集まれ!密室

雪矢酢

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1章 目覚め

5話 悪夢と狂気の密室

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想像していただきたい。

真っ暗だ、何も見えない。どこをみても何もない。目は機能し動くようだが、こう暗いと意味がない。闇が支配する世界とでもいうのだろうか。立っているのか、寝ているのか、
浮上中か落下中か。それすらわからない。

「…死んだのか」

と、先ほど感じた死を再び思考する

「みるがいい」

と、その瞬間、また明るくなる。今度は空間の照明とは比べ物にならないくらい明るい。いや、まぶしい、まぶしすぎる。光に目がダメージを受ける。みるがいい、とか偉そうに上から目線ですか。これはまぶしすぎて見えないわ。真っ暗だったりまぶしかったり、加減ができんのか…。そんなことをつぶやくうちに目がなれてくる。ここは…まだここか。

「あれ、おかしい動けない」

目の前には4名がいて何かしゃべっているのだが、耳が聞こえない。何故だ、何があったのだ。畳み掛けるような非現実の出来事にもはや精神の限界が近い。よくわかる、このままでは壊れる。まるで無音のVR空間のようだ。もしこの空間全体がVRなら不可解な事も全て説明がつく。しかし、何故こんなことをするのか。それがわからない。ここにいる5名の共通点は何なのだ。身動きはとれないが思考はできる。考えるのだ。ここへはどうやって来たのか、そして、あの妙な疲労は皆が感じているのだろうか。銃声や顔無しは疲労による気のせいだったのだろうか。

「…」

「1…2…3……4…」

「5」

おかしい

一人多い。先ほどは4人だったはず。小さな子供が増えている。その子供はみんなの後ろにいて、全員をまとめている様子だ。
みんながうなずき、一斉に目を閉じる。

「なんだ、この異様な光景は…」

視線が合うと子供はこちらをゆっくりと指さしし、さした指を自分の口元へともっていく。
よく見かけるシーっというポーズだ。
一瞬背筋がゾッとした。子供はこちらの状態を知っている。見えているが声を出せず、動けないこの状況を。すると、子供はみるみる異形な姿に変身していく。皆はそれに気づかず目を閉じている。腕や身体からは毒々しい体液が流れ、もはや化け物というよりか異形。この世に存在してはいけない何か。
腹部だったところは巨大な口が開き、いきなり4人を丸飲みにした。

「はっ」

目が覚める。ここは…。

「だいぶお疲れですね」

となりが心配して声をかけてくる。どうやら寝てしまったらしい。すると、あの狂気は夢だったのか。まだ意識はハッキリしないが、
とりあえず安心はした。夢でよかった。

「ふっふっふ」

後ろから声がしたので振り返ると…

「…」

表情が一気に青ざめ、恐怖した。
そこにはあの子供がおり、ゆっくりと指を口元へもっていき、
シーっのポーズ。

「ちゃんとみているよ」
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