[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第24話:スパイス商売を狙う影

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「にゃ~ん……。」

ミュリが床の上でごろごろ
転がりながら、不満げな声を
漏らしている。

「……なんだよ、どうした。」

俺は厨房の片付けをしながら、
ミュリに視線を向ける。

「スパイスを取り戻したのに、
なんだかまだスッキリしない
にゃ。」

「まあ、バルドールが
何か企んでるのは確か
だからな。」

「にゃっ!? 
まだ何かするにゃ!?」

「おそらくな。」

王宮の料理人たちは、
スパイスが無事に戻ってきた
ことでホッとしている。
でも俺の直感が
「まだ終わってない」と警告を
発していた。

「にゃにゃ~……
また厄介ごとにゃ……。」

「お前、意外と勘が
鋭いんだな。」

「にゃふふ~♪ 
ミュリは天才にゃ!」

「……お前のその根拠のない
自信、ちょっと羨ましいわ。」

とりあえず、バルドールが
次に何をしてくるか警戒して
おく必要がある。



怪しい商人の出現

案の定、その翌日。
王宮の前で不審な商人が噂
になっていた。

「最近、スパイスを扱う商人
が王宮の周りをうろついて
いるらしいぞ。」

「え? でも、王宮には
ガストロ殿とレオン様が
管理するスパイスが
あるはず……。」

「それが、どうも貴族派閥の
連中と密かに取引してる
とか……。」

……ほう。

俺はその会話を聞き逃さず、
すぐにミュリを連れて
王宮の門へ向かった。

「レオン、あの人にゃ?」

ミュリが指差したのは、
一人の男だった。痩せた体に
黒い服をまとい、目つきの
悪い商人が、貴族の使用人
らしき人物と何やら話し
込んでいる。

「……間違いないな。」

俺はゆっくりと近づいた。

「やあ、お前さんたち、
なかなか珍しい香辛料を
扱ってるんだって?」

「む……?」

商人は俺の姿を見るなり、
一瞬だけ驚いたような顔を
したが、すぐにニヤリと
笑った。

「おや、これはこれは。
噂のスパイス使い様
じゃありませんか。」

「……俺のことを知ってる
のか?」

「ええ、もちろん。最近王宮で
話題の料理人ですからね。」

なんだろう、この胡散臭さ。

「……ところで、あんたは
どうして王宮の前にいるんだ?」

「いやあ、私のスパイスを
ぜひ王宮に売り込めないかと
思いましてね。」

「……お前のスパイス?」

「そう。特別なルートで
仕入れた、高品質なスパイス
ですよ。」

「にゃ?」

ミュリが首をかしげる。

「でもレオンのスパイスより
美味しいにゃ?」

「ええ、それはもちろん!」

「ほんとかにゃ?」

ミュリはスッとその男の懐に
手を伸ばし──

「おい、ちょっ……!」

「にゃっ!?」

「お前、いきなり
何やってんだ!?」

「んにゃ~、なんか怪しいと
思ったにゃ!」

ミュリの手の中には、
小さな袋があった。

「ちょっ、それは……!」

「……ほう?」

俺はその袋を開けると
、強烈な臭いが鼻をついた。

「……おい、これはまさか。」

「くっ……!」

「にゃ? 
なんか変な匂いにゃ!」

「ミュリ、これはスパイス
じゃない……これは、
混ぜ物の入った粗悪品だ。」

「にゃにゃっ!? 
それはダメにゃ!」

「ほう、なるほどな。
お前、バルドールの
手先か?」

商人は明らかに動揺して
いた。

「ぐぬぬ……!」

「正直に言えよ。バルドール
に頼まれて、俺たちの
スパイスに対抗しようと
してるんだろ?」

「ち、違う! 
これはその……!」

「にゃっ!? なんか
言い訳っぽい
にゃ!」

「ちょっ……!」

ミュリが鋭い猫耳を
ピクピクさせながら、
商人の動揺を見抜いて
いる。

「どうする、正直に言えば
まだ許してやるが?」

「くっ……覚えていろ!」

商人は焦った様子で
逃げ出した。

「にゃ~っ! 待てにゃ!」

ミュリが俊敏に追いかけ
ようとするが、俺は
その肩を押さえた。

「いい、放っておけ。」

「にゃ? 
逃げちゃったにゃ?」

「でも、これで確信した。
バルドールは、俺たちの
スパイスを潰すために、
粗悪品を流通させようと
してる。」

「にゃ~! 
そんなの許せないにゃ!」

「だな……。」

このままじゃ、スパイスの
評判が悪くなる可能性がある。
ここは早めに手を打つ必要が
あるな。



ガストロとの対策会議

「なるほど……
貴族派閥が粗悪なスパイス
を流通させようとして
いる、か。」

厨房に戻り、俺はガストロ
に事情を説明した。

「そういうことだ。」

「ふむ……しかし、それでは
王宮の料理が台無しに
なるぞ。」

「まさにそれが狙いで
しょうね。」

「にゃ~、悪い奴にゃ!」

ミュリがぷくーっと頬を
膨らませて怒っている。

「だが、対策はある。」

俺はニヤリと笑った。

「俺たちのスパイスが本物
だってことを、もっと
大々的に広めるんだよ。」

「なるほど……!」

「にゃ? どうするにゃ?」

「スパイスフェスティバル
を開く。」

「にゃっ!? 
なんかすごそうにゃ!」

「ここで、本物のスパイスの
味を皆に知ってもらえば、
偽物に騙されることは
なくなる。」

「ふむ……確かに、
それはいい案だな。」

ガストロも納得した様子
で頷いた。

「にゃふふ~! そ
れならミュリもお手伝い
するにゃ!」

「お前、仕事できるのか?」

「にゃっ!? 失礼にゃ!」

「……まあ、期待してるぞ。」

こうして、俺たちは
バルドールの陰謀を
打ち砕くべく、新たな
戦いの準備を始めるの
だった──!
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