリアが言っているのだから事実だ! 被害者が話しているのだぞ!?」
何を馬鹿なことを……被害者の言質とはそこまで証拠にはならない。誰かほかの人が見た場合や、客観的な証拠となる物的証拠がなければ意味が無いのだ。
「何を言っても私を悪役に仕立てあげたいようですのでもういいですわ。殿下は私との婚約を破棄したいのですね? どうぞこの場で婚約破棄を」
「自分の罪だと認めたか。いいだろう婚約破棄をしてやる」
何故か偉そうにしながらロナルド殿下は自身の左手につけていた指輪を外すのを見て、私もつけていたアクアマリンの宝石が付いた指輪を外す。
この国の王族の婚約は双方の同意の元、指輪に向かって指定された言葉を交えると結べる。破棄に関しても同じで、指定の言葉を交えると破棄が出来る。
指輪についている宝石は相手の瞳を表しており、婚約破棄をすると色を失う。
「ロナルド・フェイユはコゼット・ウェンデルとの婚約破棄を望む!!!」
「コゼット・ウェンデルはロナルド・フェイユ王太子殿下の婚約破棄を承ります」
殿下に続いて指定された言葉を紡ぐと指輪の宝石は急速に色を喪失し、透明に戻った。
「ユリア! これで婚約を結べるぞ! ほら、直ぐに結ぼう!」
すぐさまロナルド殿下は私が着けていた指輪と同じ物をユリア様に渡すが、受け取ったユリア様の表情は芳しくない。
その間に私は色を失ったのをシャンデリアの光にあてて確認する。
ロナルド殿下との婚約は破棄された。これでやっと……仕掛けが……!
笑いだしそうなのを我慢して、浮かれている殿下を突き落とす為に口を開く。
「婚約を結べるのは貴方が両想いだった場合ですけど」
「どういうことだ?」
小首を傾げ、頭に疑問を浮かべているであろうロナルドに対してコゼットは口元に先程とは違う笑みを浮かべた。
「ねえユリアーナ、もういいわ今までお疲れ様。こちらに来なさい」
「ここにいるのはユリアだぞ?ユリアーナという名前の者はいない」
何が何だか理解していないロナルドをコゼットは完全に無視して、彼の隣にいるユリアに話しかけた。
「はい、コゼットお嬢様」
令嬢は満面の笑みを浮かべ、取り巻きとロナルドはポカンと口を開ける。
「ユリア?」
「騙していてごめんなさい。ロナルド元王太子殿下、私の名前はユリア・グレゴリーではございませんし、グレゴリー伯爵家の隠し子でもありません。本来の名前は、ユリアーナ・リスティです」
ユリアーナはそう言葉を紡ぐと、ロナルドの腕から手を外し、軽々しい足取りでコゼットの元へと歩み、頭を下げた。
その姿に先程の面影は全くない。
「ユリアーナ、一年間ありがとう。大変な役を演じてくれて助かったわ」
「コゼットお嬢様のためにこの身が役に立ったならば光栄です」
「ちょっと待てっ! ユリアがユリアーナ? それに私は元王太子では無い。王太子だ!」
コゼットは、はっと鼻で笑う。
「私との婚約を破棄した時点で殿下は王位継承権を剥奪されますので元王太子ですわ。貴方が王太子の地位にいられたのは私と婚約していたから。それと、貴方と一緒にいたユリアは私の侍女であるユリアーナです」
早口に捲し立てると、ロナルドは唖然としたので心の中で思う存分嘲笑う。いい気味だ。
陛下と王妃様はこの件を既にご存知だ。
お二人からは今まで息子が迷惑をかけたから、卒業パーティで婚約破棄を言い渡してきたら好きなようにしていいぞ。とお言葉を頂いている。
だから……容赦はしない。何をしたって彼はもう王太子に戻れないのだから。
「な……に……? 貴様! 騙していていたとは卑怯な! えぇい衛兵! こやつを捕らえろ」
いきなり大声を出して、命令するが誰も動かない。
それもそのはず。先程言ったように私との婚約を破棄した時点で彼は王太子ではなく、貴族の身分でもない平民だ。
