ファンタジー/ストーリー2

雪矢酢

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第一章

四話 無心

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目の前の物体それは、人の姿を形勢していく。
レフトはそれに動じることなく無心に徹している。モノクロのようで現実離れしたそれはレフトそのものだが、表情は無く無機質な感じである。
形勢が完成するとモノクロレフトは突然左手を胸に突っ込み、自分の身体から魔封剣を取り出した。
そしてレフトの身体がベースの化け物に変異した。


唯一コントロールできない左腕。


それが具現化し敵意をむき出しにしてきたのだ。
力任せに剣を振り下ろすモノクロレフトだったが、レフトは蒼いオーラを纏い、その一撃を防いだ。
剣はオーラを貫けず砕け散ったがすぐに復元した。そこでモノクロは力を溜めて一撃の勝負にかけた。

無表情のまま、渾身の力を溜めた一撃がレフトを狙う。その威力にオーラは解除されるがどうもおかしい。
まるでオーラが消えるのは計算されていたように思える。モノクロは状況が理解できなかった。確かに渾身の一撃ではあったがこうも容易く解除できるものなのか…。

戸惑いながらもオーラが消え、無防備なレフトにモノクロは剣を振り下ろした。剣は命中したがレフトに触れた瞬間刀身は砕け散ってしまった。

人ではなく剣が壊れる。
そこでは物理の法則を無視した出来事が展開されていた。
何かを悟ったレフトは起き上がり目を開けてモノクロを見つめた。

すっ、と左手を差し出すと化け物のような見た目は崩れ落ち、レフトと瓜二つの姿となった。
変異した姿はまるでレフトに化け物が取り憑いていたような感じであった。
悪魔の影響で機能が低下していた左腕はついに回復したようである。

無表情だったモノクロは一瞬だけ笑顔を見せ左腕に吸収された。
その瞬間、レフトに凄まじい魔力が戻ったようである。




「…ねえレフト」

「…」

必死に看病し、疲労困憊のアレサ。
いったいレフトはどのくらい意識を失っているのだろうか。

「私はいつまでも待つわ、あなたはきっと帰ってくると信じているから…」

アレサもそうだが、レフトもかなり衰弱しているようにみえる。

「…邪魔するよ…」

ノックとともにホープが入ってくる。

「アレサ…あなたが倒れたらレフトーラ君はとても悲しむわよ」

「うん……でも」

「そばにいたい気持ちがあるのだろうけどさ……それであなたが倒れてしまったら…」

「…レフトはきっと帰ってくる…」

やれやれといった様子でレフトの診察をするホープ。

「…近い……そろそろだね」

「近い?」

「目覚めの時が近い…かもしれないわね」

「…レフト…」



そういうとホープは去った。
気休めなのか、本当なのか…。



「レフト…私はここよ…」



次回へ続く
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