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「――却下」
バンッ!
「却下」
バンッ!
「……保留。いや、やっぱり却下」
ババンッ!
クリフォード王国の皇太子執務室に、小気味良い音が響き渡っていた。
私が手にしているのは、特注で作らせた『却下』のスタンプだ。
インクは目にも鮮やかな赤。
私はベルトコンベアのように流れてくる書類の山に対し、無慈悲なスタンプの連打を浴びせていた。
「おい、ニオ。少しペースが早すぎないか? 中身を読んでいるのか?」
向かいのデスクで、クライヴ殿下が引きつった顔で尋ねてくる。
私は手を止めず、眼鏡のブリッジを中指で押し上げた。
「読んでいますよ。斜め読み(スキャン)ですが」
「スキャン?」
「書類のタイトル、申請者、金額。この三点を見れば、その書類がゴミかどうかの判別は〇・五秒で可能です」
私は手元の書類をペラリとめくる。
「例えばこれ。『王宮庭園のバラの品種改良における色彩の微細な変化に関する報告書・その4』。……趣味でやれ」
バンッ!(却下)
「次。『近衛騎士団の制服デザイン変更案・フリル増量計画』。……戦場でフリルが何の役に立つんですか。邪魔です」
バンッ!(却下)
「次。『第一側室候補選定リスト(写真付き)』。……殿下、これ見ますか?」
「焼却処分だ!!」
殿下が顔を真っ赤にして叫んだ。
「ですよね。時間の無駄です」
私はそのリストを、部屋の隅で燃え盛る暖炉へと正確に投げ込んだ。
今日から始まった、私の補佐官としての業務。
それは予想通り、いや予想以上の『地獄の掃除』だった。
この国の官僚機構は腐っているわけではないが、とにかく『丁寧すぎる』のだ。
リスクを恐れるあまり、どんな些細な決定も上へ上へと回してくる。
その最終処分場が、この皇太子執務室というわけだ。
「……あーあ。肩が凝ります」
開始から二時間。
私は首をコキコキと鳴らし、淹れたての紅茶(自分で淹れた)を啜った。
「休憩か? まだ午前十時だぞ」
殿下が信じられないものを見る目で私を見る。
彼の手元には、私が「重要案件」として選別した、全体のわずか一割ほどの書類が積まれている。
彼はそれを、眉間に皺を寄せながら熟読していた。
「殿下。人間の集中力は九十分が限界です。適度な休憩(ブレイク)を挟まないと、生産性が低下します」
「そんな甘えたことを言っている暇は……」
「いいから休んでください。糖分摂らないと脳が萎縮しますよ」
私は持参したクッキー(公爵家の料理長特製)を、皿ごと殿下の書類の上に置いた。
「……邪魔だ」
「食べないとどきません」
「……」
殿下は渋々といった様子でクッキーを一枚手に取り、口に運んだ。
サクッ。
「……美味いな」
「でしょうね。バターをふんだんに使っていますから。脳のエネルギー源です」
「君は……私を太らせて食べるつもりか?」
「食肉としての需要はありません。養豚場の方が効率的です」
「言葉を選べ」
そんな軽口を叩きながら、少しだけ執務室の空気が緩む。
周囲で死にかけていた文官たちも、私の『スタンプ無双』を見て、少しずつ生気を取り戻していた。
「あ、あの……ニオ様」
一人の若い文官が、恐る恐る声をかけてきた。
「この案件……財務省から突き返されたのですが、どう処理すれば……」
「見せて」
私は書類を奪い取る。
『地方街道整備予算案』。
財務大臣の書き込みで『財源不足のため却下。時期尚早』とある。
「……なるほど。典型的な『先送り』ですね」
私はペンを取り、書類の余白にサラサラと書き込みを入れた。
『街道整備による物流効率化で、初年度の税収見込みは投資額の120%。やらない方が損失(ロス)。文句があるなら代替案を出せ。以上』
「これをそのまま財務省に叩き返して」
「ええっ!? こ、こんな挑発的な文章を大臣に!?」
「殿下の決裁印も押しておきますね」
ポンッ。
「ああっ! 殿下の判子が!」
