ファンタジー/ストーリー2

雪矢酢

文字の大きさ
5 / 41
第一章

四話 無心

しおりを挟む
目の前の物体それは、人の姿を形勢していく。
レフトはそれに動じることなく無心に徹している。モノクロのようで現実離れしたそれはレフトそのものだが、表情は無く無機質な感じである。
形勢が完成するとモノクロレフトは突然左手を胸に突っ込み、自分の身体から魔封剣を取り出した。
そしてレフトの身体がベースの化け物に変異した。


唯一コントロールできない左腕。


それが具現化し敵意をむき出しにしてきたのだ。
力任せに剣を振り下ろすモノクロレフトだったが、レフトは蒼いオーラを纏い、その一撃を防いだ。
剣はオーラを貫けず砕け散ったがすぐに復元した。そこでモノクロは力を溜めて一撃の勝負にかけた。

無表情のまま、渾身の力を溜めた一撃がレフトを狙う。その威力にオーラは解除されるがどうもおかしい。
まるでオーラが消えるのは計算されていたように思える。モノクロは状況が理解できなかった。確かに渾身の一撃ではあったがこうも容易く解除できるものなのか…。

戸惑いながらもオーラが消え、無防備なレフトにモノクロは剣を振り下ろした。剣は命中したがレフトに触れた瞬間刀身は砕け散ってしまった。

人ではなく剣が壊れる。
そこでは物理の法則を無視した出来事が展開されていた。
何かを悟ったレフトは起き上がり目を開けてモノクロを見つめた。

すっ、と左手を差し出すと化け物のような見た目は崩れ落ち、レフトと瓜二つの姿となった。
変異した姿はまるでレフトに化け物が取り憑いていたような感じであった。
悪魔の影響で機能が低下していた左腕はついに回復したようである。

無表情だったモノクロは一瞬だけ笑顔を見せ左腕に吸収された。
その瞬間、レフトに凄まじい魔力が戻ったようである。




「…ねえレフト」

「…」

必死に看病し、疲労困憊のアレサ。
いったいレフトはどのくらい意識を失っているのだろうか。

「私はいつまでも待つわ、あなたはきっと帰ってくると信じているから…」

アレサもそうだが、レフトもかなり衰弱しているようにみえる。

「…邪魔するよ…」

ノックとともにホープが入ってくる。

「アレサ…あなたが倒れたらレフトーラ君はとても悲しむわよ」

「うん……でも」

「そばにいたい気持ちがあるのだろうけどさ……それであなたが倒れてしまったら…」

「…レフトはきっと帰ってくる…」

やれやれといった様子でレフトの診察をするホープ。

「…近い……そろそろだね」

「近い?」

「目覚めの時が近い…かもしれないわね」

「…レフト…」



そういうとホープは去った。
気休めなのか、本当なのか…。



「レフト…私はここよ…」



次回へ続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...