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ニ章
第四十六話 おちゅうしゃ
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ひび割れた大岩。降り積もる土砂。困惑する男3人。素敵な笑みを浮かべたアガレズ
数十メートル先には巨人
この渦中で"それ"は始まる
「交…渉?なんの交渉…だ?」
「わかってるだろ?俺はヨツンヴァインを倒したいがある理由で死にたくない
お前たちはアデルに勝利するためにヨツンヴァインに勝たなければいけず、現状この死の可能性がある注射器を使って巨人の力をを得なければならない
互いの意見は相反した…だから、お前たちに俺が命を使ってもいいと思える程の対価が必要だ」
「ああ…そうかよ…じゃあ俺が注射器つかう、しんでもいい」
「駄目だ」
「ああ!?なんで!」
キクの疑問にアガレズが注射器を余裕そうにぷらぷらさせながら中にはいっている黒紫色の液体をアピールする。
「この液体を取り込むには器が必要だ。器とは、単純な肉体の強度…筋肉量さ。君たちは、どう見てもソレが足りない。使うのなら俺しかいないのさ」
「「「…」」」
全員が、沈黙する。ふう、と息をつきアガレズは注射器をしまいその場に座り込んだ
「……対価とかいわれても…わかんねぇよ。お前は何が欲しい?何なら納得する?」
「…アポロ族の平和」
「平和…?」
「平和だ、」
アガレズは短く言い切りそれ以降は無言だ。座ったまま傷口に手を抑えている。
もう彼に戦う気力が残っているようには見えなかった
「…………なんでそんな…諦めた雰囲気なんだよ…」
カイムが絶望しながら言う。この状況でアガレズが戦力外になったらどうしようもないのだ
「諦めてはいないさ…ただ、とある人の発言を待ってる」
アガレズは含んだ言い方でそう漏らす
「は?誰のことだ?」
アガレズはその言葉を皮切りにニヤリと笑いだす。
なにかわるだくみをしているかのような、煽るような目だった
そしてアガレズがゆっくりと視線をずらし、
その男にむけて指を指した
「…………カイム、君さ」
「…え?」
カイムは焦ったかのように困惑する
…それもそうである。この空気でカイムが話に入るスキなどないはずなのだから
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……俺は何年も生きてきたからか、少しくらいは人の考えてることがわかる。そこから相手の事を推察することも少しできる。カイム…恐らく君は…」
「…っ、なんだよこんな時に…俺はただの一般人だが!!」
「…どうだか?」
「か、カイム…?」
アガレズはニヤニヤと笑い。冷や汗を垂らしたカイムのもとへ歩き腕を突き出す
「カイム。君が、この注射器を使えと言うなら、打つよ。いくらでもね。だって君は、この力の専門家だ」
「なっ…ッ!!」
カイムの顔が歪む、焦り、絶望、怒り
黒いモノを複合した気持ちの悪い感情が垣間見えた
「カイム…なにか、知ってるの?」
ハルが恐る恐る話しかける。肩にかけた手を振り切るようにカイムは声を発した
「別に…っ、なんでもねぇよ…ただ…おれは…」
「……図星なんだな?カイム…」
アガレズの決定的な一言を皮切りに、カイムが拳を握り、ついに言った。
「………アガレズ、お前の言う通りだよ。おれは…っ
霧…その液体が何か知ってる。二人とも…今で何も言わないでごめん…」
「お、おう……」
「はぁ…」
置いてけぼりにされたハルとキク。二人共状況がわからないものの、カイムが注射器の液体について知っていること、そしてなせそれを知ってるかを詮索するのがご法度だという事だけはわかった
「アガレズ、俺はお前が死に至らないようにヨツンヴァインの力を取り込む方法を知っている。交渉なんていらない。お前が死なないなら、それでいいだろ…?」
「オーケー。その言葉を待っていたのさ。君たちがおれが納得する対価を差し出せるなんて最初から思ってなかったからね…」
「ちっ…。時間がない。今から注射器をお前に打つ、だから…よこせ」
