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1章 目覚め
4話 歪む密室
しおりを挟む想像していただきたい。
空間に明かりがつく。やはり会議室的なところで、室内には自分を含めて5名。
顔が無かった女性は明かりがつくと、普通に顔がある。異性にも同性にも好かれそうで、優しそうな表情の方である。実際に優しいかどうかは知りませんけどね。
正方形の空間の真ん中にテーブルがあり、向こうには扉が確認できる。
「全員座って下さい」
空間に響き、スピーカーらしきものから聞こえたその声は音声案内のような機械的なボイスで、みんな一瞬、びくつきながらも着席する。椅子に座ろうとした時にまたも非現実的な光景を目の当たりにする。倒れていた女性が起き上がり着席したのだ。突然の事態に動揺しているが、とりあえず座ったほうがよい。ゆっくりと椅子に寄りかかる。パイプ椅子なのでお世辞にも座り心地がよいとはいえない。皆、急展開についていこうと必死なのか、こわばった表情で次の指示を待つように無言である。
視線を悟られぬように、4名の表情や容姿を確認する。薄暗い時はよくわからなかったが、倒れた女性含め、みんな疲労した顔つきである。明かりがつくことによりそれが判明する。
「なんか疲労してた気がする」
みんなの顔つきをみてそんな気がした。全員疲労していることが何かのキーワードだろうか。集団カウンセリングか何かでしょうか。皆の共通点があればこの空間の謎が解け、脱出することができるのだろうか。今はまだ謎が多すぎる。それに常識では説明できない事態も起こっている。ここは大人しく指示を待つのがよいだろう。行動するには情報が少なすぎる。だいぶ冷静さを取り戻した。
「あれっ」
一瞬だが、クラっと目眩のような感覚がした。目を擦り視線を扉の方へ向ける。するとドアノブが歪んでみえる。あれで扉が開くのだろうか。そんなことを思っていると、不思議なことにその歪みはどんどん広がっていく。ドアノブから扉全体へと広がり、壁も少しずつ歪みはじめる。すると急に具合が悪くなり、床に倒れ込んでしまった。天井も歪んできてもう何もかもが歪んでいる。突然倒れたので心配したのだろうか、4名が近づいてくるが、顔をみるなり、表情が青ざめて、まるで化け物でも見るような視線である。その刺さるような視線は歪んでいることにより、非常に気持ちが悪い。気分も悪い。もはや意識を保っていられない。やがて視野が狭くなり真っ暗になった。
「これが死…か」
と思ったか、言ったかはわからないが、意識を失った。
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