胡乱なるウーロン茶

たくばや

文字の大きさ
41 / 44

闇素麺

しおりを挟む
目に入る建物も道路も看板も何もかもがカラフルで目に優しくないことこの上ない。
随分昔に色を自由に使うことが法で禁止された。
いや、正確にいうと色を付けることを強制されるのだ。
それもなるたけ派手な色を。
その時代にはとにかく人々が個性を発揮することの重要性が叫ばれ、没個性的であると政府に見做されたことはどんどん処罰されるようになっていった。
取り敢えず建物の色をグレーやブラウンにすることも認められない。
デザインをわざわざ申請して余程独自性が認められなければ白や黒に塗ることも出来ない。
全く、パンダという種の個性はどうなっているんだ。
結果、世間には様々な色彩鮮やかなものが増え、モノトーンという概念は消えたかと思われる程だ。
私の様に不満を持つ者も多いとは思う。
ただそれでお上に逆らおうという程の気概を持ったものはいないのだ。

結局脳内で文句を垂れ流してもなんの意味もないなと歩いていると素麺ありますというパステルカラーの看板が目に入った。
素麺か、なんとなくさっぱりしたものを食べたい気分だったので入ってみることにする。
メニューにはカラフルな素麺の写真が並ぶ。
ひとつ溜息をついて注文しようと思った時、店員と目があった。
そして彼女は近付いてくるなり言った。
「お客様、もしよろしければ白い素麺を召し上がりませんか?」
白い素麺か、見たことがないな。それは是非とも頂きたい。
「ではこちらに」
案内されるままに奥に進むと
「少々手狭で申し訳ございません」
どうやら隠し部屋になっているようだ。
「こちらでは白い素麺を提供しております」
差し出されたそれに私は心を打たれた。
生まれて初めて見たがそれこそが素麺の真の姿なのではないかと思えるほどしっくりときている。
「これは素晴らしいです。」
「是非また白い素麺を食べにいらしてください。政府に見つからない限りここで出し続けていく予定です」
やはり白を白のままにする自由を取り戻さなければ。
その時私はそう誓ったのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

処理中です...