[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第6話:市場に潜む影!

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「……さて、どうしたものか」

俺は腕を組みながら、
領主の屋敷の客間で
考え込んでいた。

巨大ハムスターを退治した
ことで、町の人々は一安心。
しかし、その元凶となった
怪しい商人の正体は、
まだ掴めていない。

「お兄ちゃん、
難しい顔してるね?」

「まぁな……。
ミュリ、あの商人について
何か聞いたことはあるか?」

ミュリはふるふると
首を振った。

「ううん。でも、
市場の人たちに聞いたら
何かわかるかもしれないよ!」

「なるほど。じゃあ、
早速市場に行ってみるか」

「うん! それと、
お兄ちゃん!」

「ん?」

「市場に行くなら、
またスパイス商人の
ゴルツさんに会えるね!」

ミュリの尻尾がふわふわと
揺れて、ご機嫌なのが
丸わかりだった。

「お前、本当にゴルツの
スパイスが好きだな」

「だって、
美味しいんだもん!」

「まぁ、俺もスパイスには
興味があるしな……
よし、行くか!」

市場での聞き込み調査!

市場はいつも通り賑やか
だった。新鮮な野菜、
焼きたてのパン、スパイスの
香りが入り混じり、異世界の
活気を肌で感じる。

「さて、まずはゴルツの店
に行くか」

「はーい!」

ミュリは軽快な足取りで
ゴルツのスパイス店へ
向かう。

「おー! レオンにミュリ
じゃないか!」

店の奥から現れたのは、
陽気なスパイス商人ゴルツ。

「お久しぶりです、
ゴルツさん。ちょっと
聞きたいことがあって
来ました」

「おお、なんだなんだ?」

俺は巨大ハムスターの件を
説明し、怪しい商人について
知っていることがないか
尋ねた。

「ふむ……怪しい商人、
ねぇ……」

ゴルツは顎に手を当て、
しばらく考え込んだ。

「そういえば、最近市場に
変な男が出入りしてたな」

「変な男?」

「黒いフードを被っててな。
いつも影の多い場所に
立ってる。顔は見たこと
ねぇが、何か企んでるような
雰囲気だったぜ」

「そいつが何を売っていたか
わかりますか?」

「はっきりとは知らねぇが、
どうやら薬草や魔法の触媒を
扱ってたらしい」

「……怪しいな」

市場で薬草や魔法の触媒を
扱う店は他にもある。
しかし、それをわざわざ
コソコソと売るということは、
何か裏があるのかもしれない。

「そいつ、今も市場にいるのか?」

「さぁな。ただ、よく夕方ごろに
古井戸のそばで誰かと取引して
るって話を聞いたぜ」

「古井戸……か」

市場の外れにある古井戸。
普段はあまり人が
近づかない場所だ。

「よし、ちょっと様子を見に
行ってみるか」

古井戸での尾行!

「お兄ちゃん、
尾行ってどうやるの?」

「えっ? いや、普通に気配を
消して後をつければ……」

「それってどうやるの?」

「えっ?」

いや、俺もサラリーマン時代に
尾行なんてしたことないん
だが……。

「まぁ、とにかくミュリ、
お前の俊敏さを活かして
慎重にな……」

「うん、わかった!」

古井戸の周りに身を潜め、
様子を窺うこと数十分。
やがて、黒いフードの男が
現れた。

「……いたな」

男はキョロキョロと辺りを
見回した後、ゆっくりと
井戸の脇にしゃがみ込み、
何かを取り出した。

「何か埋めてる?」

「っ……! 誰か来る!」

その瞬間、別の男が姿を
現した。

「こ、こいつは……」

見るからにいかがわしい
細身の男。二人は何やら
小声で会話を交わしている。

「ミュリ、何を話してるか
聞こえるか?」

「ちょっと待ってね……」

ミュリが耳をピクピクと
動かし、集中する。

「……『次の計画は順調か』……
『あぁ、問題ない』……
『町に混乱が広がれば、
もっと儲かる』……
って言ってる」

「っ……!!」

やっぱり、こいつらが
町の混乱を引き起こして
いたのか!

「よし、証拠を掴んだら
領主に報告だ……!」

だが、その時だった。

パキッ!

「にゃっ!?」

ミュリの尻尾が落ち葉を
踏んでしまい、音を立てた。

「誰だ!!?」

「ヤバい!」

俺たちの存在がバレた。

「逃げろ!」

「でも……!」

「いいから走れ!」

俺たちは市場の方へと
一目散に駆け出した。
しかし、すぐに男たちが
追いかけてくる。

「お兄ちゃん、どうする!?」

「戦うしかねぇか……!」

俺は持っていたハーブを
取り出す。

「……まさか、オーガニックで
戦うの!?」

「他に武器がないんだから
しょうがないだろ!!」

「もう、しょうがないなぁ!」

ミュリは俊敏な動きで敵を
翻弄しながら、猫族特有の技を
繰り出した。

「猫パンチ!」

ミュリが前足で
相手の顔を引っ掻く!

「ぎゃっ!?」

「猫キック!」

倒れそうになった男に
追撃を浴びせ、見事に撃退!

「やったね!」

「す、すごいな……」

俺が感心していると、
残った黒フードの男が怪しげな
薬品を取り出した。

「くっ……
これを使うしかないか……」

男が薬品を空中に撒くと、
辺りに黒い霧が広がる。

「……っ、これは!?」

「お兄ちゃん、
目がチカチカするよ!」

「くそっ、やられた!」

俺たちが霧に包まれると、
黒フードの男は素早く
逃げ出した。

「待てっ!」

だが、視界が悪く、
追いかけることができない。

「……逃げられたか」

俺は悔しさを噛み締めながら、
霧が晴れるのを待った。

「でも、話は聞けたし、
領主に報告しよう!」

「あぁ、そうだな……」

こうして俺たちは市場の
異変の核心に近づきつつ
あった。
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