「責任は全部殿下が取りますから大丈夫です」
「おい、待て」
殿下がクッキーを噴き出しそうになった。
「勝手に私の名前を使うな!」
「殿下は『全権を委任する』と仰いましたよね? 録音してありますよ?」
私は懐から魔道具のレコーダー(水晶玉)を取り出すフリをした。
「ぐっ……言った、が……」
「街道がボロボロだと、私の『猫付き別荘』への移動に支障が出ます。これは私利私欲のための正当な業務です」
「清々しいほどの公私混同だな!」
殿下は呆れつつも、止めることはしなかった。
彼も分かっているのだ。
今まで「波風を立てない」ことを優先しすぎて、国益を損なっていたことを。
私の強引なやり方は、彼にとっても都合の良い『劇薬』なのだろう。
◇
午後一時。
「昼食の時間です」
私は宣言し、さっさと席を立った。
「……私はいい。あと少しでこの書類が終わる」
殿下はペンを止めずに答えた。
「ダメです。食堂へ行きます」
「腹が減っていない」
「生理現象を無視しないでください。それに、殿下が昼食を取らないと、部下たちが休憩に入れません。見てください、あの飢えた狼のような目を」
私が指差した先には、空腹でゾンビ化している文官たちの姿があった。
「……分かった、行けばいいんだろう」
殿下が観念して立ち上がる。
私たちは連れ立って王宮の食堂へと向かった。
皇太子が一般の食堂を利用するのは異例だが、私は「部屋まで運ばせる時間が無駄」と押し切った。
「うわ、皇太子殿下だ……」
「隣にいるのは誰?」
「噂の『毒舌公爵令嬢』よ」
ざわめきの中、私たちは一番奥のテーブルに陣取った。
メニューも見ずに、私は「日替わり定食A」を二つ注文した。
「……君は、緊張というものをしないのか?」
殿下が苦笑しながら尋ねてくる。
「緊張? 何に対してですか? 他人の視線ですか?」
「ああ。他国の王宮で、これだけ注目されているんだぞ」
「視線で腹は膨れませんし、減りもしません。気にするだけ損です」
運ばれてきたスープを一口飲む。
うん、悪くない。
「それに、私にとって怖いのは他人ではありません」
「ほう? では何が怖い?」
「『残業』と『休日出勤』です。これらは実体を伴う恐怖(テロル)です」
「……君らしいな」
殿下はフッと笑い、自分のスープに口をつけた。
その横顔は、昨日の夜会で見た時よりも、ずっと血色が良く見えた。
「……ニオ。君が来てから、空気が変わった気がする」
「換気をしましたからね。あの部屋、カビ臭かったので」
「物理的な話ではない。……仕事が、少しだけ楽しくなった」
殿下はポツリと言った。
「今までは、書類の山を見るたびに息が詰まる思いだった。だが、君がバッサバッサと切り捨てていくのを見ると、何というか……スカッとする」
「それはどうも。破壊衝動の代行業者としてお役に立てて何よりです」
「ふふっ。代行業者か」
殿下は楽しそうに笑い、そして真面目な顔に戻って私を見つめた。
「これからも頼むぞ、私のパートナー」
「……契約期間内は、善処します」
私は照れ隠しにパンを齧った。
「パートナー」なんて言葉、聞き慣れない。
ただの雇用関係だ。
それ以上でも以下でもない。
そう自分に言い聞かせるが、殿下の真っ直ぐな青い瞳に見つめられると、調子が狂う。
(……顔だけは良いのよね、この人)
そんな不埒なことを考えていた、その時だった。
「――クライヴ様!」
食堂の入り口から、金切り声が響いた。
空気が一瞬で凍りつく。
この声。
この無駄に高い周波数。
聞き覚えがありすぎる。
私が嫌な予感と共に振り返ると、そこにはフリフリのドレスを着た少女が立っていた。
「見つけましたぁ! こんなところにいらしたんですね!」
リリナ・フォン・メール男爵令嬢。
元婚約者の「今カノ」にして、私を冤罪で追い落とした張本人。
なぜ彼女がここに?
「……最悪のデザートが来ましたね」
私はスプーンを置き、冷めた目で彼女を見た。
私の平和なランチタイムが、音を立てて崩れ去ろうとしていた。
バンッ!