不快感の混じった顔でカイムはテキパキと会話を進める。その顔はまるで"この話を終わりにしたい"とでも言うようだ
「カイム…てめぇはなんで……」
「集中してる、時間がない…色々あんだよ…おれは」
キクの言葉を遮りアガレズから受け取った注射器を
見回す。そして呟く
「…液体の量が多すぎるな、致死量だ…4分の一の量でいい…」
「そうなのかい?カイム、それは助かった。しらなかったら大惨事だ。やはり専門家だね」
「…腕を出せ」
ほい、右腕を指したアガレズの腕に注射器を刺し、少量の液体を加えた
お互いが何かを考え。お互いが目線を向けない。
暗黒と言う空気其のものでった
その中、ハルたちには聞こえないようにカイムは静かにささやく
「…アガレズ、お前は人の考えが察せるって言ってたけど、なんとなく察せるだけで、人の心が読めるわけじゃないんだよな?」
「そうさ、君に何があったか…詳しい過去も、おれは何も知らないよ」
「俺の心………どこまで分かる?」
「俺が気付いたのは、君がーーーーーである事と、 ーーーーを持っていることだけさ、まあこれは来た時に"匂い"でわかったけどね。あとは知らない」
アガレズがニヤニヤしながら、左手で鼻をつんつんとたたく。その煽りに対してカイムは失笑したできなかった
「……っ匂いだと…………お前には勝てねぇな………………………
…それを知った時、どう思った?」
若干の焦りを含んだカイムの物言いに、
アガレズは優しく答える。それはまるで慰めるかのように
「ーーなんとも思わない。何十年も生きてきた俺にとって、君よりもユニークな人間をたくさん見てきた。
君の存在は所詮。俺の記憶の一部にも及ばないさ」
「…ふっ、そうかよ…」
「それに…俺は君の過去はしらない、が、これだけはわかる。
君は…」
「……」
そう言いかけたところで、アガレズは急に顔を明るくする
「…意味のない話は辞めようか、感情論のような事を言おうとしたけど、恐らくなんの元気付けにもならないだろうしね」
「……ああ…助かる…さて、お注射の時間はおしまいだ…いこう」
二人はゆっくりと立ち上がり、数十メートル先の巨人を見つめる
液体を打ち込まれたアガレズは体をふるわせ、口や目から蒸気のような煙が発生している
今この時、アガレズの体中に染み渡ったヨツンヴァインの力が、開放されようとしている
「ああ、いこ…うか」
ろれつのまわらない口で、アガレズはそういった
数十メートル先には巨人
この渦中で"それ"は始まる
「交…渉?なんの交渉…だ?」
「わかってるだろ?俺はヨツンヴァインを倒したいがある理由で死にたくない
お前たちはアデルに勝利するためにヨツンヴァインに勝たなければいけず、現状この死の可能性がある注射器を使って巨人の力をを得なければならない
互いの意見は相反した…だから、お前たちに俺が命を使ってもいいと思える程の対価が必要だ」
「ああ…そうかよ…じゃあ俺が注射器つかう、しんでもいい」
「駄目だ」
「ああ!?なんで!」
キクの疑問にアガレズが注射器を余裕そうにぷらぷらさせながら中にはいっている黒紫色の液体をアピールする。
「この液体を取り込むには器が必要だ。器とは、単純な肉体の強度…筋肉量さ。君たちは、どう見てもソレが足りない。使うのなら俺しかいないのさ」
「「「…」」」
全員が、沈黙する。ふう、と息をつきアガレズは注射器をしまいその場に座り込んだ
「……対価とかいわれても…わかんねぇよ。お前は何が欲しい?何なら納得する?」
「…アポロ族の平和」
「平和…?」
「平和だ、」
アガレズは短く言い切りそれ以降は無言だ。座ったまま傷口に手を抑えている。
もう彼に戦う気力が残っているようには見えなかった
「…………なんでそんな…諦めた雰囲気なんだよ…」
カイムが絶望しながら言う。この状況でアガレズが戦力外になったらどうしようもないのだ
「諦めてはいないさ…ただ、とある人の発言を待ってる」
アガレズは含んだ言い方でそう漏らす
「は?誰のことだ?」
アガレズはその言葉を皮切りにニヤリと笑いだす。
なにかわるだくみをしているかのような、煽るような目だった
そしてアガレズがゆっくりと視線をずらし、
その男にむけて指を指した