平民の命令に衛兵が動くはずがない。
「この日をどんなに待ちわびていたか……ロナルド元王太子殿下には分からないでしょう」
長年の我慢から解放されて歓喜の状態である私は、満面の笑みを浮かべ、また一歩、彼に近づく。
「私は貴方から受けてきた誹謗中傷を笑顔でかわしてきました。加えて王太子の立場が危ぶまれる行動を何度も窘めて来ましたが、ロナルド元王太子殿下は耳に入れてくれませんでしたよね」
「それがどうした! 私は王太子なのだから貴様の話なんて聞かなくていいんだ!」
「貴方は私が忠告しても聞く耳を持たなかったので、ユリアーナの騙しに騙されるか騙されないかがあなたが王太子の座にいられるラストチャンスだったのです。ですが貴方は見事にユリアーナに騙されました。終わりなのですよ」
ふふっと笑いながら、扇を素早くロナルドの首筋に当てると、ロナルドは蛇に睨まれた蛙のように青ざめた。
それはまるで死刑を宣告された咎人のようだ。
青ざめたところでもう遅い。私は何度も忠告をしたのだから自業自得。
「あぁそれと、元王太子殿下のようにユリアーナの演技に騙された子息の皆様」
首筋に扇を当てたまま、ロナルドの後ろに怯えて塊になっている子息達に話しかける。
彼らはビクリと肩を震わせた。
「貴方達も婚約破棄の後にそれぞれの家から勘当されますのでご準備を。と言っても準備なんて何もありません。強いて言うなら、縁を切られる覚悟……? でしょうか」
「……え?」
「婚約していた令嬢方と貴方達の御家族が忠告していたはずです。最終学年が始まる時にこれから先、婚約者を蔑ろにした場合はそれ相応の報いを受けることになる。と」
子息たちは思い出し、青ざめる。
「まさか……」
この婚約破棄騒動。実は私がロナルドの事で悩んでいた際、「愚息に悩むのは私も同じだ。このままだとロナルドに王位を渡せぬ。ならば最後に息子を試してみよう」と陛下が提案してくださった仕掛けなのだ。
だから当初はロナルドだけに対する策を練っていたのだが、他の令嬢達も婚約者に不満を持っていたようで相手を試したいと話に乗ってきた。
陛下にそれをお伝えすると了承してくださったので、そのまま他の婚約者も巻き込むことになった。
仕掛けというのは、最終学年の始業式から卒業式までの期間、グレゴリー伯爵家の隠し子(仮)である私の侍女ユリアーナが転入してきてターゲットの子息に接近する。
そして、子息たちが好む典型的な可愛らしい令嬢を演じてもらい、子息たちが堕ちるか堕ちないか、それに伴って婚約者を蔑ろにしないかを試す。
勿論、ユリアーナの出生や演技は少し調べればおかしいと分かるようにし、この一年間私達は婚約者を何度も窘め、出方を伺った。
因みにユリアーナの身分詐称だが、結構簡単だった。
何故なら、なるべくしがらみのない家と言う理由で選んだグレゴリー伯爵が快く協力してくれたからだ。
グレゴリー伯爵は面白そうに笑いながらこう言った。
「老いた爺である私が若者達の役に立つのであれば、楽しそうだし手を貸してやろう。一度娘を持ってみたかったんだ」と。
仕掛けの最中、婚約者の話を聞き入れて仲を取り戻した子息もいた。が、大半の子息がユリアーナの演技に引っかかり、婚約者を蔑ろにした。
当たり前だが、話に乗らなかった令嬢方の婚約者には仕掛けていないので余計なトラブルになることもなかったし、演技を手伝ってもらったので感謝だ。
加えて大人数を巻き込むこの仕掛け。絶対に大事になる。だからこの仕掛けは事前に親である夫妻方を集め、説明をした。
なので事情を知らないのは引っかかった子息とロナルドだけ。
「自分の息子はそんなことはしない!」と怒っていた夫妻もいるが、王妃教育で培ってきた交渉術を使い、無理やり説得した。
「先に子息方を騙していたことを謝罪させていただきます」
