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「え? 梨子ちゃんに会ったの?」
夜。
るうちゃんを連れて、茉由子さんがチーフのマンションに遊びに来た。
今夜は餃子パーティ、と大量のひき肉と餃子の皮を引っ提げて。
旦那さんが出張に行ってしまったらしい。
「ななな、えええ、どどど、…⁉」
餃子のタネをるうちゃんと仲良く包んでいたら、茉由子さんがオロオロしてタネを落とし、
「なんでお前が動揺するんだよ。別になんもねえよ」
速やかにチーフに片づけられていた。
「だって、だって、ずっと忘れられなかったんじゃないの⁉ だからその後、誰とも付き合わなかったんじゃないの⁉」
小さな手で必死に皮を丸めるるうちゃんを手伝いながら、そこはやっぱり気になって、全身が耳になってしまう。
「…お前か。それでこいつが変なこと言ってたんだな」
餃子焼き担当のチーフが、フライ返しを持ったまま私の頭に手をのせて、
「忘れられなかったわけじゃない。俺は恋愛に向かないんだな、って思っただけで」
確かめるように何度も撫でた。
「がっくん、るうもいいこいいこ~~」
隣からるうちゃんがちょこんと頭を突き出して、
「しょうしんだから」
唇を尖らせた。
千晃くんがいなくなったと知って号泣したるうちゃんは、大きくなったら海外に行くと息巻いていた。
チーフが優しくその小さな頭を撫でると、
「がっくんでもいいか~~」
満足そうに頬を緩め、
「…でも、って言うなよ」
チーフに髪をくるくるかき回されて笑い声を上げた。
「そう、…なんだ」
茉由子さんが、力が抜けたように両腕をぱたんと膝に降ろす。
「…ていうか。愛って何か、分かってなかったのかも」
るうちゃんの頭から離した手で、もう一度私の頭をポンと撫でて、チーフがキッチンに戻っていった。
その後ろ姿と私を交互に見ながら、
「…雅のこと。よろしくお願いします」
茉由子さんが神妙に頭を下げた。
いや。いやいやいや。
何と言ったらいいのか分からずに、とりあえず頭を下げ返すと、
「じゃあ! ここちゃん、正式にこのマンションに引っ越してくるんだねっ 楽しみっ」
「たのちみっ」
茉由子さんがイエイと片手を上げ、つられてるうちゃんも片手を上げて餃子のタネを盛大にまき散らした。
「え、…」
それは。
密かに、願っていたことだけど。
ずっとここに居られたらいいのに。
このままずっと。
ちらりとキッチンに立つチーフを振り仰ぐと、
「…そうだな。俺、ずっと待ってるんだけど?」
チーフは口の端を上げて、優しさとセクシーさをないまぜにした笑みを浮かべ、無駄に私の心拍を乱した。
餃子パーティが美味しく終了して、
茉由子さんとるうちゃんがリビングで眠りに就いた後、
「言っとくけど。ここに入れたの、お前だけだから」
チーフが当然みたいに自分の部屋の自分のベットに私を入れる。
私を包み込む大きくて引き締まった身体。
形のいい鼻筋。官能的な唇。
いい匂いのする首筋。まっすぐな鎖骨。
きれいなカーブを描く顎のライン。
温かくて安心するチーフの腕の中は。
甘く芳しい誘惑に満ちている。
夜。
るうちゃんを連れて、茉由子さんがチーフのマンションに遊びに来た。
今夜は餃子パーティ、と大量のひき肉と餃子の皮を引っ提げて。
旦那さんが出張に行ってしまったらしい。
「ななな、えええ、どどど、…⁉」
餃子のタネをるうちゃんと仲良く包んでいたら、茉由子さんがオロオロしてタネを落とし、
「なんでお前が動揺するんだよ。別になんもねえよ」
速やかにチーフに片づけられていた。
「だって、だって、ずっと忘れられなかったんじゃないの⁉ だからその後、誰とも付き合わなかったんじゃないの⁉」
小さな手で必死に皮を丸めるるうちゃんを手伝いながら、そこはやっぱり気になって、全身が耳になってしまう。
「…お前か。それでこいつが変なこと言ってたんだな」
餃子焼き担当のチーフが、フライ返しを持ったまま私の頭に手をのせて、
「忘れられなかったわけじゃない。俺は恋愛に向かないんだな、って思っただけで」
確かめるように何度も撫でた。
「がっくん、るうもいいこいいこ~~」
隣からるうちゃんがちょこんと頭を突き出して、
「しょうしんだから」
唇を尖らせた。
千晃くんがいなくなったと知って号泣したるうちゃんは、大きくなったら海外に行くと息巻いていた。
チーフが優しくその小さな頭を撫でると、
「がっくんでもいいか~~」
満足そうに頬を緩め、
「…でも、って言うなよ」
チーフに髪をくるくるかき回されて笑い声を上げた。
「そう、…なんだ」
茉由子さんが、力が抜けたように両腕をぱたんと膝に降ろす。
「…ていうか。愛って何か、分かってなかったのかも」
るうちゃんの頭から離した手で、もう一度私の頭をポンと撫でて、チーフがキッチンに戻っていった。
その後ろ姿と私を交互に見ながら、
「…雅のこと。よろしくお願いします」
茉由子さんが神妙に頭を下げた。
いや。いやいやいや。
何と言ったらいいのか分からずに、とりあえず頭を下げ返すと、
「じゃあ! ここちゃん、正式にこのマンションに引っ越してくるんだねっ 楽しみっ」
「たのちみっ」
茉由子さんがイエイと片手を上げ、つられてるうちゃんも片手を上げて餃子のタネを盛大にまき散らした。
「え、…」
それは。
密かに、願っていたことだけど。
ずっとここに居られたらいいのに。
このままずっと。
ちらりとキッチンに立つチーフを振り仰ぐと、
「…そうだな。俺、ずっと待ってるんだけど?」
チーフは口の端を上げて、優しさとセクシーさをないまぜにした笑みを浮かべ、無駄に私の心拍を乱した。
餃子パーティが美味しく終了して、
茉由子さんとるうちゃんがリビングで眠りに就いた後、
「言っとくけど。ここに入れたの、お前だけだから」
チーフが当然みたいに自分の部屋の自分のベットに私を入れる。
私を包み込む大きくて引き締まった身体。
形のいい鼻筋。官能的な唇。
いい匂いのする首筋。まっすぐな鎖骨。
きれいなカーブを描く顎のライン。
温かくて安心するチーフの腕の中は。
甘く芳しい誘惑に満ちている。
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