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iiyori.07
05.
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「穂月ぃいいい―――っっ、お酒飲んじゃダ、…め、むぐ、…っっ??」
ものすごく嫌な予感がして、ともかくも穂月に知らせようと部屋に向かって走ったら、
「曲者っっ!!」「捕えよっっ!!」
穂月の部屋に辿り着く前に四方八方からお侍方がぞろぞろ出てきて、もの凄い速さで捕らえられた。
「怪しきやつを捕えましたっ!」「こやつが、下手人??」
「間違いありませぬ、殿と若に毒を盛ったのは女中であったとか」
「羽間の間者でありましょうっ」
ギラギラと長刀を光らせながら、か弱い女の子一人を相手に、屈強な男たちが寄ってたかって責めてくる。あっという間に後ろ手に縛られ、分厚い布で轡を噛ませられて、小指一本自由に動かせない状態になった。
な、な、何事っ!???
「まだ仲間が潜んでるやもしれぬ」
「引き続き捜索っ!!」「怪しげなやつは全て捕えよ!!」
お侍方は慌ただしくあちらこちらに分かれていく。
「こやつの処分は」「殿の前で情報を吐かせてから処刑だ」
「殿は今、お加減が悪い。明朝まで地下牢に閉じ込めておけ」
な、な、なにそれ――――――っ!!
あれよあれよという間に担ぎ上げられ、訳も分からず、抵抗も出来ないうちに、暗い地下まで連れていかれて、鉄格子の嵌った石造りの冷たくて狭い部屋の中に放り込まれた。
ガシャン、…――――――
受け身も取れず、もんどりうって転がっている間に、施錠される音が無情に響いた。
「んんんんん――――――っっ!!」
ちょっと待ってよ、と言いたいのに声が出せない。
多分、なんか、いろいろ間違ってるんだって! と言いたいのに、誰にも聞いてもらえない。
誰も待ってくれず、見向きもされず、私をここに連れてきたお侍さんたちはいそいそと立ち去ってしまう。見張りが付いてないのはいいことなのか悪いことなのか、地上に続く階段から漏れていた光も届かなくなって、たった一人で土埃と黴の匂いがする真っ暗で冷たくて不気味な部屋に閉じ込められた。
ちょ、…噓でしょおお???
なにこれ、どういうこと? さっぱり意味が分からないっっ!!
悪夢のような状況に混乱して動揺して途方に暮れて。
怒りに震えて絶望に駆られて泣き叫んでも、どうにもならず。
どのくらい時間が経ったのか、徐々に頭が冷えてきた。
ともかく。
処刑は明朝だって言ってたから、それまで少しは時間がある。
冷静に状況を把握して逃げ道を探さなければ。
無駄に暴れたせいで腕を縛られている縄が食い込んで痛い。涙と唾が沁み込んだ布の轡が気持ち悪い。
多分。
法師の手足となっている人が着実に蟲毒を盛ったんじゃないかと思う。それが発覚して、私が犯人として捕らえられた。どうも私の振りをして動き回っていたようだから、最初から私に罪を着せる目的があったのかもしれない。
若干目が慣れて辺りの様子が見えるようになると、暗闇に浮かび上がる鉄格子の地下牢は、隙間なく石が敷き詰められていて、固く冷たく閉ざされている。閉じ込められているスペースは二畳くらいだけど、ここ以外にも地下は広く続いているような気がする。
鉄格子を潜り抜けるとか石で囲まれた壁を壊すとか、そんなことはとても出来そうにない。大人しくしていて朝になったら、殿、…晴信?に申し開きが出来るだろうか。でも何をどう話せば、…何をどう話しても、信じてもらえる気がしない。
ものすごく嫌な予感がして、ともかくも穂月に知らせようと部屋に向かって走ったら、
「曲者っっ!!」「捕えよっっ!!」
穂月の部屋に辿り着く前に四方八方からお侍方がぞろぞろ出てきて、もの凄い速さで捕らえられた。
「怪しきやつを捕えましたっ!」「こやつが、下手人??」
「間違いありませぬ、殿と若に毒を盛ったのは女中であったとか」
「羽間の間者でありましょうっ」
ギラギラと長刀を光らせながら、か弱い女の子一人を相手に、屈強な男たちが寄ってたかって責めてくる。あっという間に後ろ手に縛られ、分厚い布で轡を噛ませられて、小指一本自由に動かせない状態になった。
な、な、何事っ!???
「まだ仲間が潜んでるやもしれぬ」
「引き続き捜索っ!!」「怪しげなやつは全て捕えよ!!」
お侍方は慌ただしくあちらこちらに分かれていく。
「こやつの処分は」「殿の前で情報を吐かせてから処刑だ」
「殿は今、お加減が悪い。明朝まで地下牢に閉じ込めておけ」
な、な、なにそれ――――――っ!!
あれよあれよという間に担ぎ上げられ、訳も分からず、抵抗も出来ないうちに、暗い地下まで連れていかれて、鉄格子の嵌った石造りの冷たくて狭い部屋の中に放り込まれた。
ガシャン、…――――――
受け身も取れず、もんどりうって転がっている間に、施錠される音が無情に響いた。
「んんんんん――――――っっ!!」
ちょっと待ってよ、と言いたいのに声が出せない。
多分、なんか、いろいろ間違ってるんだって! と言いたいのに、誰にも聞いてもらえない。
誰も待ってくれず、見向きもされず、私をここに連れてきたお侍さんたちはいそいそと立ち去ってしまう。見張りが付いてないのはいいことなのか悪いことなのか、地上に続く階段から漏れていた光も届かなくなって、たった一人で土埃と黴の匂いがする真っ暗で冷たくて不気味な部屋に閉じ込められた。
ちょ、…噓でしょおお???
なにこれ、どういうこと? さっぱり意味が分からないっっ!!
悪夢のような状況に混乱して動揺して途方に暮れて。
怒りに震えて絶望に駆られて泣き叫んでも、どうにもならず。
どのくらい時間が経ったのか、徐々に頭が冷えてきた。
ともかく。
処刑は明朝だって言ってたから、それまで少しは時間がある。
冷静に状況を把握して逃げ道を探さなければ。
無駄に暴れたせいで腕を縛られている縄が食い込んで痛い。涙と唾が沁み込んだ布の轡が気持ち悪い。
多分。
法師の手足となっている人が着実に蟲毒を盛ったんじゃないかと思う。それが発覚して、私が犯人として捕らえられた。どうも私の振りをして動き回っていたようだから、最初から私に罪を着せる目的があったのかもしれない。
若干目が慣れて辺りの様子が見えるようになると、暗闇に浮かび上がる鉄格子の地下牢は、隙間なく石が敷き詰められていて、固く冷たく閉ざされている。閉じ込められているスペースは二畳くらいだけど、ここ以外にも地下は広く続いているような気がする。
鉄格子を潜り抜けるとか石で囲まれた壁を壊すとか、そんなことはとても出来そうにない。大人しくしていて朝になったら、殿、…晴信?に申し開きが出来るだろうか。でも何をどう話せば、…何をどう話しても、信じてもらえる気がしない。
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