16 / 28
第2章 眠れない騎士アランの憂鬱
10.はじめての人_②
しおりを挟む“体”が慣れていればあとは勢いでどうにかなるものだと思っていたのに。
おかしい。“フェリーチェ嬢”は“攻略キャラ”を色仕掛けで寝取って“ヒロイン”との進展を邪魔する、ビッチな悪役令嬢という“設定”ではなかったのか。
ぜったい、断じて、処女なんかじゃないと、思っていた。
話が違う。だけどそもそもその記憶すら曖昧なのだ。
「どうする……? 止める? 本当に初めてなら、オレじゃない方が良いと思うよ」
こんな中途半端な状態で、さっきは止めれないと言っていて、だけどアランの見せる気遣いは優しい。
逆にここで逃げてもいずれどこかでぶち当たる問題だ。イベントにこの“行為”は必須なのだから。
アランは自分ではない方が良いとは言っていたけれど、フェリーチェにはそうは思えなかった。
「や、止めなくていい、ですから……っ」
「いやー、嫌がってる子を犯すシュミは、さすがのオレも無いっていうか」
「もう、そういうプレイだと思っていい……! やめてって言っても、止めないで……!」
「え~~……って言われても……まだ指だけでこれだよ? 本当にいける? 最後まで」
心身ともに処女でも“最後”がどこまでなのかは分かる。
知識だけはあるのだ。“前世”から引き継いだ知識が。前世も立派な処女だったけど。
「いける! っていうか、いくまで絶対帰らないし、離さないから……!!」
我ながら浪漫もムードも欠片もない引き留めの言葉。
とても最中のベッドでの会話とは思えない。一時中断しているけれども。
恋人でも友人でも知り合いですらもない、ベッドここに来るまでほぼ他人だった自分たち。
誘ったのは自分から。なのにこの有様。
恥ずかしくて死にたくなる。死なない為にここに来たのに。
無謀な脅迫に間を置いた後、自分を見下ろしていたアランが堪らず噴き出した熱い息が、フェリーチェの前髪を揺らした。
もうここで笑っちゃったら終わりな気がする。こう見えてこっちは真剣なのに。
「ほんと、おかしな子だね」
心底おもしろそうに、おかしそうに覗き込むのは、僅かに翳る赤い瞳。思っていたよりもすぐ近くにその顔があった。
触れていた肌は、そういえば離れていない。ずっと繋いでいてくれている。
「そんな熱烈なアプローチ、オレはじめて」
――一番最初に彼を選んだのは、彼が“遊び人チャラ男”という設定だったからだ。
それだけではないけれど、誘ったらきっとカンタンに乗ってくれると思った。一番成功確率の高い相手だと。
その予想は間違ってはいなかったのだけれど――
「じゃあ、始めからやりなおしね。とびきり優しく、シてあげる。最後までちゃんとつれてってあげるよ」
たぶん、彼で、良かった。
何度目かのキスは変わらず優しくて、そうしていつの間にかそれを受け容れることに、まるで抵抗のない自分が居た。
0
あなたにおすすめの小説
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら
渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!?
このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!!
前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡
「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」
※※※
現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。
今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました!
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
悪役令嬢に転生しましたが、全部諦めて弟を愛でることにしました
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に転生したものの、知識チートとかないし回避方法も思いつかないため全部諦めて弟を愛でることにしたら…何故か教養を身につけてしまったお話。
なお理由は悪役令嬢の「脳」と「身体」のスペックが前世と違いめちゃくちゃ高いため。
超ご都合主義のハッピーエンド。
誰も不幸にならない大団円です。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる