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傍らに感じる、少し照れたような体温が愛しい。
厳しくて強引なくせに、限りなく優しい横顔が愛しい。
「別に、…」
ありがとうじゃ足りなくて。
心の奥深くまで包み込んでくれる、
その手を離したくなくて。
「ヤダ、とか思ってないし」
チーフの方は見れないまま、足元に視線を落としてつぶやくと、
「は?」
チーフが唐突に足を止めたので、つんのめって転びそうになった。
「お前、…」
バランスを崩した私をチーフが両腕で息ができないほど強く抱きしめる。
「いい度胸だな、爺さん煽ると抱いて寝るだけじゃ済まさねえよ?」
「ギブですっ、ギブギブっ‼」
チーフと2人、通行人の邪魔になりながら、
大切な人を大切にして。
日常の幸せに感謝して。
出来ることを積み重ねて。
生きていきたいと思った。
あの日、
千晃くんが買ってくれた靴が、今日も優しく私を支えてくれている。
「あ、高野チーフ。次回プレゼン資料の案、作ってフォルダに入れてあります」
「そうか、ありがとう」
営業3課のフロアに戻ると、チーフは別人のようにスマートに仕事に取り掛かった。
完全に爺さんモードオフ。
く、…かっこいいな。
「受発注のデータ集計と伝票のファイリングも終わっています」
「早いな、助かる」
30周年記念パーティ以降、香恋ちゃんが鬼のように働いている。
まりな先輩が依願退職して、先輩が受け持っていた業務は、ほぼ香恋ちゃんとシュート先輩が引き受けている。
「残業代は神です!」
…本人の強い希望で。
「香恋ちゃん、外回り行こっ」
「はい、秀人さん」
シュート先輩に呼ばれて、香恋ちゃんの声が若干嬉しそうに跳ねる。
なんだかんだ、この2人はいい感じらしく、
「いいか、佐倉。男は忍耐だ!」
聞いてもいないのに、シュート先輩が偉そうにのたまっていた。
まあ。忍耐力を鍛えるのは大事なんじゃないかと思う。けど。
社用車のキーを人差し指にかけて、くるくる回しながら手を振るシュート先輩に、軽やかに手を振り返してから、
「香恋、最近、高野チーフの気持ちが分かるんです」
香恋ちゃんがにっこり微笑んで私に向き直る。
「バカな子ほど可愛いってホントですね」
仲良く肩を寄せ合ってフロアを横切る香恋ちゃんとシュート先輩を目で追いながら、
…なんか。
今、遠回しに人のことバカって言わなかった?
否応なしに忍耐力が鍛えられていくのを感じた。
厳しくて強引なくせに、限りなく優しい横顔が愛しい。
「別に、…」
ありがとうじゃ足りなくて。
心の奥深くまで包み込んでくれる、
その手を離したくなくて。
「ヤダ、とか思ってないし」
チーフの方は見れないまま、足元に視線を落としてつぶやくと、
「は?」
チーフが唐突に足を止めたので、つんのめって転びそうになった。
「お前、…」
バランスを崩した私をチーフが両腕で息ができないほど強く抱きしめる。
「いい度胸だな、爺さん煽ると抱いて寝るだけじゃ済まさねえよ?」
「ギブですっ、ギブギブっ‼」
チーフと2人、通行人の邪魔になりながら、
大切な人を大切にして。
日常の幸せに感謝して。
出来ることを積み重ねて。
生きていきたいと思った。
あの日、
千晃くんが買ってくれた靴が、今日も優しく私を支えてくれている。
「あ、高野チーフ。次回プレゼン資料の案、作ってフォルダに入れてあります」
「そうか、ありがとう」
営業3課のフロアに戻ると、チーフは別人のようにスマートに仕事に取り掛かった。
完全に爺さんモードオフ。
く、…かっこいいな。
「受発注のデータ集計と伝票のファイリングも終わっています」
「早いな、助かる」
30周年記念パーティ以降、香恋ちゃんが鬼のように働いている。
まりな先輩が依願退職して、先輩が受け持っていた業務は、ほぼ香恋ちゃんとシュート先輩が引き受けている。
「残業代は神です!」
…本人の強い希望で。
「香恋ちゃん、外回り行こっ」
「はい、秀人さん」
シュート先輩に呼ばれて、香恋ちゃんの声が若干嬉しそうに跳ねる。
なんだかんだ、この2人はいい感じらしく、
「いいか、佐倉。男は忍耐だ!」
聞いてもいないのに、シュート先輩が偉そうにのたまっていた。
まあ。忍耐力を鍛えるのは大事なんじゃないかと思う。けど。
社用車のキーを人差し指にかけて、くるくる回しながら手を振るシュート先輩に、軽やかに手を振り返してから、
「香恋、最近、高野チーフの気持ちが分かるんです」
香恋ちゃんがにっこり微笑んで私に向き直る。
「バカな子ほど可愛いってホントですね」
仲良く肩を寄せ合ってフロアを横切る香恋ちゃんとシュート先輩を目で追いながら、
…なんか。
今、遠回しに人のことバカって言わなかった?
否応なしに忍耐力が鍛えられていくのを感じた。
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