「却下」
バンッ!
「……保留。いや、やっぱり却下」
ババンッ!
クリフォード王国の皇太子執務室に、小気味良い音が響き渡っていた。
私が手にしているのは、特注で作らせた『却下』のスタンプだ。
インクは目にも鮮やかな赤。
私はベルトコンベアのように流れてくる書類の山に対し、無慈悲なスタンプの連打を浴びせていた。
「おい、ニオ。少しペースが早すぎないか? 中身を読んでいるのか?」
向かいのデスクで、クライヴ殿下が引きつった顔で尋ねてくる。
私は手を止めず、眼鏡のブリッジを中指で押し上げた。
「読んでいますよ。斜め読み(スキャン)ですが」
「スキャン?」
「書類のタイトル、申請者、金額。この三点を見れば、その書類がゴミかどうかの判別は〇・五秒で可能です」
私は手元の書類をペラリとめくる。
「例えばこれ。『王宮庭園のバラの品種改良における色彩の微細な変化に関する報告書・その4』。……趣味でやれ」
バンッ!(却下)
「次。『近衛騎士団の制服デザイン変更案・フリル増量計画』。……戦場でフリルが何の役に立つんですか。邪魔です」
バンッ!(却下)
「次。『第一側室候補選定リスト(写真付き)』。……殿下、これ見ますか?」
「焼却処分だ!!」
殿下が顔を真っ赤にして叫んだ。
「ですよね。時間の無駄です」
私はそのリストを、部屋の隅で燃え盛る暖炉へと正確に投げ込んだ。
今日から始まった、私の補佐官としての業務。
それは予想通り、いや予想以上の『地獄の掃除』だった。
この国の官僚機構は腐っているわけではないが、とにかく『丁寧すぎる』のだ。
リスクを恐れるあまり、どんな些細な決定も上へ上へと回してくる。
その最終処分場が、この皇太子執務室というわけだ。
「……あーあ。肩が凝ります」
開始から二時間。
私は首をコキコキと鳴らし、淹れたての紅茶(自分で淹れた)を啜った。
「休憩か? まだ午前十時だぞ」
殿下が信じられないものを見る目で私を見る。
彼の手元には、私が「重要案件」として選別した、全体のわずか一割ほどの書類が積まれている。
彼はそれを、眉間に皺を寄せながら熟読していた。
「殿下。人間の集中力は九十分が限界です。適度な休憩(ブレイク)を挟まないと、生産性が低下します」
「そんな甘えたことを言っている暇は……」
「いいから休んでください。糖分摂らないと脳が萎縮しますよ」
私は持参したクッキー(公爵家の料理長特製)を、皿ごと殿下の書類の上に置いた。
「……邪魔だ」
「食べないとどきません」
「……」
殿下は渋々といった様子でクッキーを一枚手に取り、口に運んだ。
サクッ。
「……美味いな」
「でしょうね。バターをふんだんに使っていますから。脳のエネルギー源です」
「君は……私を太らせて食べるつもりか?」
「食肉としての需要はありません。養豚場の方が効率的です」
「言葉を選べ」
そんな軽口を叩きながら、少しだけ執務室の空気が緩む。
周囲で死にかけていた文官たちも、私の『スタンプ無双』を見て、少しずつ生気を取り戻していた。
「あ、あの……ニオ様」
一人の若い文官が、恐る恐る声をかけてきた。
「この案件……財務省から突き返されたのですが、どう処理すれば……」
「見せて」
私は書類を奪い取る。
『地方街道整備予算案』。
財務大臣の書き込みで『財源不足のため却下。時期尚早』とある。
「……なるほど。典型的な『先送り』ですね」
私はペンを取り、書類の余白にサラサラと書き込みを入れた。
『街道整備による物流効率化で、初年度の税収見込みは投資額の120%。やらない方が損失(ロス)。文句があるなら代替案を出せ。以上』
「これをそのまま財務省に叩き返して」
「ええっ!? こ、こんな挑発的な文章を大臣に!?」
「殿下の決裁印も押しておきますね」
ポンッ。
「ああっ! 殿下の判子が!」
「責任は全部殿下が取りますから大丈夫です」
「おい、待て」
殿下がクッキーを噴き出しそうになった。
「勝手に私の名前を使うな!」