私は一回頭を下げてから事の顛末を子息達に説明する。
「────説明は以上になります。仕掛けたのは私たちですが、婚約者を大切にしていたらこのような物に引っかかるはずがないのです。引っかかったとしても、婚約者と親御様の話を聞いていれば……ね?」
一斉に非難の目が子息達に向けられる。
「ジュジュリエット! 違う! 誤解なんだ! 僕はユリアではなくてジュリィのことが……!」
慌てて弁明しようと一人の子息が婚約者の令嬢の元によろけながらかけていく。
「ジュリエット様に近寄らないでくださいますか」
彼の動きを遮るように周りにいた令嬢方がジュリエット様を子息から隠し、睨みつけた。
「さあジュリエット様、こんな人は置いておいて行きましょう?」
一人がジュリエット様を促し、扉を開ける。
「ええそうね。ダリル伯爵子息様、さようなら」
ジュリエット様は婚約者を一瞥したあと、扉から退出した。
周りの子息令嬢方も続いて退出していく。
残されたのは私と呆然としている騙された子息達にロナルドのみ。
「君は……王太子妃になれなくていいのか?」
静まり返った部屋に響くロナルドの声。
憎悪に濁りきっていたアクアマリンの宝石眼は、弱々しげに揺れていた。
「ご心配なく。私は王太子妃になりますわ」
「アルヴィンと婚約するのか?」
「そうですけど、それが何か?」
──アルヴィン・フェイユ
婚約破棄後の次の婚約者としてどうだ? と陛下から紹介された人。
第二王子殿下で、紛れもない生まれながらの天才。
全てのことをそつなくこなし、新しく学ぶものもその道のエキスパートをすぐに追い抜いてしまう。加えて誰に対しても優しく、時には厳しく、容姿端麗。
ロナルドのプライドの高さと優秀な人を認めたくないねじ曲がった性格なのは、全てを完璧にこなすアルヴィン殿下と比べられて育ったから。
それ故に心無い事を言われても、婚約解消を国王陛下にお願いしなかったのだ。
──比べられるつらさは私もよく分かるから。
それに婚約解消を私から提案したらプライドの高い彼は絶対了承しない。だから、陛下に提案された際にこの選択肢しかないと思った。
まあ全部今日で終わりだ。
これでようやく、ロナルドに傷つけられたり悩んだりせずに済んで清々する。婚約者になるアルヴィン殿下は、王妃教育で心が折れそうになった度に励ましてくれた優しい人。小さい頃から交流もあるのできっといい関係が築けるだろう。
「……まさかアイツが! おい、コゼッ」
「では、皆様ごきげんよう」
まるで悪役のように優雅に微笑むコゼットは、ロナルドの言葉を遮り、彼らが縋る暇もなく無慈悲にも扉を閉じた。
◇◇◇
「コゼット! 終わった?」
外に出たコゼットに青年が近づく。
「ええ終わりました。ほら、宝石が透明色になっているでしょう?」
手に着けた指輪を見せながら、やり遂げた達成感でいっぱいになっている彼女は可愛らしい。
「じゃあ、僕の婚約者になってくれる?」
「そのつもりよ? せっかく王妃教育受けてきたのにならなかったら勿体ない。アルヴィンは私でいいの?」
「君がいいんだ」
「なら良かった。それに貴方は心配症ね。他の人もいるし大丈夫だと言ったのに廊下で待つなんて」
「心配なものは心配だよ」
笑っているコゼットに左手を差し出すと、一瞬戸惑い、はにかみながら握り返してくれる。
「私、謎なの。仮にも王太子であった彼を騙す仕掛けなのに陛下自ら提案されたことが。他にも選択肢はあったかもしれないのに……アルヴィン、どうしてだと思う?」
不思議そうに首を傾げて見てくるコゼット。残念だけど彼女が本当の真相にたどり着くことはない。
「皆、兄上がこの国の王になるのが嫌だったんだよ」
考えた振りをして伝える。
「そう……なのかしら……? だけど──」
