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真之介、仲間を引き連れてくる
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ある日の昼下がり。
門の外がワイワイとにぎやかになった。
「じっちゃーん!
しんのすけ、来たでぇ!」
新八は縁側で茶をすすりながら、
その声に眉をひそめる。
「また何やら連れて来よったな……」
案の定、真之介が道場の前に
ちょっと頼りない三人組を従えて立っていた。
・気は強いが腕力はない武家の坊っちゃん「丈太」
・すぐ泣く農家の息子「作松(さくまつ)」
・何を考えてるかわからん無口な大男「権兵衛」
三人とも
「剣の修行じゃー!」
と意気込んでいるが、足並みがてんでバラバラで危うい。
新八は渋い顔で言う。
「なんやこの動物園のような顔ぶれは。」
真之介は胸を張る。
「じっちゃん!
みんな剣を学びたいんや!
ぼく、仲間と強うなりたい!」
新八は鼻を鳴らし、
「剣や?
ほならまず、竹刀も刀も置いてこい。」
三人は驚いて声をそろえる。
「えっ!?
持ってきたのに!?」
新八はゆっくり立ち上がり、
厳しい目つきで言った。
■ ■ 新八の教える“最初の稽古”
「ええか。
剣の稽古はな——
心構えからじゃ。」
三人はきょとん。
真之介だけは、
じっちゃんのこの雰囲気を何度か見たことがあるので
ピシッと背筋を伸ばす。
新八は縁側の前に立ち、
四人を並ばせた。
「まず、お前ら……
“何のために剣を学ぶんや?”
胸に手を当てて考えてみ。」
丈太はすぐに答える。
「つ、強い剣士になって、
悪者をバッタバッタ斬り倒すため……」
新八「——アホ」
丈太「即答や!?」
新八はつづいて作松を指差す。
「作松。お前は?」
「ぼ、ぼく……泣き虫やから……
強くなりたい……かも……」
新八「泣き虫のままでええ。
まず泣け。
泣けるいうんは、心が柔らかい証拠や。」
作松は逆に泣きそうになる。
次に、権兵衛。
「お前は?」
権兵衛「……腹が減った」
新八「……帰れ」
真之介が慌てて割って入る。
「じっちゃん、待って!
みんな真剣や!
ぼくら、誰かを傷つけたいんやなくて……
守りたいんや!」
新八の目がわずかに揺れる。
「守りたい……か。
誰をや?」
真之介は迷わず胸を張った。
「家族も、友だちも……
じっちゃんもや!」
丈太、作松、権兵衛も
おそるおそるうなずく。
新八はしばらく彼らを見ていたが、
やがてふっと笑った。
■ ■ 新八、その心意気を認める
「ほなら教えたる。」
四人は一斉に顔を上げた。
「ほんまに!?」
新八は静かに語る。
「剣ちはな……
“人を斬るためのもん”やのうて、
“人を守るための心”を育てる道具や。
剣を抜かんでもええ場面が一番ええ。
抜かずに済むような人間にならなあかん。」
真之介たちは息を呑んだ。
新八は続ける。
「今日教えるんはひとつだけや。
『自分より弱いもんの前に立てる人間になれ』
それができりゃ、
剣なんぞいらんくらいや。」
その言葉に、
四人の胸はじんと熱くなった。
丈太は拳を握り、
作松は涙をぬぐい、
権兵衛は「……分かった」と短く言った。
真之介は深く頭を下げる。
「じっちゃん、教えて。
ぼくら……その心、ちゃんと身につける!」
新八は満足そうにうなずいた。
「よっしゃ。
明日から地獄の稽古や。
覚悟しとき。」
三人「地獄!?」 真之介「うん!やるで!」
門の外がワイワイとにぎやかになった。
「じっちゃーん!
しんのすけ、来たでぇ!」
新八は縁側で茶をすすりながら、
その声に眉をひそめる。
「また何やら連れて来よったな……」
案の定、真之介が道場の前に
ちょっと頼りない三人組を従えて立っていた。
・気は強いが腕力はない武家の坊っちゃん「丈太」
・すぐ泣く農家の息子「作松(さくまつ)」
・何を考えてるかわからん無口な大男「権兵衛」
三人とも
「剣の修行じゃー!」
と意気込んでいるが、足並みがてんでバラバラで危うい。
新八は渋い顔で言う。
「なんやこの動物園のような顔ぶれは。」
真之介は胸を張る。
「じっちゃん!
みんな剣を学びたいんや!
ぼく、仲間と強うなりたい!」
新八は鼻を鳴らし、
「剣や?
ほならまず、竹刀も刀も置いてこい。」
三人は驚いて声をそろえる。
「えっ!?
持ってきたのに!?」
新八はゆっくり立ち上がり、
厳しい目つきで言った。
■ ■ 新八の教える“最初の稽古”
「ええか。
剣の稽古はな——
心構えからじゃ。」
三人はきょとん。
真之介だけは、
じっちゃんのこの雰囲気を何度か見たことがあるので
ピシッと背筋を伸ばす。
新八は縁側の前に立ち、
四人を並ばせた。
「まず、お前ら……
“何のために剣を学ぶんや?”
胸に手を当てて考えてみ。」
丈太はすぐに答える。
「つ、強い剣士になって、
悪者をバッタバッタ斬り倒すため……」
新八「——アホ」
丈太「即答や!?」
新八はつづいて作松を指差す。
「作松。お前は?」
「ぼ、ぼく……泣き虫やから……
強くなりたい……かも……」
新八「泣き虫のままでええ。
まず泣け。
泣けるいうんは、心が柔らかい証拠や。」
作松は逆に泣きそうになる。
次に、権兵衛。
「お前は?」
権兵衛「……腹が減った」
新八「……帰れ」
真之介が慌てて割って入る。
「じっちゃん、待って!
みんな真剣や!
ぼくら、誰かを傷つけたいんやなくて……
守りたいんや!」
新八の目がわずかに揺れる。
「守りたい……か。
誰をや?」
真之介は迷わず胸を張った。
「家族も、友だちも……
じっちゃんもや!」
丈太、作松、権兵衛も
おそるおそるうなずく。
新八はしばらく彼らを見ていたが、
やがてふっと笑った。
■ ■ 新八、その心意気を認める
「ほなら教えたる。」
四人は一斉に顔を上げた。
「ほんまに!?」
新八は静かに語る。
「剣ちはな……
“人を斬るためのもん”やのうて、
“人を守るための心”を育てる道具や。
剣を抜かんでもええ場面が一番ええ。
抜かずに済むような人間にならなあかん。」
真之介たちは息を呑んだ。
新八は続ける。
「今日教えるんはひとつだけや。
『自分より弱いもんの前に立てる人間になれ』
それができりゃ、
剣なんぞいらんくらいや。」
その言葉に、
四人の胸はじんと熱くなった。
丈太は拳を握り、
作松は涙をぬぐい、
権兵衛は「……分かった」と短く言った。
真之介は深く頭を下げる。
「じっちゃん、教えて。
ぼくら……その心、ちゃんと身につける!」
新八は満足そうにうなずいた。
「よっしゃ。
明日から地獄の稽古や。
覚悟しとき。」
三人「地獄!?」 真之介「うん!やるで!」
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