「追放された雑用係、実は王国で一番ヤバい存在でした」

ナキ

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「未申告の管理者、王都を起動する」

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王都全域に、低い振動が走った。

地鳴りじゃない。
魔力でもない。

――“処理音”だ。

【完全管理モード:起動】
【権限階層:王都/軍事/物流/情報】
【管理者:レイン・アルト】

……名前まで出るのかよ。

「今さら隠す気もないけどな」

城壁の外。
魔王軍の先遣隊が、明らかに動揺していた。

突撃の陣形が崩れ、統率個体が後退する。

【敵行動パターン解析】
【結論:正面突破は非効率】

俺はウィンドウをスクロールした。

「じゃあ――突破させるか」

【外壁防御レベル:一部低下】
【侵入誘導ルート:南第三区画】

「なっ!? 結界が薄くなってるぞ!!」

騎士団が叫ぶ。
アレンが俺を掴もうとする。

「おい! 何を考えてる!」

俺は静かに手を振り払った。

「考えてるんじゃない。“処理”してる」

魔物たちが、誘われるように南側へ流れ込む。
逃げ遅れた市民はいない。

――避難経路は、俺が三分前に全部書き換えた。

【侵入確認】
【殲滅フェーズへ移行】

次の瞬間。

地面が“閉じた”。

石畳がスライドし、地下から無数の杭が突き上がる。
同時に、魔力流路が逆流し、魔物たちの身体を内側から焼いた。

断末魔すら、短い。

「……魔法、じゃない……」

アレンの声が震える。

「城の構造と、魔力の流れと、地形」

俺は淡々と答えた。

「全部、雑用で覚えた」

倉庫の位置。
下水の詰まり。
交渉で得た地図。
書類整理で知った“誰も読まない古文書”。

――王都は、最初から“システム”だった。

ただ、使い方を知る人間がいなかっただけだ。

【魔王軍前衛部隊:殲滅完了】
【被害:ゼロ】

沈黙。

歓声もない。
誰も、状況を理解できていない。

そのとき、俺の視界に新しい表示が割り込んだ。

【通信受信】
【送信元:不明(権限外)】

嫌な予感がした。

承認。

【――管理者個体を確認】
【――観測を開始します】

文字が、歪む。

【魔王軍中枢:解析完了】
【警告:上位管理干渉の可能性】

「……なるほど」

俺は、少しだけ笑った。

「やっと気づいたか」

アレンが、恐る恐る聞いてくる。

「……なあ、レイン。
 お前は、一体……何なんだ?」

俺は彼を見なかった。
王都全体を見ていた。

「雑用係だよ」

そして、続ける。

「この世界の」

【次フェーズ選択】
【① 王都を要塞化する】
【② 魔王軍の管理領域へ侵入する】
【③ 勇者パーティの権限を再定義する】

ウィンドウが、静かに点滅していた。
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