6 / 88
第一章 私と殿下
晩餐会です(2)
しおりを挟む
この国の晩餐会の入場の仕方は他国と反対だ。
中には下位貴族から順番に入る。お父様とお母様は爵位が公爵なので一番最後だ。その後、王族であるギルバート殿下と私が入場する。
「それじゃあシアちゃんまた後で会いましょうね」
「ええお母様」
『お次はラスター公爵夫妻のご入場です』
「アリー呼ばれたよ。手を」
「はい貴方」
お母様はお父様が差し出した手にそっと自分の手を添えると、直ぐにいつものお母様では無くて公爵夫人の顔になり、一回カーテシーをして中に入っていった。
そんなお母様はとても素敵だ。
「お母様、やっぱり綺麗だわ」
「……シアも十分に美人だけど……お陰で他の子息達を蹴散らすのが大変……」
「ん? 何か言いまして?」
「いや、何も。空耳じゃない?」
殿下は、誤魔化す時に愛想笑いをする。今もそうだ。私が問い返したら誤魔化そうとしてる。
疑いの目を向けるがそっぽを向かれる。これは何を言ったのか教えてくれないパターンだ。
「殿下、お時間でございます」
侍女が再度告げる。
「シア、行くよ」
「……分かりましたわ」
「何……? 拗ねてるの?」
返事が遅くなったことを先程のことに結び付けているらしい。私は断じて拗ねているのではない。教えてもらう事を諦めただけなのだ!
「違うわ。行くのでしょう? エスコートお願いしますね」
「仰せのままに。僕のお姫様」
そう言って殿下は白手袋越しに私の手を取るとそっと口付けを落とす。
「……やめて。本の中の王子様だったらステキ~ってなるけどギルが言うとムズムズするわ!」
「酷いなぁこれでも本物なんだけど……」
「知ってるわよそんなこと」
むうっとしているとごめんねと頭を撫でられた。本当は頭を撫でるのもやめて欲しい。
せっかくルーナ達が綺麗に結ってくれたから。でもなんだか落ち着くので目をつぶってされるがままになっておいた。
『ギルバート・ルイ・ソルリア第一王子とその婚約者、アタナシア・ラスター公爵令嬢の入場です』
「シア、笑顔笑顔。いつも通りでいいからね」
「分かっています。ここからは女の戦場なのですから!!!」
「いや……普通の晩餐会なんだけど」
またもや苦笑いをしている殿下を無視し、淑女の仮面を付けて私は扉の内側に足を踏み入れ、カーテシーをする。
(よしっこれは完璧ね)
心の中でガッツポーズした。
私の外向きの笑顔は中々評判が良い。崩れなければ……の話だけど。
そして殿下にエスコートされてお母様、お父様がいる卓に向かって歩く。
「アタナシア様こんばんは。殿下にエスコートされて良いですわね」
「ギルバート殿下こんばんは、後ほどぜひ私の娘とダンスを踊っていただけませんか?」
「ギルバート殿下と一緒にいるアタナシア様邪魔よね」
「私も殿下にエスコートされてみたい」
などなど途中でたくさんの会話が聞こえてくる。私たちはそれを笑顔で受け流す。チラリと殿下を見ると愛想笑いをしながらもめんどくさいという感情がダダ漏れだ。まあ気付いているのは私と王妃様だけだろうけど。
「この外面だけはいいんだからもうっ!」
「……アタナシア嬢何か言ったかな?」
「何も言っておりませんわ。ギルバート殿下は今日も笑顔が素敵でございますね」
満面の笑みで弾き返した。
「ありがとう。今日も君は美しいね」
小声で言ったのが聞こえてたらしい。若干声色が冷たい。地獄耳だ……怖い。
ちなみに私が言った言葉を意訳すると『ギルバート殿下、貴方とてつもなくめんどくさいという感情が出てるわよ?』だ。
多分殿下のは『知ってるよ。君には言われたくないかな』だ。
にこにこと二人で笑いながら牽制し合っていたら、周りはお似合いね。仲が良くていいわと勝手に言い始めた。
「どうぞアタナシア嬢」
「殿下、エスコートありがとうございました」
「いえいえ当然のことをしたまでです」
どうやらテーブルに着いたらしい。椅子を殿下が引いてくれたので腰を下ろす。
