[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第9話:国王への報告!

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「国王に報告か……」

領主の執務室に呼ばれた俺は、
腕を組んで考え込んだ。

黒フードの男の逃亡、
次々と起こる不可解な事件、
そして倉庫火災の放火。
これらを考えると、確かに
個人の仕業とは思えない。
領主の言う通り、これは
もっと大きな何かが背後に
いる可能性が高い。

「なぁ、ミュリ」

「ん?」

「お前は今回の一連の事件、
どう思う?」

ミュリは尻尾をふわふわ
揺らしながら、しばらく
考え込んでいた。

「うーん……
お魚が関係してるとか?」

「……は?」

「だって、火事の時も
お魚屋さんが慌ててたし、
野菜も腐るっていうけど、
お魚も腐るじゃん?」

「…………」

ちょっと待て。こいつ、
意外と突拍子もないことを
言うな……。

「いや、今回の問題は魚が
腐ることじゃなくて、
意図的に引き起こされた
異常現象なんだが……」

「そっかー……」

ミュリはしょんぼりと
肩を落とし、尻尾も
垂れ下がった。

「お、おい、
そんな落ち込むなよ」

「えへへ、冗談だよ!」

ミュリがニッと笑う。

「お前、今めちゃくちゃ
天然っぽくボケただろ……!」

「ばれた?」

「当たり前だ!」

まったく、油断すると
すぐに変なことを言い
出すな、この猫娘は。

「まぁでも、ミュリの
言うことも一理ある」

「えっ!? 本当に?」

「……いや、魚が関係ある
とは思えないが」

「にゃーん、
やっぱりそうだよね……」

「でも、食料の異常が関係
してる可能性は高い。
市場に出回る食材が
意図的にダメにされている
としたら、これは経済的な
打撃を狙った破壊工作
かもしれない」

「……それって、つまり?」

「この町を混乱させようと
する何者かがいる、
ってことだ」

「なるほど……! でもさ、
それならなんで家畜まで
消えるの?」

「そこなんだよな」

俺は腕を組み直し、
考え込む。

家畜が消える理由……
市場の食材が腐る理由……
火事が起きた理由……。

「もしかすると、この町の
物流を完全に混乱させる
のが目的なのかもしれない」

「ぶつりゅう?」

「ああ。市場に食材が
行き渡らなければ、
人々は困る。家畜が消えれば、
肉が手に入らない。
火事で倉庫が焼ければ、
物資が不足する……」

「つまり、食べ物がなく
なっちゃうってこと?」

「そういうことだ」

「にゃぁぁぁ!? 
それは大変!」

ミュリの耳がぴょこんと
立ち、尻尾がブンブンと
激しく揺れる。

「お、おい、落ち着け!」

「落ち着けないよぉ! 
あたし、毎日ご飯食べる
のが楽しみなのに!」

「そりゃみんなそうだろ……」

「このままじゃ、猫缶
(※猫族用の保存食)が手に
入らなくなっちゃう……!」

「お前、そこ!? 
もっと全体の危機を考えろ!」

「……ご、ごめん。でも、
お兄ちゃんが言うとおりなら、
やっぱり誰かが町を混乱させ
ようとしてるんだよね?」

「ああ。だからこそ、
国王にこの情報を伝える
のは重要だ」

「国王様ってどんな人なの?」

「さあな。俺も会ったこと
はない」

「えぇぇ~……
会ったことないのに話しに
行くの?」

「そりゃあ、そうだろ。
俺は転生してからここに
来たばかりなんだから」

「たしかに……」

ミュリは納得したように
頷いた。

「でも、お兄ちゃんって
偉いんだね! だって、
いきなり国王様に会いに
行くことになっちゃうん
だもん!」

「それを言うなら、
お前だってそうだろ……」

「えへへ、確かに!」

ミュリはご機嫌な様子で
尻尾をフリフリしていた。

いざ王都へ!

翌朝、俺たちは領主の
手配した馬車に乗り、
王都へと向かった。

「お兄ちゃん、
お馬さんに乗れる?」

「いや、乗れない。というか、
俺、昔から乗り物酔いする
んだよな……」

「えぇぇ!? じゃあ、
馬車の中で揺れたら……?」

「考えたくもない……」

俺は顔をしかめながら
馬車に乗り込んだ。

「ねえねえ、王都って
どんなところなの?」

「さあな、行ってみないと
分からんが……少なくとも、
この町よりずっと大きくて
栄えてるはずだ」

「へぇぇ! じゃあ、
おいしいものもいっぱい
あるのかな!?」

「……お前、さっきまで
食料がなくなるかもって
危機感持ってたん
じゃないのか」

「だって、それはそれ、
これはこれ!」

「……猫って、
ほんと気まぐれだな……」

「にゃふふ!」

ミュリはすっかり観光気分に
なっていたが、俺は心の中で
警戒を強めていた。

王都に行けば、さらなる
情報が得られるかもしれない。
しかし、それと同時に、
もっと危険な何かに
巻き込まれる可能性もある。

「まあ、なるようになるか……」

俺はため息をつきながら、
遠くに見えてきた王都の城壁を
見つめたのだった。
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