[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第8話:炎上する倉庫!

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「うわっ、マジかよ……!」

俺たちは市場近くの倉庫街に
駆けつけたが、そこには
赤々と燃え盛る炎が
広がっていた。

「ひどい……!」

ミュリが目を見開く。
炎は倉庫の壁を舐める
ように広がり、辺りには
焦げ臭い匂いが漂っていた。

「早く消さなきゃ!」

「その前に、まず人が
いないか確認するぞ!」

俺は煙をかき分けながら
周囲を見渡した。倉庫の前
には慌てふためく商人たちと、
消火活動に追われる兵士たち
の姿があった。

「領主様!」

兵士の一人が駆け寄ってくる。

「被害状況は?」

「火は第三倉庫から発生し、
現在第五倉庫まで延焼中
です!」

「中に人は!?」

「今のところ確認されて
いませんが、念のため避難を
呼びかけています!」

「よし、引き続き消火を急げ!」

「はっ!」

兵士たちは必死にバケツで
水を運び、火を消そうと
していたが、炎は強まる
一方だった。

「……これ、
本当に普通の火事か?」

俺は眉をひそめた。
ただの火事にしては、
燃え方が異常だ。
まるで魔法でも使われた
みたいに、
一瞬で広がっている……。

「ミュリ!」

「なに?」

「この火、なんか変だと
思わないか?」

「え?」

ミュリはじっと火を見つめ、
ピンと耳を立てた。

「……うん。なんか、
普通の炎より
熱が強い気がする」

「やっぱりな……」

これはただの火事じゃない。
誰かが意図的に火をつけた
可能性が高い。

「領主様、この火事、
おそらく放火です!」

「なに?」

「ただの火じゃありません。
何か特殊な燃焼材が
使われている可能性が
あります!」

「そんな……!」

「どこかに犯人がいる
かもしれません! ミュリ、
一緒に倉庫の裏を調べるぞ!」

「うん!」

俺たちは倉庫の裏手へと
回り込んだ。

倉庫裏での追跡!
黒フードの影!

倉庫裏は人気がなく、
ただ煙が渦巻いていた。
だが、その中に……

「お兄ちゃん! 誰かいるよ!」

「どこだ!?」

ミュリが指差した先に、
黒いフードをかぶった人物が
いた。

「おい、待て!」

俺が声をかけると、そいつは
一瞬びくりと肩を震わせ、
すぐに踵を返して逃げ出した。

「逃がすか!」

「お兄ちゃん、
あたしに任せて!」

ミュリの尻尾がブンッと揺れ、
耳がピンと立つ。次の瞬間――

「行くよ、
猫族流・四足ダッシュ!」

ミュリはチーターのような
速さで駆け出し、
黒フードの男に迫る。

「なっ……!?」

黒フードの男が驚いたように
振り返ったその瞬間――

「猫キック!」

シュバッ!

ミュリの跳躍力を活かした
蹴りが炸裂し、黒フードの男は
盛大に転倒した。

「やった!」

「よし、今のうちに……!」

俺はすかさず駆け寄り、
男の腕を掴んだ。

「お前、何者だ!?」

「くっ……!」

男は抵抗しようとしたが、
ミュリが鋭い爪を
チラつかせると、観念したのか
大人しくなった。

「領主様のもとへ
連れて行くぞ!」

黒フードの正体!
驚きの事実!

「こやつが……放火犯か!」

領主の前に引きずられた
黒フードの男は、
じっと黙り込んでいた。

「名を名乗れ!」

「……俺の名など、
お前たちには関係ない」

「ふざけるな!」

「フン……」

男は一瞬、ニヤリと笑った。
その瞬間――

「っ!」

突如、男の体がぼんやりと
紫色の光に包まれた。

「お、おい!?」

「なにこれ!?」

「魔法か!」

次の瞬間、男の体はフッと
光に包まれ、煙のように
消えてしまった。

「な、なんだと!?」

「逃げられた!?」

「くそっ……!」

俺は拳を握りしめた。
せっかく捕まえたのに、
まさか転移魔法を使って
逃げるとは……!

「領主様、あの男、
絶対に黒幕の手先です!」

「ああ、間違いない……。
このままでは町の混乱が
収まらん!」

「どうしますか?」

領主はしばらく黙り込んだ後、
決意したように頷いた。

「この件、
正式に国王へ報告する!」

「国王!?」

「ここまで大規模な破壊活動が
続いている以上、
もはや町だけの問題ではない。
この黒幕、何らかの大きな
組織に属している可能性が
高い」

「……確かに」

市場の混乱、野菜の腐敗、
家畜の失踪、そして火事。
全てが繋がっていると
考えると、確かに単独犯の
仕業とは思えない。

「レオン殿、ミュリ殿。
そなたたちにも引き続き
協力してもらいたい」

「もちろんです!」

「うん、あたしもやる!」

こうして、俺たちは
黒幕の正体を暴くため、
さらに深く事件に関わる
ことになったのだった。
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