「それでは、皆さんごゆっくり」
同じテーブルについていた人にも挨拶をして殿下は自分のテーブルに向かった。
「シアちゃん何か殿下とあった?」
「いいえ何もありませんわ」
座った途端に隣の席であるお母様が話しかけてきた。お母様は何か勘づいたらしい。こういう時だけとても鋭い。だけど何も無いはずだ。いつものからかいだけだ。
「いやー。アタナシア公爵令嬢はギルバート殿下と仲がよろしいのですね。是非私の娘とも仲良くしていただければ」
おっとお母様との話が済んだらすぐに正面のダンバル侯爵が話しかけてきた。すこーしだけ頬を染めて恥ずかしがってる風を装う。
「ふふありがとうございます。殿下と仲が良いと思われているのは嬉しいですわ。殿下はとっても優しいんですの」
(外向きだけね。普通の時はそんなことないわ)
ダンバル侯爵が話しかけてきたとなると私の宿敵もここにいるということだ。
(いよいよね。来るわよ。今日も勝つわ)
「まあ聞いているこっちまで恥ずかしくなってくるわ。ところで、貴方殿下の前で倒れられたそうね? 病弱なのかしら」
身構えているところに今日のラスボス、ダンバル侯爵家の令嬢──シュレア様が仕掛けに来た。この所私が夜会に出る度に突っかかって来るご令嬢。つまり敵である。
「いいえ。倒れたのは事実ですが、体はいたって健康です。お気遣いありがとうございます。シュレア様」
発言に勝ち負けは無いが、私は勝手に付けている。言い負かされるのは嫌いなのだ。でもなぜ、私が倒れたことを知っているのだろうか。やっぱり一週間も意識がなかったから?
「そう? それならいいのだけれど。もしかしたら気づいていなかっただけで、病にかかりやすいのかもしれないわ。もう一度お医者様に診てもらった方がいいですわよ? 殿下も心配していたわ」
失礼な。体はいたって健康だ。それに治そうと思えば自分の回復魔法で治せるから、弱くなるとかありえない。
「お医者様にはもう三度診てもらいましたわ。全ての診察でお墨付きを貰っております。殿下もお見舞いに来て頂きましたしその時に既にお伝え申し上げました」
「それは一安心ですね。……所で今度私の家でお茶会をするの。是非お越しにならない? 今は薔薇が綺麗なのよ」
この話題ではダメだと判断したのか突然別の話に切り替わる。これは参加したら一人になるパターンな気がする……かと言って侯爵令嬢である彼女の誘いを断ったら後で何が起こるかわからない。
「薔薇ですか。シュレア様の邸宅の薔薇はとても綺麗だとお聞きしています。とても楽しみにしていますわ」
本当は行きたくないけど……。
「参加してくださるのですね? 後ほど招待状をお送りしますね」
「よろしくお願いします」
彼女は満足したのかそっと席を立って殿下の方へ移動して行った。次は殿下にアピールするのだろう。
彼女との会話が終わったことで幾分かこちらに向けられていた悪意の視線が外れる。
それらはシュレア様と同じ視線だ。
────ここは敵だらけだ。
右も左も王太子の婚約者の座を奪い取りたい貴族達でごった返している。少しでも粗相をするとひたすらなじり続ける。だから一瞬でも気が抜けない。
抜いたら最後、奈落の底に落ちるまで詰り続けてくるから。
私はフォークとナイフで料理を細かくして口に運ぶ。手を休めることが出来ないほど大量の料理が私の食べ終わるタイミングを見て次々と運ばれてくる。
それらの料理を咀嚼しているとほっぺたが落っこちそうになり、顔が緩むのを抑える。そうしているうちに先程の不快感はいつの間にか消し飛んだ。
(美味しいわ~このスープなんてどうやって作っているのかしら? レシピ欲しいわね……)
そんなことを考えていたら一番前のテーブルに着いていた陛下がグラスを片手に立ち上がる。
「今宵は王宮晩餐会の参加、誠にありがとう。年に数回の機会だ。是非貴族間での交流を深めてくれたまえ」
陛下がワインの入ったグラスを天に向ける。
「神の祝福に感謝します」
そう陛下が言って晩餐会が始まった。と言ってももう、皆さん思い思いに食べ始めているけれど。
今晩の晩餐会には国内全ての貴族が招待されている。この機会はとっても貴重で、この晩餐会で新しい縁談や交渉が決まるのも珍しくはない。それだけ政治にも、経済にも重要な晩餐会なのだ。
中には下位貴族から順番に入る。お父様とお母様は爵位が公爵なので一番最後だ。その後、王族であるギルバート殿下と私が入場する。
「それじゃあシアちゃんまた後で会いましょうね」
「ええお母様」
『お次はラスター公爵夫妻のご入場です』
「アリー呼ばれたよ。手を」
「はい貴方」
お母様はお父様が差し出した手にそっと自分の手を添えると、直ぐにいつものお母様では無くて公爵夫人の顔になり、一回カーテシーをして中に入っていった。
そんなお母様はとても素敵だ。
「お母様、やっぱり綺麗だわ」
「……シアも十分に美人だけど……お陰で他の子息達を蹴散らすのが大変……」
「ん? 何か言いまして?」
「いや、何も。空耳じゃない?」
殿下は、誤魔化す時に愛想笑いをする。今もそうだ。私が問い返したら誤魔化そうとしてる。
疑いの目を向けるがそっぽを向かれる。これは何を言ったのか教えてくれないパターンだ。
「殿下、お時間でございます」
侍女が再度告げる。
「シア、行くよ」
「……分かりましたわ」
「何……? 拗ねてるの?」
返事が遅くなったことを先程のことに結び付けているらしい。私は断じて拗ねているのではない。教えてもらう事を諦めただけなのだ!
「違うわ。行くのでしょう? エスコートお願いしますね」
「仰せのままに。僕のお姫様」
そう言って殿下は白手袋越しに私の手を取るとそっと口付けを落とす。
「……やめて。本の中の王子様だったらステキ~ってなるけどギルが言うとムズムズするわ!」
「酷いなぁこれでも本物なんだけど……」
「知ってるわよそんなこと」
むうっとしているとごめんねと頭を撫でられた。本当は頭を撫でるのもやめて欲しい。
せっかくルーナ達が綺麗に結ってくれたから。でもなんだか落ち着くので目をつぶってされるがままになっておいた。
『ギルバート・ルイ・ソルリア第一王子とその婚約者、アタナシア・ラスター公爵令嬢の入場です』
「シア、笑顔笑顔。いつも通りでいいからね」
「分かっています。ここからは女の戦場なのですから!!!」
「いや……普通の晩餐会なんだけど」
またもや苦笑いをしている殿下を無視し、淑女の仮面を付けて私は扉の内側に足を踏み入れ、カーテシーをする。
(よしっこれは完璧ね)
心の中でガッツポーズした。
私の外向きの笑顔は中々評判が良い。崩れなければ……の話だけど。
そして殿下にエスコートされてお母様、お父様がいる卓に向かって歩く。
「アタナシア様こんばんは。殿下にエスコートされて良いですわね」
「ギルバート殿下こんばんは、後ほどぜひ私の娘とダンスを踊っていただけませんか?」
「ギルバート殿下と一緒にいるアタナシア様邪魔よね」
「私も殿下にエスコートされてみたい」
などなど途中でたくさんの会話が聞こえてくる。私たちはそれを笑顔で受け流す。チラリと殿下を見ると愛想笑いをしながらもめんどくさいという感情がダダ漏れだ。まあ気付いているのは私と王妃様だけだろうけど。
「この外面だけはいいんだからもうっ!」
「……アタナシア嬢何か言ったかな?」
「何も言っておりませんわ。ギルバート殿下は今日も笑顔が素敵でございますね」
満面の笑みで弾き返した。
「ありがとう。今日も君は美しいね」
小声で言ったのが聞こえてたらしい。若干声色が冷たい。地獄耳だ……怖い。
ちなみに私が言った言葉を意訳すると『ギルバート殿下、貴方とてつもなくめんどくさいという感情が出てるわよ?』だ。
多分殿下のは『知ってるよ。君には言われたくないかな』だ。
にこにこと二人で笑いながら牽制し合っていたら、周りはお似合いね。仲が良くていいわと勝手に言い始めた。
「どうぞアタナシア嬢」
