探偵尾賀叉反『翼とヒナゲシと赤き心臓』

安田 景壹

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『翼とヒナゲシと赤き心臓』17

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17


 最初に知覚したのは痛みだった。そこら中の筋肉が痛み、全身が痺れている。
 目を開いても視界はぼやけていて、明槻仁は一瞬自分がどこにいるのかわからなかった。
 明るい場所だ。綺麗で、そう、例えるなら新市街にあるような企業ビルの入り口みたいだ。青い床や、植木鉢から生えた小さな木が見える。
 ただ妙なのは床が上に、天井が下にあって、しかも視界はそれなりに揺れている……?
 そこまで考えて、仁はようやく自分が誰かに担がれている事に気が付いた。
「……ん、起きたか」


 自分を担いでいるらしい誰かが、ふと呟いた。
 何かが仁の足を掴む。何をされるか直感的に読み取った瞬間、仁の体は投げ飛ばされていた。
「このッ!」
 危うく地面に投げつけられるところを、何とか体勢を取って着地し、仁は自分を投げ飛ばした相手を睨みつける。
「そんなに怒るなよ。約束通りちゃんと運んできてやったじゃないか」
 腰から生えた白虎の尾を揺らして、呆れたように白王が言った。
「かすり傷一つなくって約束だろ」
「そうだっけ? 忘れちゃった」
 どうでもいいと言わんばかりに、白王は背を向ける。
「じゃ、出口はそこだから。気を付けて帰りなよ、坊や」
 白虎の尾が揺れる。少年の姿が早々と遠のきそうになる。


「待てよ」
 白王は足を止めた。振り返るその目が鬱陶しそうに仁を睨んでいる。
 怖いと思う気持ちと、それに勝る怒りが胸の中で渦巻いている。
「探偵はどこだ。それにトビさんとレベッカさん。皆無事で出られなきゃ意味ないだろ。あの三人をここへ連れて来い」
「…………はあ?」
 白王の体から、緑電の光がばちりと弾ける。ほとんど反射的に、仁はポケットから小火竜を取り出していた。
「お前、何か勘違いしてない? 小虫如きとの約束を守らないのも癪だから運んでやっただけで、何でお前が僕に命令出来ると思ったわけ?」
 白虎の少年の目は俄かに殺気が溢れている。だが、今退くわけにはいかない。退く気が起きなかった。
「お前こそ、本当に僕がのこのこ帰るとでも思ったのか? いいから早く僕の言った通りにするんだ。でないと――」


 ――思いついた時、心が震えた。けれど、揺さぶりをかけるならこの手しかない。
 電撃銃の冷たい銃口を、自らの蟀谷こめかみに押し付ける。
「今、ここで死んでやる。僕は生かして帰さなきゃいけないんだろう?」
 小火竜の引き金に指をかけ、仁は白王を見据えた。
 これが今打てる精一杯の手だ。戦力では勝てないのだから、相手の失いたくない物を握って交渉するしかない。
 本当に引き金を引けるとは思えないが、もし、いざとなったら――やるしかない。
 思考に夢中で、視界に意識がいかない。白王の顔を、ようやく仁は認識する。
「呆れたよ」


 大きな手袋をした手で顔を覆いながら、白王が呻く。指と指の間から、不愉快げに眉根を寄せているのがわかる。
「電流一本走らせれば、お前なんか即座に眠らせられる。でもそれだけ銃が近いと、下手に刺激すれば筋肉が勝手に動いて引き金を引いてしまう。いや、まったく呆れたもんだ」
 意識しないまま、笑みが漏れる。よし、これで膠着状態を作った。あとは、交渉を――……
「と言えば、満足か?」
 白王が呟いたその瞬間、雷鳴にも似た電気の迸りが起こり、少年の全身が緑光に輝く。
 静電気が周辺の埃を吸い寄せ、光が霧散すると同時に散っていく。
 まるで砂埃のように舞った薄靄の中に、一匹の獣がいた。


「要は電気を使わなきゃいいんだ。その手、小火竜ごと切り裂いてやる」
 白虎が言った。直後に獣が動く。怖気が走るその刹那、飛び掛かる虎が眼前に迫っていた。
 反応出来ない。手も足も動きはしない。死――――
 緑の光が仁の目に瞬いたのは、その時だった。目が眩み、硬直していた体が咄嗟に動いた。
 獣の唸り声が聞えた。
「誰だ?」
 白王が言った。目はまだ開かない。眼球がひどく痛む。
「……見つけたぜえ、白王」
 粗野な声が聞こえてくる。目をしばたたかせ、ゆっくりと瞼を持ち上げる。
 ロビーの向こうに人影が見えた。男だ。何故か半裸で、下に履いた紺色のズボンもほとんど破れている。男の足取りはおぼつかなく、よろめくかのようだ。


「スガロ。一体何のつもりだ」
 白虎の姿のまま、白王が言った。
 男は笑っていた。両の目の焦点が合っていなかった。筋肉質の体が戦慄いている。
「何、俺もそろそろ独り立ちしようと思ってなあ。俺は〝超越〟を成し遂げたんだ。もうお前やライムントに頭下げる必要はねえ。組織を抜けるついでにてめえの首を貰っていく。そうすりゃ、あのセンセイも納得するってもんだ。へへへ……」
 男の口元が光っている。涎だ。
「……お前はさっきレベッカに薬を投与されたはずだ。何故、動いている?」
 相手に問うたというよりは自問したかのように、白虎は呟く。
 男の顔に笑みが広がる。
「へ、へへへ、知りたいか? え? ネコちゃんよ。俺が何で動けているのか知りたいか?」
 震える手で、男がズボンのポケットを探る。中に入っていたゴミや小銭が落ちて音を立てる。男の手に小さなガラスの容器が握られていた。エメラルドに輝く液体が入ったアンプル。


「……原液か」
「二、三個じゃ足りなくてな。手当たり次第喰っちまった。でも、また欲しくなったら困るからさ。へへ、へへへ……う」
 不意に、男が顔をしかめる。喉仏がごくりと動き、男の口の中が少し膨れ、たちまち背中をくの字に曲げて、男は口から反吐を吐き出した。
「うっ……」
 微かに臭ってきた酸性の臭気に、仁は鼻を押さえる。その時だった。目を逸らそうと視線を動かそうとして、仁の目は嫌な物を捉えた。
 ――人間の指だ。汚物の中に、人の指が――
「うぅっ!」


 思わず戻しそうになるのを、仁は何とか堪える。
「ほう。ついでに人まで喰ったか」
「も、モンストロだけじゃあ足りねえからな。で、でも喰い過ぎちまって……」
 ばちり、と男の体から太い電流が弾ける。たちまち放電が始まる。電気が多く流れるにつれ、男の腕が黒く、皮膚は鱗へと変じて行く。首からはぼこぼこと肉が膨れ上がり、男の形態は醜い音を立てて変化していく。
 とても見ていられず、仁は目を閉じる。
「ちっ。何て醜い変身だ。完全にモンストロに呑まれている」
 白王は吐き捨てる。
「〝超越〟からは程遠い」


「ぞんなわげ、ねえだろ。ヴォれば、ぢょうえづをなじどげだぁッ!!」
 男の叫び声と共に、緑電が発光する。布が裂ける音がして、肉塊のようだった体が一気に光の中で成形される。たちまち巨大な頭部と屈強な体を持ち、怪獣めいた立ち姿の男が現れる。鰐人。まるでゲームで見たリザードマンのようだ。
 もはや破けて用を為さなくなったズボンを、スガロはゴミのように剥ぎ取った。
「原液の大量摂取による動物的本能の発露、理性が消えかかっているためにまともな形態変化も行えない」
 白虎の体が光に包まれる。音さえ立てず光の中でシルエットが変化し、衣服も手袋もそのままに、再び少年の姿の白王が現れる。
「回帰のレールに乗ったな、スガロ」
「ヂガウ、ヴォれは、がイぎをぢょうえづじた!」
 言いながら、その大きな口に、スガロはアンプルを放り込む。口の中でガラスが割れる音がしたが、意に介しない。
「ごろジてヤる、ガギ。ごロじで、レベッガにヴぉれをみどめさぜてやるゥウウウ!!」
 歪んだ人声がロビーに響き渡る。
 白虎の少年は僅かな動揺も見せなかった。ただ静かな動作で手袋をした右手を前へと突き出す。爪のような飾り先で緑電が弾け、たちまち全身から電流が放たれていく。
 それはこれまで見たのとは少し様子が異なった。緑電は、白王の前に集まっていき、何かの形を成していく。
「失敗したのなら処分するしかない。だがお前如き、僕の爪にかけるまでもない」


 電流が何を形作っているのか、仁はわかった。先程白王が変じたのと同じくらいの大きさの獣――虎だ。
「こいつで十分だ。電影獣でんえいじゅう
 雷で象られた緑の虎が雷鳴にも似た唸りを上げる。仁はありったけの意志で足を動かして後ろへ下がった。
 今なら逃げられる……か?
「動くなよ、坊や」
 振り向きもせずに白王が言う。
「さすがに貴重な神の子候補を戦闘には巻き込めないしな。ライムントに知られると面倒だし」


