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千晃くん、ごめんなさ―――い‼
慌てて3階フロアのエレベータ前まで走ると、
到着したエレベータの中から、本当にすぐに千晃くんが降りてきた。
「どうした?」
千晃くんが長い足で私のすぐ目の前に立ち、
澄んだ瞳に憂いの色を浮かべて、私の頬に手を伸ばす。
頬に触れる直前、手を止めた千晃くんは、揺れる瞳に私だけを映していた。
息が止まる。
居合わせた人々も、王子様が灰かぶり娘を見初めた瞬間を見てしまった、みたいな空気で、かたずを呑んで見守っている。
得も言われぬ緊張感が肌に突き刺さって、我に返った。
気が付けば、通り過ぎる皆さんの注目を集めていた。
「あ、…ちょっと、こっち」
そそくさと千晃くんを引っ張って、エレベータホールから離れ、通路の端っこの目立たないスペースまで移動した。
「えーと、あの、急に呼び出してごめんなさい」
とにもかくにも頭を下げた私に、
「いいよ」
千晃くんは優しく微笑んで、長い指で私の髪を一筋絡めてするりと撫でた。
「えーと、あの、…」
急に至近距離に立たれて、心の準備ができてないっていうかね。
千晃くんが素敵すぎて、言うべきことがまとまらないっていうかね。
なんで千晃くんはそこにいるだけで色っぽいの?
心臓が速く動き過ぎて息が切れるしっ
「…ん?」
千晃くんが顔を斜めに傾けて、私に目線を合わせた。
目の前に千晃くんの整った顔。
その艶やかな唇がキスしてくれたことを思い出して、
頭がショートして、やけくそに叫んでしまった。
「…いなくなるの!?」
いや、なんか。直球過ぎた。
ていうか。
千晃くんを目の前にすると、語彙力が著しく低下する。
「ああ、…うん」
自分のダメさ加減にうなだれていたら、千晃くんの手が私の頭をポンと撫でた。
視線を上げると、千晃くんが少し寂しそうな表情でつぶやいた。
「間違いだったってわかったから」
間違いだった?
理解が追い付かない私に、千晃くんが自嘲気味に言った。
「俺、頭がちょっと壊れてて。大事なものを失くしたり、大事な人を傷つけたりする。…もうずっと、探してるものがあるんだけど、それが何か、自分でも、はっきりわからないんだ」
千晃くんの完璧に整った顔が、涙でぼやけて歪んで見えた。
「それで、…ひどいことした。見つけたと思ったんだ。でも、…間違いだった。最低だよね」
お嬢様との破局説が流れてるって、まりな先輩が言っていたのをぼんやり思い出した。
千晃くんの痛みと苦しみが悲しみの渦になってダイレクトに私を飲み込んだ。
『…あいつの記憶、不安定なんだろうな』
忘れたり、思い出したり、間違えたり。
失くしたことはわかるのに、何を失くしたのかわからない。
千晃くんが平気なわけなかった。
千晃くんは優しいから、私なんかが想像もつかないくらい、
傷ついて、苦しんで、自分を責めてる。
「変なこと言って、…ごめん」
涙が止まらなくなってしまった私の頭を千晃くんが優しく撫でた。
どこまでも優しい千晃くんの代わりに、…泣いた。
慌てて3階フロアのエレベータ前まで走ると、
到着したエレベータの中から、本当にすぐに千晃くんが降りてきた。
「どうした?」
千晃くんが長い足で私のすぐ目の前に立ち、
澄んだ瞳に憂いの色を浮かべて、私の頬に手を伸ばす。
頬に触れる直前、手を止めた千晃くんは、揺れる瞳に私だけを映していた。
息が止まる。
居合わせた人々も、王子様が灰かぶり娘を見初めた瞬間を見てしまった、みたいな空気で、かたずを呑んで見守っている。
得も言われぬ緊張感が肌に突き刺さって、我に返った。
気が付けば、通り過ぎる皆さんの注目を集めていた。
「あ、…ちょっと、こっち」
そそくさと千晃くんを引っ張って、エレベータホールから離れ、通路の端っこの目立たないスペースまで移動した。
「えーと、あの、急に呼び出してごめんなさい」
とにもかくにも頭を下げた私に、
「いいよ」
千晃くんは優しく微笑んで、長い指で私の髪を一筋絡めてするりと撫でた。
「えーと、あの、…」
急に至近距離に立たれて、心の準備ができてないっていうかね。
千晃くんが素敵すぎて、言うべきことがまとまらないっていうかね。
なんで千晃くんはそこにいるだけで色っぽいの?
心臓が速く動き過ぎて息が切れるしっ
「…ん?」
千晃くんが顔を斜めに傾けて、私に目線を合わせた。
目の前に千晃くんの整った顔。
その艶やかな唇がキスしてくれたことを思い出して、
頭がショートして、やけくそに叫んでしまった。
「…いなくなるの!?」
いや、なんか。直球過ぎた。
ていうか。
千晃くんを目の前にすると、語彙力が著しく低下する。
「ああ、…うん」
自分のダメさ加減にうなだれていたら、千晃くんの手が私の頭をポンと撫でた。
視線を上げると、千晃くんが少し寂しそうな表情でつぶやいた。
「間違いだったってわかったから」
間違いだった?
理解が追い付かない私に、千晃くんが自嘲気味に言った。
「俺、頭がちょっと壊れてて。大事なものを失くしたり、大事な人を傷つけたりする。…もうずっと、探してるものがあるんだけど、それが何か、自分でも、はっきりわからないんだ」
千晃くんの完璧に整った顔が、涙でぼやけて歪んで見えた。
「それで、…ひどいことした。見つけたと思ったんだ。でも、…間違いだった。最低だよね」
お嬢様との破局説が流れてるって、まりな先輩が言っていたのをぼんやり思い出した。
千晃くんの痛みと苦しみが悲しみの渦になってダイレクトに私を飲み込んだ。
『…あいつの記憶、不安定なんだろうな』
忘れたり、思い出したり、間違えたり。
失くしたことはわかるのに、何を失くしたのかわからない。
千晃くんが平気なわけなかった。
千晃くんは優しいから、私なんかが想像もつかないくらい、
傷ついて、苦しんで、自分を責めてる。
「変なこと言って、…ごめん」
涙が止まらなくなってしまった私の頭を千晃くんが優しく撫でた。
どこまでも優しい千晃くんの代わりに、…泣いた。
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