戦国男子高校生に言い寄られてます!?【完結】

remo

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iiyori.08

01.

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…熱い。痛い。息が切れる。

地下牢の鉄格子に、後ろ手に縛られた縄を擦り付けて摩擦熱を発生させ、縄を焼き切るという手段を取ってみた。

これが地道で地味なツラい作業だった。体勢はしんどいし、即効性がないし、本当に可能なのかもわからない。でも他に方法を思いつかないからやるしかない。くじけるな、突き進め。確実に熱は感じるし、縄も若干緩んできたような気がしなくもない。

地下牢からの脱出に闘志を燃やしたものの、当然ながら抜け道はない。足は自由に動くから、牢屋内を隅々まで探索して、どこかに隙間がないか、それこそ舐めるように探ってみたけど、細かく石が敷き詰められた牢屋内はほんのわずかな隙間もなかった。全く風を感じず、光も音も漏れてこない。こんな密閉空間を作っていたなんて、志田城の技術はすごいな、と逆に感心してしまうほど。

こんなことなら、炊事場からナイフの一つも忍ばせてくるんだった。いや、何よりも、どうして事前に地下牢から抜け出す方法をネット検索しておかなかったんだろう。と、のうのうと過ごしてきた自分を恨めしく思う。

滴り落ちる汗を拭うことも出来ず、体力も限界だったけど、諦めたら終わりだ。嘆いていても始まらない。それに何より、時間がない。

今、こうしている間にも、穂月と三姫がめくるめく一夜を過ごしているかもしれないわけで、それを思うと胸が潰れそうになる。

ともかくも必死で、だんだん気が遠くなって意識も朦朧としてきたけどくじけず、摩擦熱を起こすことに躍起になっていたら、不意に本当に縄が緩んだ。

マジか。
摩擦で縄の繊維が切れたのかもしれない。よく分からないけど、とにかく。
やった、…!!

手首を動かし壁と背中で縄を挟み込みながら何とか腕を引き抜いた。関節が外れそう。でも数時間ぶりに自由に手を動かせる。

万歳、自由だ!! 自由だあああ~~~~~

喝さいを上げたくなるような達成感の中、頭の後ろで縛られている布の結び目を外し、息苦しい轡を取った。

す、…すごい新鮮な空気。生き返る、…っっ

と思わず深呼吸して、埃とかびを思い切り吸い込んでむせた。うげっほげほ、… いや、地下じゃん。よどんだ空気じゃん。

それでも達成感が凄くて、よっしゃあ今すぐ地上にダッシュして穂月を取り戻すっと息巻いてみたけど、鉄格子の隙間をくぐり抜けるのは至難の業だった。隙間から手足を出すことは出来るけど、頭がどうにも通らない。いや、無理だ。骨がつかえる。

「マジでええ、…」

せっかく縄を抜けたのに、諦めきれず、何とかしてどこかから抜け出せないかと牢屋内の壁や床を這いつくばって探っていると、ふいに薄い明りと人の気配を感じた。

地下牢に続くドアを開けて、地上から誰か降りて来る。
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