「殿下、エスコートありがとうございました」
「いえいえ当然のことをしたまでです」
どうやらテーブルに着いたらしい。椅子を殿下が引いてくれたので腰を下ろす。
「それでは、皆さんごゆっくり」
同じテーブルについていた人にも挨拶をして殿下は自分のテーブルに向かった。
「シアちゃん何か殿下とあった?」
「いいえ何もありませんわ」
座った途端に隣の席であるお母様が話しかけてきた。お母様は何か勘づいたらしい。こういう時だけとても鋭い。だけど何も無いはずだ。いつものからかいだけだ。
「いやー。アタナシア公爵令嬢はギルバート殿下と仲がよろしいのですね。是非私の娘とも仲良くしていただければ」
おっとお母様との話が済んだらすぐに正面のダンバル侯爵が話しかけてきた。すこーしだけ頬を染めて恥ずかしがってる風を装う。
「ふふありがとうございます。殿下と仲が良いと思われているのは嬉しいですわ。殿下はとっても優しいんですの」
(外向きだけね。普通の時はそんなことないわ)
ダンバル侯爵が話しかけてきたとなると私の宿敵もここにいるということだ。
(いよいよね。来るわよ。今日も勝つわ)
「まあ聞いているこっちまで恥ずかしくなってくるわ。ところで、貴方殿下の前で倒れられたそうね? 病弱なのかしら」
身構えているところに今日のラスボス、ダンバル侯爵家の令嬢──シュレア様が仕掛けに来た。この所私が夜会に出る度に突っかかって来るご令嬢。つまり敵である。
「いいえ。倒れたのは事実ですが、体はいたって健康です。お気遣いありがとうございます。シュレア様」
発言に勝ち負けは無いが、私は勝手に付けている。言い負かされるのは嫌いなのだ。でもなぜ、私が倒れたことを知っているのだろうか。やっぱり一週間も意識がなかったから?
「そう? それならいいのだけれど。もしかしたら気づいていなかっただけで、病にかかりやすいのかもしれないわ。もう一度お医者様に診てもらった方がいいですわよ? 殿下も心配していたわ」
失礼な。体はいたって健康だ。それに治そうと思えば自分の回復魔法で治せるから、弱くなるとかありえない。
「お医者様にはもう三度診てもらいましたわ。全ての診察でお墨付きを貰っております。殿下もお見舞いに来て頂きましたしその時に既にお伝え申し上げました」
「それは一安心ですね。……所で今度私の家でお茶会をするの。是非お越しにならない? 今は薔薇が綺麗なのよ」
この話題ではダメだと判断したのか突然別の話に切り替わる。これは参加したら一人になるパターンな気がする……かと言って侯爵令嬢である彼女の誘いを断ったら後で何が起こるかわからない。
「薔薇ですか。シュレア様の邸宅の薔薇はとても綺麗だとお聞きしています。とても楽しみにしていますわ」
本当は行きたくないけど……。
「参加してくださるのですね? 後ほど招待状をお送りしますね」
「よろしくお願いします」
彼女は満足したのかそっと席を立って殿下の方へ移動して行った。次は殿下にアピールするのだろう。
彼女との会話が終わったことで幾分かこちらに向けられていた悪意の視線が外れる。
それらはシュレア様と同じ視線だ。
────ここは敵だらけだ。
右も左も王太子の婚約者の座を奪い取りたい貴族達でごった返している。少しでも粗相をするとひたすらなじり続ける。だから一瞬でも気が抜けない。
抜いたら最後、奈落の底に落ちるまで詰り続けてくるから。
私はフォークとナイフで料理を細かくして口に運ぶ。手を休めることが出来ないほど大量の料理が私の食べ終わるタイミングを見て次々と運ばれてくる。
それらの料理を咀嚼しているとほっぺたが落っこちそうになり、顔が緩むのを抑える。そうしているうちに先程の不快感はいつの間にか消し飛んだ。
(美味しいわ~このスープなんてどうやって作っているのかしら? レシピ欲しいわね……)
そんなことを考えていたら一番前のテーブルに着いていた陛下がグラスを片手に立ち上がる。
