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Ⅰ.ユラの章【捕獲】
05.
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「奥様、おやめ下さい。お嬢様を傷つけていることが鷹小路侯爵家に知られたら、旦那様のお立場がありません」
痛みに声もなく身を丸くしているユラから、激怒したセイラを引き離そうと、アンリが苦心している。
「アンリっ、お前がしっかり見張らないからこんなことになったんだっ! 今日限りお前はクビよっ、とっとと出てお行きっ」
セイラは腹立たしそうにアンリの脛を蹴り飛ばし、まだ気が収まらないのか再びユラに向き直って、素足のユラを思い切りヒールで踏みつけにした。
足の皮が破れて血が滲み、骨が砕ける音がする。
激痛が走り、しかし恐怖に声も出せず、ユラは必死で唇を嚙みしめた。
「奥様、…っ」
アンリが止めに入ってようやくヒールを離したが、
「覚えておいで、この売女がっ!! 決して許しはしないよ!!」
セイラは恐ろしい形相で吐き捨てると荒々しく部屋を出て行った。
「お嬢様、大丈夫ですか。すぐに手当てするものを持って参ります」
慌ただしくアンリも出て行き、ユラは痛みのあまり涙を零し、荒い息を吐きながら床に崩れ落ちた。
「鷹小路侯爵様とご子息のクリス様が、お嬢様に求婚にいらしているのです」
ややあって戻ってきたアンリに腫れ上がった足を固定してもらい、痛みが引くよう冷やしてもらいながら、継母のセイラが激怒したわけを聞いていた。
「鷹小路様、…?」
書庫で会った男性は、そんな名前だっただろうか。
「格上の侯爵家から、破格の条件で是非と望まれ、旦那様もお断りになられようがないのです。奥様は、お嬢様には脳に欠陥があるとか、身体機能に障害があるとか、醜い傷跡があるとか、何とかお嬢様でなくララ様をお望みになられるよう策を弄しておりましたけれど、クリス様のお心は固く、めでたく婚約の運びになりましたので、あのような暴挙に、…」
話が急展開過ぎて、理解が追い付かない。
それでは、あの男性はユラを諦めたのではなく正面から正攻法で近づいてきたということか。
「お嬢様のお顔を一目見たいと、クリス様からこのようなドレスが送られています。足のお痛みが引きましたら、どうかお着替えになられてお顔合わせに。客間にてお待ちになられてます」
訳が分からないまま、アンリに着替えさせられ、髪を結われ、化粧を施されて客間に降りることになった。
しかし、セイラに踏みつけられた足の痛みは治まらず、アンリに支えられ、足を引きずりながらのそのそ歩く。
「まあ、みっともない。お伝えした通り、ユラはまともに歩くことも出来ないんです」
ようやく客間に辿り着くと、ユラを一瞥した継母のセイラが汚らしいものを見るように顔をしかめて嘲った。
痛みに声もなく身を丸くしているユラから、激怒したセイラを引き離そうと、アンリが苦心している。
「アンリっ、お前がしっかり見張らないからこんなことになったんだっ! 今日限りお前はクビよっ、とっとと出てお行きっ」
セイラは腹立たしそうにアンリの脛を蹴り飛ばし、まだ気が収まらないのか再びユラに向き直って、素足のユラを思い切りヒールで踏みつけにした。
足の皮が破れて血が滲み、骨が砕ける音がする。
激痛が走り、しかし恐怖に声も出せず、ユラは必死で唇を嚙みしめた。
「奥様、…っ」
アンリが止めに入ってようやくヒールを離したが、
「覚えておいで、この売女がっ!! 決して許しはしないよ!!」
セイラは恐ろしい形相で吐き捨てると荒々しく部屋を出て行った。
「お嬢様、大丈夫ですか。すぐに手当てするものを持って参ります」
慌ただしくアンリも出て行き、ユラは痛みのあまり涙を零し、荒い息を吐きながら床に崩れ落ちた。
「鷹小路侯爵様とご子息のクリス様が、お嬢様に求婚にいらしているのです」
ややあって戻ってきたアンリに腫れ上がった足を固定してもらい、痛みが引くよう冷やしてもらいながら、継母のセイラが激怒したわけを聞いていた。
「鷹小路様、…?」
書庫で会った男性は、そんな名前だっただろうか。
「格上の侯爵家から、破格の条件で是非と望まれ、旦那様もお断りになられようがないのです。奥様は、お嬢様には脳に欠陥があるとか、身体機能に障害があるとか、醜い傷跡があるとか、何とかお嬢様でなくララ様をお望みになられるよう策を弄しておりましたけれど、クリス様のお心は固く、めでたく婚約の運びになりましたので、あのような暴挙に、…」
話が急展開過ぎて、理解が追い付かない。
それでは、あの男性はユラを諦めたのではなく正面から正攻法で近づいてきたということか。
「お嬢様のお顔を一目見たいと、クリス様からこのようなドレスが送られています。足のお痛みが引きましたら、どうかお着替えになられてお顔合わせに。客間にてお待ちになられてます」
訳が分からないまま、アンリに着替えさせられ、髪を結われ、化粧を施されて客間に降りることになった。
しかし、セイラに踏みつけられた足の痛みは治まらず、アンリに支えられ、足を引きずりながらのそのそ歩く。
「まあ、みっともない。お伝えした通り、ユラはまともに歩くことも出来ないんです」
ようやく客間に辿り着くと、ユラを一瞥した継母のセイラが汚らしいものを見るように顔をしかめて嘲った。
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