「コゼット、終わったことだよ。ほら、僕らも行こう」
コゼットはこくりと頷き、手を繋ぎながら歩き始める。
小さい頃からずっと彼女が好きだった。でも彼女は兄上の婚約者で……
諦めきれず、どうしたら彼女を自分の婚約者に出来るのか考えた結果がこの悪役令嬢計画。
予想通り、兄上はいとも簡単に嵌ってくれた。
そして先程の扉の内側から聞こえた兄上の声。今更誰に嵌められたのか理解しつつあるようだが遅い。もう誰も兄上の話なんて聞かないだろうし、何より証拠は出てこない。
アルヴィンの口元はゆっくりと弧を描く。
十年かかってやっと……やっとコゼットを奪えたのだ。
可愛い彼女は僕がこうなるように仕向けたことを微塵も考えていないだろう。
それでいい。彼女が知るのはこれからも僕の表の顔だけだから。
白銀の髪に、澄み切っているはずのアクアマリンの宝石眼を、憎悪で濁らせた青年が声を荒あげる。
本来、この場は学園の卒業パーティーで賑やかであるはずだった。だったとは、見ての通りぶち壊した者が現れたから。
その呆れた張本人こそ、私の目の前にいる人だ。
パーティー会場の真ん中にいる彼の声は、何事かと思った出席者の視線を集めながらも静まり返った室内に響き渡る。
「あらロナルド王太子殿下、本当によろしいのですか?」
私は口元を扇で隠しながらもゆったりと微笑み、彼を挑発するかのように余裕のある声を出す。
「よろしいのか、だって? 何の戯言を。貴様みたいな嫉妬の塊の悪女は、私の婚約者にふさわしくない!!! 私に相応しいのは女神のように慈愛に満ちて誰にでも優しいユリアだ」
そう言ってロナルド殿下が抱き締めたのはユリアと呼ばれた少女。
淡い光沢のあるドレスに身を包み、プラチナブロンドの柔らかそうな髪にぷっくりとした唇。大きなヴァイオレットの瞳は溢れんばかりの涙を溜めて、子息達の庇護欲をそそるその容貌は悲劇のヒロインだ。
だが、彼女は学園の令嬢方の間では嫌われ者だった。
ユリア様はグレゴリー伯爵の隠し子として、今年の春から私達と同じ第三学年に転入して来た。
するとすぐに彼女は婚約者がいる子息にもベッタリとくっつきに行き、愚かな子息は彼女に堕ちて取り巻きになってしまったからだ。
その中には私の婚約者であるロナルド殿下も含まれる。彼は初日にあっさりと彼女に堕ちてしまった。
彼女に堕ちた子息達はタチの悪いことにそれでは終わらず、私がユリア様を苛めたと言う始末。
何故そんなデマをギャーギャー言うのかと調べると、ユリア様が子息達に泣きついていることが発覚した。
分かった当初はいくら何でもやりすぎでは? と思ってしまった次第。
そんな彼女に婚約者を取られた令嬢達は数知れず、憎々しげにユリア様のことを今も見ている。
その視線は恐らく、彼女達の愚かな婚約者であるユリア様の取り巻き達にも注がれているが……彼等は気付いていないだろう。
「誰が悪女ですって? 御名前をお出し下さいませ」
いつものように笑顔の仮面を被って一歩、ロナルド殿下との距離を詰める。
こうなるように動いてはいたが、本当に公の場で婚約破棄を言い渡す愚かさには呆れてものも言えない。
周りの者も大方何が始まったのか察したようで、遠巻きにこちらを面白そうに見ている。
「貴様、分かって言ってるだろ!! お前の事だ! コゼット・ウェンデル!」
「そうです! コゼット様、シラを切るのは止めてください!」
「ユリア様、口を挟まないで頂きたいです。私が尋ねたのは王太子殿下でございます。加えて、ユリア様の家格は伯爵家であり、公爵家である私よりも家格は圧倒的に下。よって上の者の話に割ってはいるのは無礼ですわ」
貴族としてのマナー違反を窘めると彼女はポロリ、と見ていた者からしたら白々しい涙を零した。
「……酷いですっ! 私はコゼット様が嘘をつくから真実を話して頂こうと思ってお伝えしたのに!」
