[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第28話:怪しい貴族と消えたスパイス

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「にゃふ~~! 
今日はスパイスの
仕入れ日だにゃ!」

ミュリが尻尾をピンと立て、
店の前でスキップしている。
相変わらずご機嫌な猫娘だが、
今日は特にテンションが高い。
理由は簡単、王宮御用達と
なったことで、
スパイス専門店『ミュリの香り』
の売上が爆増しているからだ。

「うん、まあ、良いことでは
あるんだけどな……。」

俺はため息をつきながら、
帳簿を見つめる。売上は確かに
右肩上がり。だが、問題が一つ。

「仕入れが追いついてねぇ……。」

スパイスが足りない。いや、
正確に言うと、仕入れ先の
ゴルツから「最近、仕入れた
スパイスの一部が消えている」
という不穏な報告があったのだ。

「ミュリ、お前の仕入れリスト、
確認してくれ。」

「にゃ? そんなのいらないにゃ!」

「いや、必要だろ。」

「ミュリの鼻があるにゃ! 
すーはーすーはー……
この香りは……」

ミュリがスパイス袋の上に
顔をうずめ、深呼吸し始めた。
まるで犬みたいだな。

「……これはにゃ、
シナモンにゃ! シナモンが
消えてるにゃ!」

「いや、それはお前の鼻じゃ
なくて、帳簿に書いてある
んだが。」

「にゃふっ!?」

お前、本当に大丈夫か? 
まあ、ミュリの鼻が効くのは
事実なんだが……。

「とにかく、ゴルツのところに
行くぞ。事情を聞こう。」

「にゃふ~~! ゴルツにゃ! 
ミュリの店の前のご主人にゃ!」

「お前、まだ自分の店の感覚
なのか……。」

こうして俺たちは、
スパイス商のゴルツの
元へ向かった。



スパイス倉庫に潜む影

「……それで、消えたスパイス
ってのは?」

俺が尋ねると、ゴルツは
渋い顔で答えた。

「王宮へ納品するために
確保していたスパイスが、
一部ごっそり無くなって
いたんだ。」

「にゃ!? それは大変にゃ!」

「特に、シナモンやクローブ、
ナツメグあたりが消えてる。」

俺は眉をひそめた。シナモン、
クローブ、ナツメグ……。
これ、全部特定の料理に
使われるスパイスじゃないか?

「スパイスってそんな簡単に
盗まれるもんか? 
盗まれた形跡は?」

「鍵はしっかり閉めてあったが、
倉庫の裏口が少し開いていた。」

「裏口……。」

誰かが倉庫に侵入した可能性が
高い。これは単なる盗難事件
じゃなさそうだ。

「誰かに狙われてるのか……?」

「にゃふ!? スパイスが誘拐
されたのにゃ!?」

「お前の言い方だと、スパイスが
意思を持って逃げたみたいに
聞こえるが……。」

「にゃ~、犯人はスパイスを
愛しすぎたんだにゃ……。」

「そういう問題じゃねぇ。」

俺は頭を抱えながら、
ゴルツに尋ねた。

「他に何か変わったことは?」

「そういえば、最近よく王都の
貴族が視察に来ていた。
スパイスの取引に興味を持って
いる様子だったが……。」

「貴族か……。」

怪しいな。スパイスが
王宮御用達になったことで、
何らかの利権が絡んでいる
のかもしれない。

「そいつの名前は?」

「リヒト伯爵だ。」

リヒト伯爵……聞いたことが
ない名前だな。だが、
王都の貴族であれば、
調べることはできる。

「ミュリ、準備しろ。
王都に行くぞ。」

「にゃっ!? 
いきなり王都にゃ!?」

「ここでじっとしてても
解決しない。」

「にゃ~……
王都のおやつ屋さんに
寄ってもいいにゃ?」

「お前、どんな状況でも
食い気だけはあるな……。」

こうして、俺たちは王都へ
向かうことになった。



王都の影、怪しい取引

王都に到着すると、まずは
商業ギルドでリヒト伯爵の
情報を集めることにした。

「リヒト伯爵か……
最近、スパイス市場に
ちょっかいを出していると
噂の人物ですね。」

商業ギルドの受付嬢が、
資料を手にしながら話す。

「リヒト伯爵はここ最近、
急にスパイス事業に興味を
持ち始め、各地からスパイス
を買い占めているようです。」

「買い占め……。」

やっぱりな。こいつがスパイス
盗難事件の黒幕かもしれない。

「にゃふっ!? じゃあ、
犯人を捕まえればいいにゃ!」

「いや、証拠もなしに捕まえ
られるわけないだろ。」

「にゃふ~~……じゃあ、
証拠を集めるにゃ?」

「そういうことだ。」

俺たちはリヒト伯爵がいる
という屋敷へ向かうことに
した。



屋敷での潜入調査

リヒト伯爵の屋敷は、
王都の貴族街にあった。
立派な建物だが、スパイスの
香りがどこからか漂ってくる。

「にゃ? なんか……
香ばしいにゃ?」

「確かに……
シナモンとクローブの香りが
するな。」

まさか、ここで盗まれた
スパイスを使っているのか?

「レオン、
ここで待ってるにゃ!」

ミュリが突然、壁を駆け上り、
屋敷の屋根へと飛び乗った。

「お、おい!? 
お前何してんだ!?」

「猫は高いところが好きにゃ! 
そして、こういう時の偵察は
任せるにゃ!」

ミュリは四足で音もなく
屋根を進んでいく。
猫の特性を活かしてるのは
良いが、普通ならそんなこと
できねぇぞ……。

しばらくすると、
ミュリが戻ってきた。

「にゃふふっ! いたにゃ!」

「何が?」

「屋敷の中で、リヒト伯爵が
商人と取引してたにゃ! 
スパイスの袋が山積みに
なってたにゃ!」

やはり、ここにスパイスが
あるのか……。

「にゃふっ! じゃあ、
このまま乗り込むにゃ!」

「いや、そう簡単にいくか!」

「にゃ~……
じゃあ、どうするにゃ?」

「証拠を押さえて、
ギルドに報告だ。」

こうして、俺たちは証拠を掴み、
スパイスの謎に迫ることに
なったのだった。
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