「殿下は『全権を委任する』と仰いましたよね? 録音してありますよ?」
私は懐から魔道具のレコーダー(水晶玉)を取り出すフリをした。
「ぐっ……言った、が……」
「街道がボロボロだと、私の『猫付き別荘』への移動に支障が出ます。これは私利私欲のための正当な業務です」
「清々しいほどの公私混同だな!」
殿下は呆れつつも、止めることはしなかった。
彼も分かっているのだ。
今まで「波風を立てない」ことを優先しすぎて、国益を損なっていたことを。
私の強引なやり方は、彼にとっても都合の良い『劇薬』なのだろう。
◇
午後一時。
「昼食の時間です」
私は宣言し、さっさと席を立った。
「……私はいい。あと少しでこの書類が終わる」
殿下はペンを止めずに答えた。
「ダメです。食堂へ行きます」
「腹が減っていない」
「生理現象を無視しないでください。それに、殿下が昼食を取らないと、部下たちが休憩に入れません。見てください、あの飢えた狼のような目を」
私が指差した先には、空腹でゾンビ化している文官たちの姿があった。
「……分かった、行けばいいんだろう」
殿下が観念して立ち上がる。
私たちは連れ立って王宮の食堂へと向かった。
皇太子が一般の食堂を利用するのは異例だが、私は「部屋まで運ばせる時間が無駄」と押し切った。
「うわ、皇太子殿下だ……」
「隣にいるのは誰?」
「噂の『毒舌公爵令嬢』よ」
ざわめきの中、私たちは一番奥のテーブルに陣取った。
メニューも見ずに、私は「日替わり定食A」を二つ注文した。
「……君は、緊張というものをしないのか?」
殿下が苦笑しながら尋ねてくる。
「緊張? 何に対してですか? 他人の視線ですか?」
「ああ。他国の王宮で、これだけ注目されているんだぞ」
「視線で腹は膨れませんし、減りもしません。気にするだけ損です」
運ばれてきたスープを一口飲む。
うん、悪くない。
「それに、私にとって怖いのは他人ではありません」
「ほう? では何が怖い?」
「『残業』と『休日出勤』です。これらは実体を伴う恐怖(テロル)です」
「……君らしいな」
殿下はフッと笑い、自分のスープに口をつけた。
その横顔は、昨日の夜会で見た時よりも、ずっと血色が良く見えた。
「……ニオ。君が来てから、空気が変わった気がする」
「換気をしましたからね。あの部屋、カビ臭かったので」
「物理的な話ではない。……仕事が、少しだけ楽しくなった」
殿下はポツリと言った。
「今までは、書類の山を見るたびに息が詰まる思いだった。だが、君がバッサバッサと切り捨てていくのを見ると、何というか……スカッとする」
「それはどうも。破壊衝動の代行業者としてお役に立てて何よりです」
「ふふっ。代行業者か」
殿下は楽しそうに笑い、そして真面目な顔に戻って私を見つめた。
「これからも頼むぞ、私のパートナー」
「……契約期間内は、善処します」
私は照れ隠しにパンを齧った。
「パートナー」なんて言葉、聞き慣れない。
ただの雇用関係だ。
それ以上でも以下でもない。
そう自分に言い聞かせるが、殿下の真っ直ぐな青い瞳に見つめられると、調子が狂う。
(……顔だけは良いのよね、この人)
そんな不埒なことを考えていた、その時だった。
「――クライヴ様!」
食堂の入り口から、金切り声が響いた。
空気が一瞬で凍りつく。
この声。
この無駄に高い周波数。
聞き覚えがありすぎる。
私が嫌な予感と共に振り返ると、そこにはフリフリのドレスを着た少女が立っていた。
「見つけましたぁ! こんなところにいらしたんですね!」
リリナ・フォン・メール男爵令嬢。
元婚約者の「今カノ」にして、私を冤罪で追い落とした張本人。
なぜ彼女がここに?
「……最悪のデザートが来ましたね」
私はスプーンを置き、冷めた目で彼女を見た。
私の平和なランチタイムが、音を立てて崩れ去ろうとしていた。
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