「今宵は王宮晩餐会の参加、誠にありがとう。年に数回の機会だ。是非貴族間での交流を深めてくれたまえ」
陛下がワインの入ったグラスを天に向ける。
「神の祝福に感謝します」
そう陛下が言って晩餐会が始まった。と言ってももう、皆さん思い思いに食べ始めているけれど。
今晩の晩餐会には国内全ての貴族が招待されている。この機会はとっても貴重で、この晩餐会で新しい縁談や交渉が決まるのも珍しくはない。それだけ政治にも、経済にも重要な晩餐会なのだ。
77
あなたにおすすめの小説
【改稿版】夫が男色になってしまったので、愛人を探しに行ったら溺愛が待っていました
妄夢【ピッコマノベルズ連載中】
恋愛
外観は赤髪で派手で美人なアーシュレイ。
同世代の女の子とはうまく接しられず、幼馴染のディートハルトとばかり遊んでいた。
おかげで男をたぶらかす悪女と言われてきた。しかし中身はただの魔道具オタク。
幼なじみの二人は親が決めた政略結婚。義両親からの圧力もあり、妊活をすることに。
しかしいざ夜に挑めばあの手この手で拒否する夫。そして『もう、女性を愛することは出来ない!』とベットの上で謝られる。
実家の援助をしてもらってる手前、離婚をこちらから申し込めないアーシュレイ。夫も誰かとは結婚してなきゃいけないなら、君がいいと訳の分からないことを言う。
それなら、愛人探しをすることに。そして、出会いの場の夜会にも何故か、毎回追いかけてきてつきまとってくる。いったいどういうつもりですか!?そして、男性のライバル出現!? やっぱり男色になっちゃたの!?
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約してました~
marumi
恋愛
大国、セレスティア帝国に生まれた皇女エリシアは、争いも悲しみも知らぬまま、穏やかな日々を送っていた。
しかしある日、帝都を揺るがす暗殺事件が起こる。
紅蓮に染まる夜、失われた家族。
“死んだ皇女”として歴史から名を消した少女は、
身分を隠し、名前を変え、生き延びることを選んだ。
彼女を支えるのは、代々皇族を護る宿命を背負う
アルヴェイン公爵家の若き公子、ノアリウス・アルヴェイン。
そして、神を祀る隣国《エルダール》で出会った、
冷たい金の瞳をした神子。
ふたつの光のあいだで揺れながら、
エリシアは“誰かのための存在”ではなく、
“自分として生きる”ことの意味を知っていく。
これは、名前を捨てた少女が、
もう一度「名前」を取り戻すまでの物語。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
【完結】ど近眼悪役令嬢に転生しました。言っておきますが、眼鏡は顔の一部ですから!
As-me.com
恋愛
完結しました。
説明しよう。私ことアリアーティア・ローランスは超絶ど近眼の悪役令嬢である……。
気が付いたらファンタジー系ライトノベル≪君の瞳に恋したボク≫の悪役令嬢に転生していたアリアーティア。
原作悪役令嬢には、超絶ど近眼なのにそれを隠して奮闘していたがあらゆることが裏目に出てしまい最後はお約束のように酷い断罪をされる結末が待っていた。
えぇぇぇっ?!それって私の未来なの?!
腹黒最低王子の婚約者になるのも、訳ありヒロインをいじめた罪で死刑になるのも、絶体に嫌だ!
私の視力と明るい未来を守るため、瓶底眼鏡を離さないんだから!
眼鏡は顔の一部です!
※この話は短編≪ど近眼悪役令嬢に転生したので意地でも眼鏡を離さない!≫の連載版です。
基本のストーリーはそのままですが、後半が他サイトに掲載しているのとは少し違うバージョンになりますのでタイトルも変えてあります。
途中まで恋愛タグは迷子です。
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
殿下が婚約破棄してくれたおかげで泥船から脱出できました。さて、私がいなくなったあと、そちらは大丈夫なのでしょうか?
