胡乱なるウーロン茶

たくばや

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削り取る商売

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自分がしているのは所謂阿漕な商売なのだろうか。
そんな疑問は常に自分の中にあった。
無料点検をする等と言って家庭を訪問してはやれ屋根の瓦がずれていて危険であるとか、水道の水が汚染されており病気になる、などと不安を煽り工事の契約をしたり高額の商品を売るような商売。
実際のところ自分には危険かどうかなどはわからない。
だがそのような事を気にするたちではないと自らを認識していた。
買う方が悪いのだと思っているつもりだった。
彼らが必要と思っているから買うのだと。
しかし知らず知らずのうちに罪悪感が澱のように心に溜まっていたのかもしれない。

朝目が覚めたら私はティッシュペーパーになっていた。
いや、時間の感覚や起きるという概念も最早懐かしく感じられる。
今や箱ティッシュに私の自意識だけが乗っかっている。
全く知らない部屋で知らない人間が置いた箱ティッシュにである。
奇妙な感覚ではある。
だがそれに対して何か感じる気持ちも殆どない。
しかし一つだけとても恐ろしいことがある。
箱ティッシュ自体が私でありティッシュペーパー1枚1枚に私の感覚があるということだ。
私の持ち主がティッシュを使うたびに自らの体が、精神が、1枚1枚削り取られていく耐え難い苦痛に襲われるのである。
私の持ち主はそれほどティッシュを使う頻度は高くないようだ。
しかし、日々少しずつ私は消費されていく。
遂に最後の一枚が残り私はただ自らが消えていく事を恐れた。
最後の一枚を使わないでくれと願い続けた。
かティッシュを取ろうと持ち主が手をこちらに伸ばした時、私の意識は途絶えた。

次に気が付くと私はまたしてもティッシュペーパーであった。
しかし今度はポケットティッシュだ。
今度の持ち主はどこかでポケットティッシュをもらった後ずっと入れっぱなしにしているようで、私をバックパックの奥で眠らせ続けている。
そして、そのバックパックを背負って世界中を旅しているようだ。
どこかで必要になった時、私の事を思い出して使ってしまうかもしれない。
だが今日も私はバックパックの底に引っ付いて世界中を巡る。
こんなティッシュなら悪くないのかもしれない。
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