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アンティークでクラシカルで大人っぽい。
派手過ぎず落ち着いたレモンイエローのドレス。
「ここちゃん、とっても素敵よ」
「おひめさま~」
茉由子さんとるうちゃんが私を見に来て、きっぱりと言い切ってくれた。
光沢のあるサテン生地が上品だけど柔らかな雰囲気で、
襟元と流れるようなティアードスカートに遊び心がある。
香恋ちゃんにはけなされたけど。
鏡に映る私が冴えないのは分かっているけど。
やっぱりこのドレスが気になった。
「ここ、すごく可愛い」
「…いいんじゃねえの」
いつの間にか千晃くんとチーフも近くに来ていて、
優しいコメントをくれるから、
恥ずかしさもあったけど、嬉しさがじんわり込み上げてきた。
その後ろに、般若顔の香恋ちゃんとおろおろしている彼氏さんが見えたけど、そこはもう見ないことにした。
「高野さん、香恋のこと、来週からも使ってくださいね」
チーフに上目遣いで小首を傾け、
「常盤さん、香恋がきっと助けますから」
千晃くんのシャツをさり気なくつかみ、
「お姉さま、るうちゃん、末永くよろしくお願いいたします」
茉由子さんとるうちゃんにキラキラな笑顔を振りまいて、
香恋ちゃんがやっといなくなった。
休日のチーフと千晃くんに後ろ髪引かれてる感満載だったけど、
「いや、永遠に他人だから」
茉由子姐さんがすこぶるドライで、断念した様子だった。
「るう。ああはなるなよ」
「あいあいさー」
買い物を終えると、
「またのご来店をお待ちしております」
店員さんたちが声をそろえてきっちりとお辞儀をし、
私たちを見送ってくれた。
結局、レモンイエローのドレスに決めて、
「高野さん、ありがとうございます」
「なんで俺が、常盤の服買わなきゃならねんだ?」
チーフが頑として譲らず、
なぜか千晃くんのスーツも一緒に、そのドレスを買ってくれた。
「パーティ、楽しもうね、ここ」
通りに出て、私の頭を軽く撫でてくれた千晃くんにうなずいて、
ドレスの入った紙袋を抱きしめた。
紙袋の中には、ここにいる人たちの優しさが詰まっている。
素敵なドレスと一緒に大切に抱きしめた。
週が明けて、
いよいよ30周年記念パーティ当日になると、
社内がどこか浮立っていた。
朝から各部署が担当業務に奔走する中、
「香恋ちゃん、見て、俺のターン。完璧じゃない?」
シュート先輩が無意味にフロアで回転し、
「…一生回っててくださいよ」
香恋ちゃんに盛大なため息をつかせたかと思うと、
「高野さん、ダンス、も~のすごく上手なんだよ」
まりな先輩に笑顔で刺された。
大人可愛いまりな先輩からは、
今日もほのかにクラシックローズの香りが漂う。
チーフとまりな先輩は、どこかでダンスの練習をして、
今日もきっと素敵に踊るんだろうな、と思うと。
どうしても胸の奥がチクチクして、
水に垂らした一滴のインクのように、心に疑いがにじんでいく。
「緊張するね。はい、どうぞ」
デスクに転がってきたピーチキャンディを複雑な思いで眺めた。
派手過ぎず落ち着いたレモンイエローのドレス。
「ここちゃん、とっても素敵よ」
「おひめさま~」
茉由子さんとるうちゃんが私を見に来て、きっぱりと言い切ってくれた。
光沢のあるサテン生地が上品だけど柔らかな雰囲気で、
襟元と流れるようなティアードスカートに遊び心がある。
香恋ちゃんにはけなされたけど。
鏡に映る私が冴えないのは分かっているけど。
やっぱりこのドレスが気になった。
「ここ、すごく可愛い」
「…いいんじゃねえの」
いつの間にか千晃くんとチーフも近くに来ていて、
優しいコメントをくれるから、
恥ずかしさもあったけど、嬉しさがじんわり込み上げてきた。
その後ろに、般若顔の香恋ちゃんとおろおろしている彼氏さんが見えたけど、そこはもう見ないことにした。
「高野さん、香恋のこと、来週からも使ってくださいね」
チーフに上目遣いで小首を傾け、
「常盤さん、香恋がきっと助けますから」
千晃くんのシャツをさり気なくつかみ、
「お姉さま、るうちゃん、末永くよろしくお願いいたします」
茉由子さんとるうちゃんにキラキラな笑顔を振りまいて、
香恋ちゃんがやっといなくなった。
休日のチーフと千晃くんに後ろ髪引かれてる感満載だったけど、
「いや、永遠に他人だから」
茉由子姐さんがすこぶるドライで、断念した様子だった。
「るう。ああはなるなよ」
「あいあいさー」
買い物を終えると、
「またのご来店をお待ちしております」
店員さんたちが声をそろえてきっちりとお辞儀をし、
私たちを見送ってくれた。
結局、レモンイエローのドレスに決めて、
「高野さん、ありがとうございます」
「なんで俺が、常盤の服買わなきゃならねんだ?」
チーフが頑として譲らず、
なぜか千晃くんのスーツも一緒に、そのドレスを買ってくれた。
「パーティ、楽しもうね、ここ」
通りに出て、私の頭を軽く撫でてくれた千晃くんにうなずいて、
ドレスの入った紙袋を抱きしめた。
紙袋の中には、ここにいる人たちの優しさが詰まっている。
素敵なドレスと一緒に大切に抱きしめた。
週が明けて、
いよいよ30周年記念パーティ当日になると、
社内がどこか浮立っていた。
朝から各部署が担当業務に奔走する中、
「香恋ちゃん、見て、俺のターン。完璧じゃない?」
シュート先輩が無意味にフロアで回転し、
「…一生回っててくださいよ」
香恋ちゃんに盛大なため息をつかせたかと思うと、
「高野さん、ダンス、も~のすごく上手なんだよ」
まりな先輩に笑顔で刺された。
大人可愛いまりな先輩からは、
今日もほのかにクラシックローズの香りが漂う。
チーフとまりな先輩は、どこかでダンスの練習をして、
今日もきっと素敵に踊るんだろうな、と思うと。
どうしても胸の奥がチクチクして、
水に垂らした一滴のインクのように、心に疑いがにじんでいく。
「緊張するね。はい、どうぞ」
デスクに転がってきたピーチキャンディを複雑な思いで眺めた。
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