「そうだ! ユリアはこの通り悪女である貴様にも罪を償う機会を与えるようにする心優しい令嬢なのだぞ! それを貴様は!」
いつの間にか集まってきたユリア様の取り巻き達がこぞって私を罵るのを、王妃教育で培ってきた笑みではじき返す。
これで私が取り乱すとは思わないで頂きたい。
何年、王妃教育の中でどんな環境下でも相手に弱みを見せないように、罵倒や罵声に耐える訓練をしてきたか彼は知らないだろう。
だってロナルド殿下は私のことを疎ましく、嫌っているから。
私は殿下の婚約者に選ばれた日から今日まで、王太子妃として恥じないように立ち回り、スキルを身につけてきた。
そのおかげで秀才、素晴らしい、令嬢の手本、と呼ばれるようになったがそれは努力の塊なのだ。産まれた時から天才でいる人物なのは、ほんのひと握りしかいないのだから。
それに対してロナルド殿下本人はあまり優秀ではなく、彼はプライドが高くて自分より優秀な人を認めたがらない。
それなのに、努力をして周りを見返そうとする気持ちもなかったことから、人として、王太子として、ダメな人になってしまった。
このままではいけないと、婚約者として何度忠告してもうるさい者として扱われ、無視される始末。
花瓶の水をかけられた時は相手が王太子であるとしても反抗してやろうかと思ってしまった。
それなのに、嫉妬の塊?
馬鹿馬鹿しい。申し訳ないが、王太子殿下に恋情等抱いたことがあるはずも無いのに嫉妬し、挙句の果てにほかの令嬢に危害を加えるなんてする訳が無い。
「私はユリア様に何かをした覚えはございません」
「嘘だユリアを階段から突き落としだろう!? ほら、これが証拠だ」
証拠も何も私はやってないのだからあるはずも無い。偉そうに、ふんぞり返って、ロナルド殿下が証拠だとして私に見せてきたのは、ユリア様の手首にでき痛々しいアザだった。
それを見て、少し眉をひそめる。
「ユリア様、どこかでお怪我でもしたのですか? 私、腕のいいお医者様知っていますのでご紹介致しましょう」
「白々しい。貴様が突き落としたんだ」
何かした覚えはないと言っているのにこの馬鹿王太子は人の話を聞かないんだから。
「私はユリア様を突き落としていません。誰かの見間違えでは?」
「ユリアが言っているのだから事実だ! 被害者が話しているのだぞ!?」
何を馬鹿なことを……被害者の言質とはそこまで証拠にはならない。誰かほかの人が見た場合や、客観的な証拠となる物的証拠がなければ意味が無いのだ。
「何を言っても私を悪役に仕立てあげたいようですのでもういいですわ。殿下は私との婚約を破棄したいのですね? どうぞこの場で婚約破棄を」
「自分の罪だと認めたか。いいだろう婚約破棄をしてやる」
何故か偉そうにしながらロナルド殿下は自身の左手につけていた指輪を外すのを見て、私もつけていたアクアマリンの宝石が付いた指輪を外す。
この国の王族の婚約は双方の同意の元、指輪に向かって指定された言葉を交えると結べる。破棄に関しても同じで、指定の言葉を交えると破棄が出来る。
指輪についている宝石は相手の瞳を表しており、婚約破棄をすると色を失う。
「ロナルド・フェイユはコゼット・ウェンデルとの婚約破棄を望む!!!」
「コゼット・ウェンデルはロナルド・フェイユ王太子殿下の婚約破棄を承ります」
殿下に続いて指定された言葉を紡ぐと指輪の宝石は急速に色を喪失し、透明に戻った。
「ユリア! これで婚約を結べるぞ! ほら、直ぐに結ぼう!」
すぐさまロナルド殿下は私が着けていた指輪と同じ物をユリア様に渡すが、受け取ったユリア様の表情は芳しくない。
その間に私は色を失ったのをシャンデリアの光にあてて確認する。
ロナルド殿下との婚約は破棄された。これでやっと……仕掛けが……!
