[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第29話:リヒト伯爵の陰謀!

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「にゃふ~~! 
ついに決戦の時にゃ!」

いや、決戦ではない。
ただの証拠集めだ。

王都の貴族街にある
リヒト伯爵の屋敷。
ここに盗まれたスパイスが
あることは、ミュリの偵察
でほぼ確定した。だが、
俺たちだけで突っ込むわけ
にはいかない。

「まずはギルドに報告だな。」

「にゃふ? そんなことしなく
てもミュリの猫パンチで
片付けるにゃ!」

「お前、いつもそうやって
突っ込んで大変なことに
なるんだよ。」

「にゃ~、心外にゃ。
ミュリは計画的にゃ!」

「計画的に屋根から落ちる
やつがいるか?」

「にゃ!? 
そんなこと一回しかして
ないにゃ!」

「……二回は見たぞ。」

「にゃふぅ……。」

まあ、ミュリの突撃力は
頼りになるときもあるが、
今回ばかりは慎重にいか
ないといけない。



商業ギルドでの作戦会議

「リヒト伯爵がスパイスを
盗んでいた? それは大変
ですね……!」

ギルドの受付嬢は驚いた
顔をしている。

「にゃ! だから今すぐ突撃
するにゃ!」

「だから落ち着け。」

「にゃ~……
じゃあ、猫じゃらしを
差し出すにゃ。」

「なんで俺がそんなもん
持ってる前提なんだよ。」

「にゃ!? もしかして
持ってないのにゃ?」

「持ってねぇよ!!」

「にゃふぅ……
ご主人失格にゃ……。」

なんのご主人だよ。

「とにかく、リヒト伯爵が
スパイスを不正に
入手していた証拠が必要だ。」

「そうですね。ですが、
貴族の屋敷に勝手に踏み込む
のは難しいですね……。」

「う~ん……。」

「にゃ? ミュリなら
忍び込めるにゃ?」

「いや、ダメだ。
証拠を取ってきても、
正規の手続きがないと
無効にされる可能性がある。」

「にゃふぅ……
法律って面倒にゃ。」

それは俺も同感だ。

「でも……あっ!」

受付嬢が手を打った。

「リヒト伯爵は、
商業ギルドに正式に
スパイス取引の申請を
出しています!」

「……それがどうした?」

「貴族でも、商業ギルドを
通して取引をする場合、
在庫の記録を提出しなければ
ならないんです。でも、
その記録が盗まれた
スパイスと一致すれば……!」

「つまり、公的な証拠が手に
入るってことか。」

「にゃふっ! 
それなら勝ち確にゃ!」

「まだ確定してないけどな。」

とはいえ、これは大きな
前進だ。



リヒト伯爵との交渉

翌日、俺たちはリヒト伯爵
の屋敷を訪れた。

「ほう……君たちは、
スパイス商人だね?」

リヒト伯爵は細身の男
だった。鋭い目つきと
いやらしい笑みが特徴的で、
いかにも何か裏がありそうな
雰囲気を醸し出している。

「そうだ。俺はレオン。
こっちはミュリ。」

「にゃふっ!」

「ほう、猫獣人の娘とは
珍しいね。」

「にゃ? 
そんなことないにゃ?」

「いや、
そういう意味では……
いや、まあいい。」

伯爵は少し困ったように
笑った。

「それで、今日は何の
ご用かね?」

「商業ギルドの記録に
よると、伯爵はスパイス
取引を始めたそうだな。」

「ああ、そうだとも。
スパイス市場は今、
大きな利益を生む
からね。」

「では、在庫の確認を
させてもらいたい。」

「……在庫?」

伯爵の目がわずかに
動いた。

「当然だろう? 
商業ギルドを通じて
取引しているなら、
記録と実際の在庫が
一致するはずだ。」

「ふむ……。」

伯爵はしばらく考え
込んだ後、手を叩いた。

「よろしい。
見せてやろう。」

よし、これで証拠を
押さえられるはずだ……!



スパイス倉庫の秘密

案内された倉庫の扉が
開くと、そこには大量の
スパイスが積まれていた。

「にゃっ!? これは……!」

「ほう、驚いたかね?」

伯爵は得意げな顔をして
いる。

「この屋敷の倉庫には、
王都のどこよりも優れた
スパイスが揃っている。
シナモン、クローブ、
ナツメグ……。」

「……王宮へ納品された
スパイスと、ほぼ一致
してるな。」

「にゃふ~~? でも、
どこから仕入れたのか
にゃ?」

「おっと、
それは企業秘密だよ。」

「……ふん、なるほどな。」

この在庫が、盗まれた
スパイスと一致するか
どうか、それを確認する
ためにはもう一つ証拠が
必要だ。

「にゃ~……
ご主人、これを嗅ぐにゃ!」

ミュリがスパイスの袋を
手に取り、俺の鼻の前に
突き出した。

「おい、近すぎる! 
……ん? この匂い……。」

「にゃふふ! わかったにゃ?」

「ああ……
これは間違いない。」

この香り、ゴルツの店で
扱っているスパイスと
同じだ。つまり、ここに
あるスパイスは……。

「伯爵、これは王宮へ納品
されたスパイスと同じ
ものだな?」

「……さあ、どうかな?」

伯爵は笑ってごまかそうと
するが、その顔には少し
焦りが見えた。

「にゃふっ! これはミュリの
鼻が証明してるにゃ!」

「証拠にはならんがな……。」

「にゃふぅ……。」

だが、ギルドの在庫記録と
照合すれば、ここにある
スパイスが盗まれたものか
どうかがはっきりする。

「ギルドに報告させて
もらう。」

「ふん……面倒なことに
なりそうだな。」

伯爵は冷たい笑みを
浮かべた。

「だが、貴族を相手にする
のは容易ではないぞ?」

「にゃふっ! ミュリの
猫キックを見せるにゃ!」

「だから、暴力は最後の
手段だって言ってる
だろ……!」

スパイスをめぐる戦いは、
ついに本格化しそうだ……!
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