タケノコの里とキノコの山

たけ

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ニ章 

第二十九話 初見殺しなんだよ

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混沌とした空気の中、パアワだけは唯一冷静を保っていた

少し前にあのおぞましい姿を見たし、軍の仲間を殺した。逃げ帰ってきたが、自分も殺される寸前だった。

アポロ族、特にアガレズという奴にははっきりとした敵対心がある。

あるからこそ、休息を取るべきだと悟った

「なあ、みんな、休憩しねえか この疲れた状態で戦っても、勝てやしねえ…」

「……たしかにそうだ、な…」

ーーーーーー

道の脇に輪を作りそこで少しの休息を取った

「ほれ、携帯食」

レイがイアンに食事を渡す。

「ああ…ど~も
…それでパアワ、アポロ族ってのは、聞いた話でいいんだよな」

「ああ、二足歩行ではあるけど、人間じゃないみたいで それで…なんな、足が?触手か?それが生えていると言うか…」

「…」

パアワの話を皆で黙って聴く。この雰囲気の中で生々しいアポロ族の見た目をおさらいされた。かなり気分が悪いが、しょうがない

そんな話をしている中、ハルが喋る

「結局これ…何処に向かおうとしてるんですかね、俺達」

「さぁねぇ…」

「空気は確かに違いますが、見た目はいつも歩く草原。このまま進んで帰るとき迷子にでもなったりしたら…」

ここにいる皆口に出さないだけでハルとは同意見であった。今は直進だが、この先の道はへんてこになっているだろうし、ここで死ぬなら帰ったほうが何倍もいい

「確かに、ここらへんで、徹底的な何かを掴み」

ボヤが見える、黒い、触手だろうか

何か

何かがいる


「ーーーーーーーーー構えろ!!!」

レイが叫び
空気がひりつく

「……ッ!」

パアワの後ろだ。パアワが話した通りの見た目をした生物が立っている
 
人間をベースとした作りではあるが、足に細い触手のようなものがはえ、体全体が黒ずみヒビが入っている。恐怖の権化のような見た目をしていた


「うん……ンン、ンンん…気配を消して静かにしていたというの二…この視界のワルいなか、よク見つけたなぁ………??うん。スゴい」

「っっっでえりゃあ!」

剣を構える時間すら惜しい、渾身の体術でパアワがアポロ族に殴りかかる

その動きを起点に、全員が生物を取り囲むように構える

「うん?が」

頭突きだ、パアワが生物の首根っこを掴み強烈な頭突きを繰り出した。

生物が少し怯む、その好きにパアワが剣を持ち構えた。

こちら側は完全に臨戦態勢を取った しかし

「~ぅん。うん。いイね。ヤルきだ」

殆ど聞いていない。想定内ではあった。

「おまえ…俺のこと覚えてるよな??アガレズだよな、お前」

「うん。俺はアガレズだ。おまえ、うん。パアワ だな。久しぶりに見た人間だからな…あのとキは逃がしたが、うん。今日は…と言いたいところだが…うん。人数不利だ」

「逃げんのか」

「逃げないよ」

ぬるりとパアワの間合いに入る。パアワ以外の人間は興味がないようだ

「っ」

アガレズが手刀でパアワの首に狙いを付ける

それを見事に交わし、手刀がきたほうこうへ剣を振り下ろした

ビチっという鮮やかな音がする。アガレズの左腕を切断した。

「ナイスパアワ!続け!」

レイの掛け声で全員が斬りかかる

「……うん。痛い。痛…

イイ…」

ずりゅ という気持ちの悪い音
切断したはずの左腕が生えた

「きっしょ!再生すんのかよ!」

「うん。キミはダレ」

「てめぇに名乗る名じゃねえんだよカス!」

キクが先陣をきり、剣振る、が、鈍い音が鳴り響き防御された。

「!?」

「俺はぁ…足ノ触手をぉうん。切り放すと、鋭い刃物ニナルンダよ。うん」

「気持ち悪ぃな…!そもそもなんで俺達の言葉を!」

「先祖様だから カナ?うん」

(先祖…!)

ハルが思い出す。カイムとの会話を
アポロ族という生物は、自分たちの先祖 だと

…そんな事を考えてる余裕はない…

「はああああ!」

ハルの役に立ちたいという思いが突き進む。
狙うは触手、あそこを切ってしまえば、剣を作り出すことは不可能なはずだ

「…いいね、ハル」

命中 それを見たレイからのささやかな褒め言葉が、ハルをより強くする

「おっとお……うん。ウン…」

斬るとき、人間ほどの不快感はない。このままいけば、勝利への道くらいは作れるはず、それくらいの傷をおわせられるはず

「ぜえええやぁぁぁ!!」

剣を 腹に突き刺した

「んぐふふふ!うん!うん!!!」

「…っ!」

黒い血のようなものが流れ出る。効いてるような気もするし、効いてないような気もする。

ーアガレズは、笑っていた

「…………うん!うん!!ウんー!!!!」

「ごぁっ」

人間には繰り出せない関節の曲がり方で、ハルの顎に向かって腕を振る

かろうじてガードしたものの、尋常ではない勢いに、目がまわり口から鉄の味がする



「ハル!っそ!そこにとまってろ!」

警戒しながら動いていたが、ここでアガレズにむかって全員が突撃する。

キノコ軍最強のレイの攻撃、それに加えて、4人の追加攻撃、アガレズは交わす。またもやぬるりとした動きで、

その上気持ちが悪い、人間の形をしているくせに、関節がありえない方向へ曲がったりするから
再現不能な動きをしてくる。

その動きで攻撃を交わし、少しずつ攻撃を返していく。手刀で、

「ーーこれじゃぁ…っ攻撃あたんねぇぇだろぉ…!!」

レイが頭を振り回し、アガレズの動きを追う、が終えない。あり得ない関節の曲がり方で体を小さくし、俊敏に動く。目がまわりかいまにも攻撃を食らいそうだった

しかもハルが必死の思いできった触手も再生している。この速さで手刀ではなく剣を使われたら、
全滅は間逃れない

「なんで体術なんだよ…!剣使えや雑魚が」

イライラしたキクがつぶやく

「キク!挑発するな!」

イアンの声は聞こえない

「使って良いのか?うん


ウンウンうん…使おう。キミニダケ、特別だ」

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