「追放された雑用係、実は王国で一番ヤバい存在でした」

ナキ

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「雑用係、管理者権限を行使する」

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俺の視界に浮かぶウィンドウが、今度ははっきりと“展開”した。

【権限レベル:未申告】
【仮アクセス権限を付与しますか?】
【YES/NO】

……未申告、ね。

「鑑定しても分からないわけだ」

俺は小さく息を吐き、YESを選んだ。

瞬間、世界が“裏返る”。

音が消え、色が薄れ、街全体が設計図のような線に分解された。
城壁、門、兵の配置、倉庫、下水路、魔力流路――
全部が、俺の頭に流れ込んでくる。

【仮アクセス完了】
【権限:管理者(ローカル)】
【警告:権限の不正使用は世界修復不能を引き起こします】

「……相変わらず物騒だな」

そのときだ。

外壁の一点が赤く染まった。

【侵入検知】
【魔王軍・前衛部隊】
【到達予測時間:3分】

「早すぎだろ」

騎士たちの怒号が聞こえる。
市民が逃げ惑い、勇者パーティが慌てて装備を整えている。

――でも。

俺はもう、彼らと同じ視点にはいなかった。

「防衛戦力、ゼロから組み直すか」

ウィンドウを指でなぞる。

【王都防衛システム】
【状態:未起動】
【起動条件:管理者承認】

承認。

次の瞬間、王都全域に薄い光が走った。

「な、何だ今の光は!?」

「魔法陣!? こんなの聞いてないぞ!」

騎士団がざわつく。
勇者アレンが俺を見る。

「……お前、何をした?」

俺は肩をすくめた。

「雑用だよ。いつも通り」

【城門封鎖】
【市民避難ルート最適化】
【魔力配分:防衛優先】

空気が、重くなる。

城壁の外で、黒い影が蠢いた。
魔物たちが突撃してくる。

だが――

城門に触れた瞬間、魔物が“弾かれた”。

「な……」

「結界!? いや、違う……」

それは魔法じゃない。
システムだ。

俺は一歩前に出る。

「勘違いするな、勇者」

アレンが睨み返す。

「この国を守ってるのは、お前たちじゃない」

俺の視界に、最後の確認が表示される。

【最終確認】
【王都防衛:完全管理モードへ移行しますか?】

俺は迷わなかった。

「YES」

その瞬間――
王都が、“俺の手の中”に収まった。
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