笑いだしそうなのを我慢して、浮かれている殿下を突き落とす為に口を開く。
「婚約を結べるのは貴方が両想いだった場合ですけど」
「どういうことだ?」
小首を傾げ、頭に疑問を浮かべているであろうロナルドに対してコゼットは口元に先程とは違う笑みを浮かべた。
「ねえユリアーナ、もういいわ今までお疲れ様。こちらに来なさい」
「ここにいるのはユリアだぞ?ユリアーナという名前の者はいない」
何が何だか理解していないロナルドをコゼットは完全に無視して、彼の隣にいるユリアに話しかけた。
「はい、コゼットお嬢様」
令嬢は満面の笑みを浮かべ、取り巻きとロナルドはポカンと口を開ける。
「ユリア?」
「騙していてごめんなさい。ロナルド元王太子殿下、私の名前はユリア・グレゴリーではございませんし、グレゴリー伯爵家の隠し子でもありません。本来の名前は、ユリアーナ・リスティです」
ユリアーナはそう言葉を紡ぐと、ロナルドの腕から手を外し、軽々しい足取りでコゼットの元へと歩み、頭を下げた。
その姿に先程の面影は全くない。
「ユリアーナ、一年間ありがとう。大変な役を演じてくれて助かったわ」
「コゼットお嬢様のためにこの身が役に立ったならば光栄です」
「ちょっと待てっ! ユリアがユリアーナ? それに私は元王太子では無い。王太子だ!」
コゼットは、はっと鼻で笑う。
「私との婚約を破棄した時点で殿下は王位継承権を剥奪されますので元王太子ですわ。貴方が王太子の地位にいられたのは私と婚約していたから。それと、貴方と一緒にいたユリアは私の侍女であるユリアーナです」
早口に捲し立てると、ロナルドは唖然としたので心の中で思う存分嘲笑う。いい気味だ。
陛下と王妃様はこの件を既にご存知だ。
お二人からは今まで息子が迷惑をかけたから、卒業パーティで婚約破棄を言い渡してきたら好きなようにしていいぞ。とお言葉を頂いている。
だから……容赦はしない。何をしたって彼はもう王太子に戻れないのだから。
「な……に……? 貴様! 騙していていたとは卑怯な! えぇい衛兵! こやつを捕らえろ」
いきなり大声を出して、命令するが誰も動かない。
それもそのはず。先程言ったように私との婚約を破棄した時点で彼は王太子ではなく、貴族の身分でもない平民だ。
平民の命令に衛兵が動くはずがない。
「この日をどんなに待ちわびていたか……ロナルド元王太子殿下には分からないでしょう」
長年の我慢から解放されて歓喜の状態である私は、満面の笑みを浮かべ、また一歩、彼に近づく。
「私は貴方から受けてきた誹謗中傷を笑顔でかわしてきました。加えて王太子の立場が危ぶまれる行動を何度も窘めて来ましたが、ロナルド元王太子殿下は耳に入れてくれませんでしたよね」
「それがどうした! 私は王太子なのだから貴様の話なんて聞かなくていいんだ!」
「貴方は私が忠告しても聞く耳を持たなかったので、ユリアーナの騙しに騙されるか騙されないかがあなたが王太子の座にいられるラストチャンスだったのです。ですが貴方は見事にユリアーナに騙されました。終わりなのですよ」
ふふっと笑いながら、扇を素早くロナルドの首筋に当てると、ロナルドは蛇に睨まれた蛙のように青ざめた。
それはまるで死刑を宣告された咎人のようだ。
青ざめたところでもう遅い。私は何度も忠告をしたのだから自業自得。
「あぁそれと、元王太子殿下のようにユリアーナの演技に騙された子息の皆様」
首筋に扇を当てたまま、ロナルドの後ろに怯えて塊になっている子息達に話しかける。
彼らはビクリと肩を震わせた。