水上
恋愛
「エリーゼ・フォン・アークライト! 貴様との婚約は、今この時をもって破棄する!」
そう言ってどんどん話を進めてく殿下に、私はとあるものを見せました。
「これは?」
「精算書でございます」
「は?」
私はファイルを丁寧に開き、一番上の書類を殿下の目の前に掲げました。
「こちらが、過去一〇年間にわたり、私が次期王妃教育のために費やした教育費、教師への謝礼金、および公務のために新調した衣装代、装飾品代の総額です。すべて領収書を添付しております」
会場がざわめき始めました。
私はさらにページをめくります。
「次に、こちらが殿下の公務補佐として私が代行した業務の労働対価。王宮の書記官の平均時給をベースに、深夜割増と休日出勤手当を加算しております」
「な、何を言って……」
「そして最後に、こちらが一方的な婚約破棄に対する精神的苦痛への慰謝料。これは判例に基づき、王族間の婚約破棄における最高額を設定させていただきました」
私はニッコリと微笑みました。
「締めて、金貨三億五千万枚。なお、支払いが遅れる場合は、年利一五パーセントの遅延損害金が発生いたします。複利計算で算出しておりますので、お早めのお支払いをお勧めいたしますわ」
大広間が完全なる静寂に包まれました。
三億五千万枚。
それは小国の国家予算にも匹敵する金額です。
「き、貴様……。金の話など、卑しいとは思わんのか!?」
震える声で殿下が叫びました。
私は首を傾げます。
「卑しい? とんでもない。これは、契約の不履行に対する正当な対価請求ですわ。殿下、ご存知ですか? 愛はプライスレスかもしれませんが、結婚は契約、生活はコストなのです」
私は殿下の胸ポケットに、その請求書を優しく差し込みました。
そうして泥舟から脱出できる喜びを感じていましたが、私がいなくなったあと、そちらは大丈夫なのでしょうか?
逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?
魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。
彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。
国外追放の系に処された。
そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。
新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。
しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。
夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。
ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。
そして学校を卒業したら大陸中を巡る!
そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、
鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……?
「君を愛している」
一体なにがどうなってるの!?
冤罪で処刑された悪女ですが、死に戻ったらループ前の記憶を持つ王太子殿下が必死に機嫌を取ってきます。もう遅いですが?
六角
恋愛
公爵令嬢ヴィオレッタは、聖女を害したという無実の罪を着せられ、婚約者である王太子アレクサンダーによって断罪された。 「お前のような性悪女、愛したことなど一度もない!」 彼が吐き捨てた言葉と共に、ギロチンが落下し――ヴィオレッタの人生は終わったはずだった。
しかし、目を覚ますとそこは断罪される一年前。 処刑の記憶と痛みを持ったまま、時間が巻き戻っていたのだ。 (またあの苦しみを味わうの? 冗談じゃないわ。今度はさっさと婚約破棄して、王都から逃げ出そう)
そう決意して登城したヴィオレッタだったが、事態は思わぬ方向へ。 なんと、再会したアレクサンダーがいきなり涙を流して抱きついてきたのだ。 「すまなかった! 俺が間違っていた、やり直させてくれ!」
どうやら彼も「ヴィオレッタを処刑した後、冤罪だったと知って絶望し、時間を巻き戻した記憶」を持っているらしい。 心を入れ替え、情熱的に愛を囁く王太子。しかし、ヴィオレッタの心は氷点下だった。 (何を必死になっているのかしら? 私の首を落としたその手で、よく触れられるわね)
そんなある日、ヴィオレッタは王宮の隅で、周囲から「死神」と忌み嫌われる葬儀卿・シルヴィオ公爵と出会う。 王太子の眩しすぎる愛に疲弊していたヴィオレッタに、シルヴィオは静かに告げた。 「美しい。君の瞳は、まるで極上の遺体のようだ」
これは、かつての愛を取り戻そうと暴走する「太陽」のような王太子と、 傷ついた心を「静寂」で包み込む「夜」のような葬儀卿との間で揺れる……ことは全くなく、 全力で死神公爵との「平穏な余生(スローデス)」を目指す元悪女の、温度差MAXのラブストーリー。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる