探偵尾賀叉反『翼とヒナゲシと赤き心臓』

安田 景壹

文字の大きさ
16 / 26

『翼とヒナゲシと赤き心臓』18

しおりを挟む
18


「一体何をしにきた、破隠」
 白王は忌々しげに吐き捨てた。その光景でさえ、仁は気を張っていなければ見る事は出来なかった。いや、もはや気を張る事さえ限界だ。意識の手綱は今にも手からすり抜けていきそうで、もし一度でも手を離せば、二度と掴めないように思えた。
「お前は荷運びに回されたはずだろ。コロンビアへの搬入はどうした」
「まあ、そう質問責めにするなよ。俺は飛行機乗り継いでつい五時間前にこっちに着いたんだ。まったく、ケチくさい商人どもの真似事は疲れるぜ」


 機械音声めいた言葉が、徐々に近付いてきていた。破隠の大きな影が仁の上に落ちた。
「おい! 何している」
「何をもクソもねえ。神の子候補だ。くたばらないようにしないとな」
 ぱきん、と小さな音が聞こえた。意識はすでに飛ぶ寸前だ。
「おい待て。お前、それは……」
「がたがた抜かすなよ、小僧。ライムントはこいつが当たりだと踏んでいる。死なれて困るのはお前じゃねえのか?」
 顎が掴まれ、無理矢理上体を起こされる。だが、体に力が入らない。抵抗は出来なかった。
「さあ、まずは一杯やれよ。気分がすっきりするだろうさ」


 破隠が囁くように言った。唇に何かが当てられる。生温い液体が乾いた口を濡らした。動けなかった。液体は少量で、すぐさま仁の喉へと流れていった。
 ――何も感じない。意識は遠くなっていく一方だ。
 ――もう、駄目だ……。手足の感覚さえない。血を、流し過ぎた。
「……モンストロが効かない?」
「いや、そんなはずはねえ。前にもこのくらいのガキに試した事がある。回りが遅いのか……」
 破隠達が何かを言っているが、あまりよく聞き取れない。
「効かなきゃこの小僧は助からねえ。ちょっとした運試しだな」
 男がそう言った時、仁の意識はすでにそこになかった。


 機械の音がする。
 がん、がんと何かを打ちつけるような音だ。規則的に鳴っている。その音を認識した瞬間、仁は唐突に暑さを感じだ。そこら中から熱気を感じる。体の周りを炎で囲まれているような。
 目が開けた。
 炎が噴き出していた。足元には網目のような亜鉛メッキ質の板で足場が組まれ、その下でマグマがうねっていた。火山だ。巨大な火口だ。そこに足場が組まれ、どういう仕組みか機械が宙吊りにされ、そこかしこで作動している。まるで浮遊する工場だ。
 真っ赤なマグマの熱が、仁の頬に照り付ける。
 あれこそ、この星の血だ。地殻という皮膚の下で通う、真っ赤な血だ。いくつかの層に覆われたその最深部には、この星の心臓が脈を打っている。金属核。血を纏う心臓。


 ――……ヒトハ
 誰!? 仁は言った。しかし、自分の声は聞こえなかった。誰かの声がした。ひどくたどたどしい声が。
 ――……キズツケタ キズグチヲ フサイデシマウ モウ イヤセナイ カタチニ
 声は弱々しい。片言で、耳を澄まさなければ聞き逃してしまいそうだ。だが機械の駆動音が止まない。一定のリズムで響き続けている。
 ――……チハ ナガレツヅケテイル ダガ キズハ モウ イヤセナイ
 がん、がん、かん、がん。かん、かん、がん、かん。
 ――……ワガコガ ウエルナラバ ミタス ダガ ワガコハ ヒトリデハ ナイ
 熱気が増している。さっきまで感じていた痛みはない。だが、心が、この声に捉われてしまっている。
 ――……コヨ キケ ワガコトバヲ ワガ イシヲ
 工場の音はどこまでも続く。仁は声を聞いた。全身の血が熱を持っている。背中の翅が一人でに羽ばたいている。声が聞こえる。仁はそれに耳を傾ける――……


 明槻仁は気を失ったままだった。血は止まっているように見えるが、傷口が治癒する様子はない。
 死ぬのか、と白王は思った。それならそれでいい。ライムントは当たりだと踏んでいたようだが、根拠はないのだ。候補はあくまで候補。明確に神の子だと断定されたわけではない。
「余裕そうだな」
 機械音混じりの不快な声で、破隠が言った。いらつく事ばかりだ。ライムントは何故、よりにもよってこの男をお目付け役に選んだのだろう。
「このままこいつが死ねば、貴重な神の子が一人消えるっていうのに」
 口ではそう言うものの、破隠に別段惜しむ様子はない。どうだっていいのだろう。この男は所詮、破壊活動にしか興味がないのだ。


「候補だ。そうと決まったわけじゃない。こいつ程度の変異型なら探せばいくらでもいるさ。それより、お前だ」
 右手を挙げて、白王は緑電を放出する。すぐさま電流は形となり、傍らに電影獣が現れる。
 空気が、一瞬緊張する。
「おいおい。一体何の真似だ」
 おどけたように――とはいえ、蛾の頭部と口元を覆ったマスクのおかげで表情はわからないが――破隠は大袈裟に肩をすくめるような真似をした。
「惚けるな。お前はモンストロに近付かない取り決めのはずだぞ。一ミリグラムたりとも所持は許されないはずだ。どこから盗み出した」


 あるいは誰かからせしめたか。結社はこいつがモンストロに関わる事を禁じているが、こいつの部下には何人かモンストロを使った者がいる。そいつらが自発的に与えたとも考えられる。何せ、こいつらは正式な結社の一員ではない。世間の目を結社から逸らしておくために契約した連中だ。その気になれば取り決めなど簡単に無視するだろう。
テロリストはテロリストだ。白王にしてみれば暴徒と一緒だ。つまるところ、自分達の目的しか見えていない。自分達の欲求、快楽を優先する短絡的な生物。自分達が所詮は結社の犬である事を自覚していない。飼い主の恐ろしさも理解出来ない。
「取り決めを破ればお前は処刑だと伝えたはずだ。忘れたのか?」
「ほんの少し借りただけだぜ。しかも、お前の立場を守るために使ってやった。むしろ感謝して欲しいくらいなんだがな」
「黙れ。虫に同情される謂れはない」
 憎悪が胸の裡で膨れ上がる。電影獣が感応したかのように唸り声を出す。


「何でもいいが、まさかその虎で俺を殺る気だとは言わないよな?」
「お前如き、こいつ一匹で十分だ」
 破隠は大袈裟な素振りで、呆れたように肩をすくめた。
「迫力不足だ。所詮は造り物さ。俺は昔、人食い虎を見た事があるが、実に立派だった。こんな子猫じゃない」
「そいつに引導を渡してもらえばよかったのにな」
 電影獣が低く身構える。場の空気が変容している。本物のように喉や首を狙わずとも良い。爪が触れれば、それで終わりだ。
「ああ、そうだな」
 破隠は全く変わらない態度で答えた。その手には、先ほど硬貨を吹き飛ばした拳銃が握られている。
 ――コールタールのような殺気が迸る――
「旨かったよ」
「電影獣!」


 白王は叫んだ。同時に破隠の銃が動いた。黒い気配が一気に溢れ出た。一触即発だった。身構えていた電影獣は主の声に跳んだ――背後へと。
 電流で出来た電影獣の緑電爪が、容赦なく標的に走る。聞き苦しい叫び声がまたもロビーに響き渡る。
 白王は振り返り、自分を背後から狙った者の腹を踏み抜く。
「驚いた。まだ生きていたとはね、スガロ」
 足元で鰐が呻いた。破隠が銃を下す気配がした。
「何だ、気付いてやがったのか」
「当たり前だ」
 鰐の腹を蹴り飛ばす。弱り切った鰐がまた呻いた。
「言ったはずだ、スガロ。お前は超越からは程遠い。ストーンを使って獣人態がせいぜいとは。我々が求める超人ではない」


 鰐が、尻尾を揺らした。電影獣が傍へ寄る。
 殺す価値もない男だ。最初に出会った時からそうだった。元々はどこにでもいるようなチンピラまがいの男だった。空手が得意だったが、同門と言い争いになった時に怒りに任せて相手を殺した。それも空手の技じゃない。どこぞで手に入れた粗末な銃で撃ち殺したのだ。行き場を失ったこの男を、結社の下っ端が実験用にと言って連れて来た。白王がじきじきに品定めしたからよく覚えている。
 屑だ。こいつは。生まれつきの頑健さと暴力性でのさばる屑。ほんの少しだけ他人より優位であっただけで、自分が特別だと勘違いした男。なまじストーンの実験で生き延びたから始末に負えない。


 目が気に入らなかった。卑屈さと傲慢さを隠しもしない目。力ある者、力を振りかざして生きてきた者の目。あの村に生きていた屑どもと同じ。
 ――気味の悪いガキだ。虎の子なんて、いつ俺達を襲うかわからないだろう?
 ――殺せばいい。こいつも、こいつを生んだ親も、こいつを育てた家族も同罪だ。
 ――……おい。何睨んでるんだ、お前。
 ――いいか、もう一度教えてやる。お前に、生きる価値なんてないんだよ。


「殺してやるよ」
 思考を無理矢理に引き戻す。過去を拭い去れない。弱かった幼い頃を。まだ王ではなかったあの頃を。
「殺してやるんだ。お前に、生きてる価値なんてない」
 知らず、手袋の先に備えた鋼鉄の爪を、スガロの喉元に当てていた。
「ヴぉれ、は……」
 スガロが、消え入るような声で何か言った。捌かなければ。この手で。この醜い男の喉元を。
「……ヴぉれは……オウ、にナる。オウになっテ、このセカイを――」
 ――なら、僕は王になってやる。この先何千と生まれる、超人どもの王に――
「馬鹿言うな」
 右手を引いた。鰐の喉元が深々と抉られた。一筋の赤い線から血がスプリンクラーのように噴出した。たちまち手や顔が朱に染まっていく。不快感はあった。だが、目障りだったものを始末したという肩の荷が下りたような感覚があった。


「……イク……シー……ド」
 喉を裂いても口は動くようだ。最後にそれだけを言って、スガロは沈黙した。
 いや、完全に事切れたのだろう。
「ひどいナリだな」
 破隠が言った。
「返り血を浴びるなんて何年振りだ? 都地下じゃ珍しくなかっただろうがな。アンダーグラウンドチルドレンなら――」
「黙れ、虫野郎」
 白王は言った。破隠の表情はわからない。マスクと、蛾の頭部とに隠されて。だが、その心はわかる。嘲笑しているのだ。よりにもよって、この白王を。
「僕は光の下に出た。トチカも阿片窟も関係ない」
 破隠の目が嗤っていた。


 ばちり、という音がしたのは、その時だった。
「……あ?」
 振り返る。そこに転がっているのは鰐の死体だ。死体でしかないはずだ。だが……。
 ばちり。
 また聞こえた。緑電が走るのがはっきりと見えた。
 ばちり。鰐とも人ともつかなくなったスガロの足の、太腿に当たる部分が膨らんでいた。奇妙なほど大きく。今にも破裂せんばかりに。
 何かを言うより早く体が動いた。放緑電。太い稲妻が白王めがけて走った。火花が散った。跳んで躱したから、神の子に当たったかもしれない。どうでもいい。
「生きてやがる」


 破隠が言った。
「こいつは面白い」
 黙っていろと言いたかったが、その前にまたも太い電撃が飛んだ。
 朦々とした煙の中で緑電が光り、弾け、さながら雷雲のように立ち込めている。
 その中で、影が動いていた。およそ考えられないスピードで、次第に大きくなっていく影。
「ヴぉれ……は……」
 床が割れた。凍ったガラスのように。巨大化していく影の重みに耐えられずに。
「オウ、に……なる」
 鰐人。いや、もはやそれは人ではない。鰐ですらない。フロア一帯を自身の体で埋め尽くすほどに成長した怪物。黒々と光る鎧めいた鱗。重々しくうねる大蛇の如き尾。巨大化は止まらない。ヒビは一気に柱へと広がり、上から天井の破片が落ちてくる。フロアどころか建物自体が、急激に増えた重量に耐え切れなくなっている。
 影が揺らいだ。巨身がぐらりと倒れてくる。爆音めいた衝撃音とともに倒れ込んだ怪物は、舞い起こった埃を咆哮で蹴散らした。


 黒々とした表皮は水に濡れたように光沢があった。発達した四肢やその全身は小山ほどもあり、前肢、後肢の肘や背中にかけては棘状の突起が生え、口元にのぞくびっしりと生えた鋭い歯には常に緑電が迸っている。
 竜――四足で這う翼のない竜。認めたくはないが、まさにそのままだ。人喰い鰐が竜となったのだ。
 黄色い目玉が白王を睨んでいる。荒い呼吸だけを繰り返すその口は、もはや人語を話す事はないように思われた。
 気配を窺う。破隠はすでにいない。神の子候補を連れて逃げたのだ。
 まあ、いい。こいつを片付けて追えばいいだけの事。
「少しだけ見直したよ、チンピラ」
 すでに言葉は通じないであろう怪物に向けて、白王は言ってやる。
「ここに来て超獣態に成るとはね。認めてやる、お前は超越を成し遂げた」
 電影獣を消し、緑電を自分へと還元する。もはや、使役するだけの獣では勝てない。


 本気で。そう、少しばかり本気で、相手をしなくてはならない。
 緑電を全身に走らせる。オーブを所有する自分にとって、緑電は尽きぬ泉だ。その真価は電撃による攻撃ではなく、肉体操作による飛躍的な身体能力強化にある。
 怪物の口が動いた。口の奥で雷が蠢いていた。エメラルドグリーンに輝く雷が。火の付いた導火線の如き放電音が弾ける。超獣態となった者が可能な超量緑電放出――プラズマブレス。
 実際に受けるのはこれが初めて。
 構えを、取る。
「そのストーン、僕自らが回収してやる。王たらんと思うなら、少しは足掻いて見せるがいい」
 緑電が漲る。白王が言ったその瞬間、巨大な柱となった怪竜の雷撃がフロア中を光で覆い尽くした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...