「貴方達も婚約破棄の後にそれぞれの家から勘当されますのでご準備を。と言っても準備なんて何もありません。強いて言うなら、縁を切られる覚悟……? でしょうか」
「……え?」
「婚約していた令嬢方と貴方達の御家族が忠告していたはずです。最終学年が始まる時にこれから先、婚約者を蔑ろにした場合はそれ相応の報いを受けることになる。と」
子息たちは思い出し、青ざめる。
「まさか……」
この婚約破棄騒動。実は私がロナルドの事で悩んでいた際、「愚息に悩むのは私も同じだ。このままだとロナルドに王位を渡せぬ。ならば最後に息子を試してみよう」と陛下が提案してくださった仕掛けなのだ。
だから当初はロナルドだけに対する策を練っていたのだが、他の令嬢達も婚約者に不満を持っていたようで相手を試したいと話に乗ってきた。
陛下にそれをお伝えすると了承してくださったので、そのまま他の婚約者も巻き込むことになった。
仕掛けというのは、最終学年の始業式から卒業式までの期間、グレゴリー伯爵家の隠し子(仮)である私の侍女ユリアーナが転入してきてターゲットの子息に接近する。
そして、子息たちが好む典型的な可愛らしい令嬢を演じてもらい、子息たちが堕ちるか堕ちないか、それに伴って婚約者を蔑ろにしないかを試す。
勿論、ユリアーナの出生や演技は少し調べればおかしいと分かるようにし、この一年間私達は婚約者を何度も窘め、出方を伺った。
因みにユリアーナの身分詐称だが、結構簡単だった。
何故なら、なるべくしがらみのない家と言う理由で選んだグレゴリー伯爵が快く協力してくれたからだ。
グレゴリー伯爵は面白そうに笑いながらこう言った。
「老いた爺である私が若者達の役に立つのであれば、楽しそうだし手を貸してやろう。一度娘を持ってみたかったんだ」と。
仕掛けの最中、婚約者の話を聞き入れて仲を取り戻した子息もいた。が、大半の子息がユリアーナの演技に引っかかり、婚約者を蔑ろにした。
当たり前だが、話に乗らなかった令嬢方の婚約者には仕掛けていないので余計なトラブルになることもなかったし、演技を手伝ってもらったので感謝だ。
加えて大人数を巻き込むこの仕掛け。絶対に大事になる。だからこの仕掛けは事前に親である夫妻方を集め、説明をした。
なので事情を知らないのは引っかかった子息とロナルドだけ。
「自分の息子はそんなことはしない!」と怒っていた夫妻もいるが、王妃教育で培ってきた交渉術を使い、無理やり説得した。
「先に子息方を騙していたことを謝罪させていただきます」
私は一回頭を下げてから事の顛末を子息達に説明する。
「────説明は以上になります。仕掛けたのは私たちですが、婚約者を大切にしていたらこのような物に引っかかるはずがないのです。引っかかったとしても、婚約者と親御様の話を聞いていれば……ね?」
一斉に非難の目が子息達に向けられる。
「ジュジュリエット! 違う! 誤解なんだ! 僕はユリアではなくてジュリィのことが……!」
慌てて弁明しようと一人の子息が婚約者の令嬢の元によろけながらかけていく。
「ジュリエット様に近寄らないでくださいますか」
彼の動きを遮るように周りにいた令嬢方がジュリエット様を子息から隠し、睨みつけた。
「さあジュリエット様、こんな人は置いておいて行きましょう?」
一人がジュリエット様を促し、扉を開ける。
「ええそうね。ダリル伯爵子息様、さようなら」
ジュリエット様は婚約者を一瞥したあと、扉から退出した。
周りの子息令嬢方も続いて退出していく。
残されたのは私と呆然としている騙された子息達にロナルドのみ。
「君は……王太子妃になれなくていいのか?」