 言葉の調子は普通だった。むしろ、さっきまでに比べれば穏やかなものだ。
 だが、首筋に爪が触れているかのような緊張感が拭えない。
「それに、そう長くはかからない」
 再び歪んだ人声が聞こえてきた。ただし、今度は苦悶の声だ。
 緑電虎は俊敏だった。まるで野生の虎そのものの動きでスガロを翻弄し、確実に手傷を負わせていた。
 電影獣と呼ばれた雷の虎の爪は鰐の鱗を切り裂く事はない。代わりに与えるのは、その身を構成する電撃そのものだ。虎が相手の皮膚を切り裂けば、その爪痕には血の代わりに緑電が走っている。スガロは虎を追い、牙や尻尾で敵を破ろうとするが、まずその速度に追いつけない。
「ぐぞがぁッ!!」


 ばちばちばちと、スガロの皮膚から緑電が放たれる。だが無意味だ。電影獣には実体がない。雷はあくまで雷。虎を象り、生き物のように動いても、痛みを感じはしないらしい。
「ヴぁあああああッ!?」
 雷電を受けたスガロの体が、一瞬にして焼け焦げる。その臭いもすぐに漂ってきた。初めから勝負になっていない。スガロはただあしらわれているだけだ。
「ひどい……」
 思わず、仁は言った。すかさず白王が口を開いた。
「ふん、馬鹿が身の程をわきまえないからこうなるんだ。ストーン一つ御せないくせに――」
 茶色の物体が空を切った。植木鉢だ。尻尾を器用に巻き付け、電影獣目がけて投げる。鉢が獣の体に衝突した瞬間、電影獣の姿が歪みを見せた。が、
「無駄だ」


 白王の呟きと共に、電影獣の体を通った植木鉢が音を立てて砕け散る。植木は瞬時に燃え破裂の衝撃のまま白王の背後へと落下し、爆発的に舞った土埃の中から飛び出した電影獣の顎がスガロの喉笛に食らい付く。
途端、緑雷が迸る。
「グうア――ッ!?」
 絶叫が上がった。真っ黒に焦げ上がるスガロの体は幾度か痙攣を繰り返し、やがて、動きを止めた。
 ――勝負は着いた。
 雷に焼かれた木が仁の目の前で燃え続けている。
「死んだか。ま、こういう奴の最期なんてこんなものだよな」
 今や動く事のないスガロに向けて言い捨てて、冷たい気配はそのままに、白王が仁へと振り返る。虎が、スガロから離れて寄って来た。


 刃のような二つの目が体を射竦める。
「で、ええと、何だっけ? 探偵達をここへ連れて来い、だっけ?」
 炎を挟んだすぐ正面で、白虎の少年が仁をその間合いに捉えている。
 臓物を鷲掴みにされるような怖気とそれに立ち向かおうとする意志が、仁の中で相争う。
 ――策があった。成功の保証はないが、それだけが頼みの綱だ。うまくいけば、この場を切り抜けられる。
「坊や、最後の忠告だ。身の程を知れ」
 白王が告げる。
 震える腕を、意志が制する。


「……嫌だね」
「電影獣!」
 緑電の虎がすかさず躍りかかる――自らの背後に植木鉢がある事は確認済みだ――仁はポケットの中の物を掴み、放り投げざま植木鉢の影へと跳んだ。投擲物が、緑電虎の中を通り――弾け飛んだ。
「何!?」
 驚きの声は空を裂くいくつかの音と共に上がった。仁の頭の上を何かが掠め、正面のガラス戸に激突し、粉砕する。
 慌てて顔を隠し、仁はまるで受け身を取るかのように床の上を転げた。腕に痛みが走った。砕いたガラスで肌を切ったのだ。だが、傷を気にする暇はない。
 起き上がり仁は白王を見た。飛びかかってきていたはずの電影獣は、緑電の体を崩して伏せ、その操り主である白王は、左腕を抑え、憎々しげな目を仁に向けている。
 抑える手袋に、赤が染み渡る。


「何をした……これは……」
 白王が血に濡れた掌を見つめる。だらりと下がった左腕には、まるで何かが貫通したかのような穴が空いていて、出血が続いている。
 白王が、ちらと後ろを見た。
「……小銭?」
 そう言った時、仁もまたガラスを突き破った向こうにあるそれを見た。
 それは小さな銅貨だった。電影獣を透過した瞬間、その身を構成する緑電の直流電流が硬貨へと流れ込み、さながらレールガンのように撃ち出したのだった。小銭入れに入った硬貨は破裂と同時に拡散し、一枚はガラスを、一枚は白王の腕を貫いた。
 放電音を立てて、電影獣が消えていく。傷を負った白王が一瞬そのコントロールを失ったせいだろう。
植木鉢の破裂から思い付いた目くらまし紛いの策だ。硬貨の動きは概ね想定通りだった。
 だが――結果は決して成功とはいえない。


「…………あーあ」
 ……もう何度も、同じ感覚を味わい、その度に気力と知恵と幸運を得て切り抜けてきた。
「無事に帰してやるつもりだったんだけどなあ」
 だが、今度という今度は、動く事が出来なかった。
 目の前の少年が放つ鬼気に、体を石にでもされたかのようだ。
 背後で、何かが音を立てている。カタカタと。いや、音は一つではなかった。ロビーのそこかしこから、何かが震えるような音が――――――
 空を切った音がした――――太腿に軽い衝撃を感じたのはその時だった。とすん、と何かが入ったような。いや、その感覚でさえ束の間の――――


「――――っ、う、ああああぁ!?」
 血が、これまで見た事もないような量の血が、自らの足から噴き上がった。骨さえ砕かれたかのような痛みが襲い掛かってくる。堪えきれず叫び声を上げた刹那、左肩を何かに撃ち抜かれる。左腿、右わき腹、次々と何かが突き刺さってくる!
「非力な虫の分際でよく僕に傷を負わせたもんだ。ご褒美に、同じ痛みで殺してやる」
 激痛の中、白王の声が聞こえる。硬貨だ。腿の傷口にひしゃげた銅貨が突き刺さっている。視界が朦朧としている。体が何の支えもなく地面に倒れ込む。痛むが、その痛みさえ遠のいていく。
「さあ、最後の一枚だ。その脳天をブチ抜いてやる……!」
 少年の声が宣告する。死への忌避感は、もはや起こらない。流し過ぎた血が思考も意識も失わせていく――――……


「死ね」
 音が空を裂いた。わかったのはそれが全て――
 ガウン!!
 爆音がした。その音が、仁の意識を再び現実へと呼び戻した。
「誰だ!?」
 白王は驚き、仁は何とか顔を上げる。
 朦朧とする視界の中に、新たな人影が見えた。大きな人影だ。コートを着ていて、腕をこちらに向けて突き出すように上げている。いや、あれは違う。銃だ。大きな拳銃を構えている……。
「……叉、反?」
 いや違う。背丈は同じくらいだが、尻尾がない。逆に、目立つのは額の辺りに見える角だった。特徴的な角。まるで触角だ。あれは、確か――……
 蛾の……


「やめておけよ、小僧。ライムントに叱られるぜ」
 雑音が混じったような、低い男の声だった。まるでスピーカーから聞こえて来るような。
「何をしにきた、虫!」
 白王が激昂した。そう、怒っていた。その大男がそこにいる事自体が、気に食わないとでも言うように。
「お前はしばらく戻らないはずだろう! こんなところで一体何をしている!」
 ふん、とざわついた笑いが聞こえた。
「喚くなよ。お前がそんなんだから、ライムントがわざわざ俺を呼び出したんだ」
「黙れ。お前らは言われた通り暴れていればいいんだ。テロくらいしか能のない使われが、僕に生意気な口を利くんじゃない」


 男はすぐには答えなかった。ただ、その足がゆっくりとこちらに近付いてきている。
有礼ありかたの馬鹿が騒ぎを起こしたせいで、今の俺達は好きに暴れられもしねえ。前みたいな処理班仕事さ。だがまあ、今回は悪くねえ。まさか、こんなに早く再会するとはな……」
「何を言っている」
「そこのガキの望んだ通りさ。妙な因縁だ。俺もあいつの顔が見たい。さあ、連れて行ってくれよ」
 男が銃を構えた。大きな銃だ。男の顔が見えた。吊り上がった複眼。全体を覆う体毛。頭部は完全に蛾だ。ただしその口元は黒い機械めいたマスクに覆われている。
「何のつもりだ……」
「地獄に落ち損ねた奴を迎えに来たのさ。あの蠍の探偵を。何せ俺は……」
 男の影が伸びる。その姿はまるで、地獄の底に住まう――――
「ゴクマの、破隠はがくれだからな」
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