「…………カイム、君さ」
「…え?」
カイムは焦ったかのように困惑する
…それもそうである。この空気でカイムが話に入るスキなどないはずなのだから
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「……俺は何年も生きてきたからか、少しくらいは人の考えてることがわかる。そこから相手の事を推察することも少しできる。カイム…恐らく君は…」
「…っ、なんだよこんな時に…俺はただの一般人だが!!」
「…どうだか?」
「か、カイム…?」
アガレズはニヤニヤと笑い。冷や汗を垂らしたカイムのもとへ歩き腕を突き出す
「カイム。君が、この注射器を使えと言うなら、打つよ。いくらでもね。だって君は、この力の専門家だ」
「なっ…ッ!!」
カイムの顔が歪む、焦り、絶望、怒り
黒いモノを複合した気持ちの悪い感情が垣間見えた
「カイム…なにか、知ってるの?」
ハルが恐る恐る話しかける。肩にかけた手を振り切るようにカイムは声を発した
「別に…っ、なんでもねぇよ…ただ…おれは…」
「……図星なんだな?カイム…」
アガレズの決定的な一言を皮切りに、カイムが拳を握り、ついに言った。
「………アガレズ、お前の言う通りだよ。おれは…っ
霧…その液体が何か知ってる。二人とも…今で何も言わないでごめん…」
「お、おう……」
「はぁ…」
置いてけぼりにされたハルとキク。二人共状況がわからないものの、カイムが注射器の液体について知っていること、そしてなせそれを知ってるかを詮索するのがご法度だという事だけはわかった
「アガレズ、俺はお前が死に至らないようにヨツンヴァインの力を取り込む方法を知っている。交渉なんていらない。お前が死なないなら、それでいいだろ…?」
「オーケー。その言葉を待っていたのさ。君たちがおれが納得する対価を差し出せるなんて最初から思ってなかったからね…」
「ちっ…。時間がない。今から注射器をお前に打つ、だから…よこせ」
不快感の混じった顔でカイムはテキパキと会話を進める。その顔はまるで"この話を終わりにしたい"とでも言うようだ
「カイム…てめぇはなんで……」
「集中してる、時間がない…色々あんだよ…おれは」
キクの言葉を遮りアガレズから受け取った注射器を
見回す。そして呟く
「…液体の量が多すぎるな、致死量だ…4分の一の量でいい…」
「そうなのかい?カイム、それは助かった。しらなかったら大惨事だ。やはり専門家だね」
「…腕を出せ」
ほい、右腕を指したアガレズの腕に注射器を刺し、少量の液体を加えた
お互いが何かを考え。お互いが目線を向けない。
暗黒と言う空気其のものでった
その中、ハルたちには聞こえないようにカイムは静かにささやく
「…アガレズ、お前は人の考えが察せるって言ってたけど、なんとなく察せるだけで、人の心が読めるわけじゃないんだよな?」
「そうさ、君に何があったか…詳しい過去も、おれは何も知らないよ」
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「……っ匂いだと…………お前には勝てねぇな………………………
…それを知った時、どう思った?」
若干の焦りを含んだカイムの物言いに、
アガレズは優しく答える。それはまるで慰めるかのように
「ーーなんとも思わない。何十年も生きてきた俺にとって、君よりもユニークな人間をたくさん見てきた。
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「…ふっ、そうかよ…」
「それに…俺は君の過去はしらない、が、これだけはわかる。
君は…」
「……」
そう言いかけたところで、アガレズは急に顔を明るくする
「…意味のない話は辞めようか、感情論のような事を言おうとしたけど、恐らくなんの元気付けにもならないだろうしね」
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二人はゆっくりと立ち上がり、数十メートル先の巨人を見つめる
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