静まり返った部屋に響くロナルドの声。
憎悪に濁りきっていたアクアマリンの宝石眼は、弱々しげに揺れていた。
「ご心配なく。私は王太子妃になりますわ」
「アルヴィンと婚約するのか?」
「そうですけど、それが何か?」
──アルヴィン・フェイユ
婚約破棄後の次の婚約者としてどうだ? と陛下から紹介された人。
第二王子殿下で、紛れもない生まれながらの天才。
全てのことをそつなくこなし、新しく学ぶものもその道のエキスパートをすぐに追い抜いてしまう。加えて誰に対しても優しく、時には厳しく、容姿端麗。
ロナルドのプライドの高さと優秀な人を認めたくないねじ曲がった性格なのは、全てを完璧にこなすアルヴィン殿下と比べられて育ったから。
それ故に心無い事を言われても、婚約解消を国王陛下にお願いしなかったのだ。
──比べられるつらさは私もよく分かるから。
それに婚約解消を私から提案したらプライドの高い彼は絶対了承しない。だから、陛下に提案された際にこの選択肢しかないと思った。
まあ全部今日で終わりだ。
これでようやく、ロナルドに傷つけられたり悩んだりせずに済んで清々する。婚約者になるアルヴィン殿下は、王妃教育で心が折れそうになった度に励ましてくれた優しい人。小さい頃から交流もあるのできっといい関係が築けるだろう。
「……まさかアイツが! おい、コゼッ」
「では、皆様ごきげんよう」
まるで悪役のように優雅に微笑むコゼットは、ロナルドの言葉を遮り、彼らが縋る暇もなく無慈悲にも扉を閉じた。
◇◇◇
「コゼット! 終わった?」
外に出たコゼットに青年が近づく。
「ええ終わりました。ほら、宝石が透明色になっているでしょう?」
手に着けた指輪を見せながら、やり遂げた達成感でいっぱいになっている彼女は可愛らしい。
「じゃあ、僕の婚約者になってくれる?」
「そのつもりよ? せっかく王妃教育受けてきたのにならなかったら勿体ない。アルヴィンは私でいいの?」
「君がいいんだ」
「なら良かった。それに貴方は心配症ね。他の人もいるし大丈夫だと言ったのに廊下で待つなんて」
「心配なものは心配だよ」
笑っているコゼットに左手を差し出すと、一瞬戸惑い、はにかみながら握り返してくれる。
「私、謎なの。仮にも王太子であった彼を騙す仕掛けなのに陛下自ら提案されたことが。他にも選択肢はあったかもしれないのに……アルヴィン、どうしてだと思う?」
不思議そうに首を傾げて見てくるコゼット。残念だけど彼女が本当の真相にたどり着くことはない。
「皆、兄上がこの国の王になるのが嫌だったんだよ」
考えた振りをして伝える。
「そう……なのかしら……? だけど──」
「コゼット、終わったことだよ。ほら、僕らも行こう」
コゼットはこくりと頷き、手を繋ぎながら歩き始める。
小さい頃からずっと彼女が好きだった。でも彼女は兄上の婚約者で……
諦めきれず、どうしたら彼女を自分の婚約者に出来るのか考えた結果がこの悪役令嬢計画。
予想通り、兄上はいとも簡単に嵌ってくれた。
そして先程の扉の内側から聞こえた兄上の声。今更誰に嵌められたのか理解しつつあるようだが遅い。もう誰も兄上の話なんて聞かないだろうし、何より証拠は出てこない。
アルヴィンの口元はゆっくりと弧を描く。
十年かかってやっと……やっとコゼットを奪えたのだ。
可愛い彼女は僕がこうなるように仕向けたことを微塵も考えていないだろう。
それでいい。彼女が知るのはこれからも僕の表の顔だけだから。
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