[完結]おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華

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第50話:レオンの決断

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王都の喧騒を抜け、
レオンは丘の上に
立っていた。

街の向こうに広がる
地平線を眺めながら、
ふと考える。

(俺は、ここで何を
しているんだろうな……)

かつての自分を振り返る。

前世のレオンは、
ただの平凡なサラリーマン
だった。
マーケティング・コンサル
会社に勤め、上司に怒られ
ながらも、何とか日々を
こなすだけの生活。

特別な才能があったわけ
でもなく、出世とは無縁
の万年主任。

「オーガニックが
大事なんだよ!」なんて
力説しても、職場では
「また変わり者が語って
るよ」と呆れられるのが
オチだった。

そんな人生が――
異世界に来たことで、
一変した。

(今の俺は、商売を通じて
人々の暮らしを変えよう
としている)

スパイスというたった
一つの商材から始まった
事業が、今では王都全体
に影響を与えるまでに
成長した。
獣人たちの地位向上にも
貢献し、さらには新たな
商業都市の建設という
大きな目標まで掲げて
いる。

(俺は、ここで生きる意味
を見つけたんだ)

レオンは静かに拳を握る。

「――決めた」

新たな街を作る。
獣人と人間が平等に働き、
暮らせる場所を。
そして、スパイス文化を
さらに広め、この世界の食
を変えていく。

それが、レオンがこの世界
で生きる意味になる。

「よし、やるか」

静かに決意を固めた瞬間――。

「にゃ~? レオン、何か
難しい顔してるにゃ?」

背後からのんびりした声
が聞こえた。

振り返ると、ミュリが
もふもふの尻尾を揺らし
ながら近づいてくる。

「考え事してただけだ」

「にゃふ~? つまり
レオンは、この世界で
一生スパイス屋さん
にゃ?」

「……いや、もうちょっと
スケール大きい話なん
だけどな……」

レオンは頭を抱えた。



ミュリの天然発言、炸裂

「スケールが大きいって……
にゃ? スパイス店をもっと
大きくするにゃ?」

「まぁ、それもあるけどな」

「にゃふふ~♪ じゃあ、
ミュリのお店も大きくする
にゃ! もふもふスパイス
帝国を作るにゃ!」

「帝国って……
どこまで行くつもりだ、
お前……」

「にゃ~? せっかくだから、
世界中のもふもふさんたち
にスパイスを届けるにゃ!」

「……俺が考えてるのと、
方向性は似てるのに、
何か違うんだよな……」

レオンはため息をついたが、
ミュリの言葉は意外と
的を射ている。

商業都市が完成すれば、
スパイス事業もさらに
拡大できる。
その結果、異世界全体
の食文化を変えることも
可能になるかもしれない。

「にゃふふ~♪ じゃあ、
レオンはミュリの
スパイス帝国の王様
にゃ!」

「違うわ!」

「にゃ~、でもレオンが
一番スパイスのこと
考えてるにゃ?」

「……まぁ、
それは否定しない」

実際、ここまでスパイス
に人生をかけた人間は、
この世界にはそういない
だろう。



本格始動

「よし、じゃあまずは
新都市の建設地を決める
ところからだな」

レオンは気を取り直し、
次の行動に移ることを
決めた。

王宮や商業ギルドとの
協議を進め、候補地を
選定する必要がある。
また、建設資金の確保、
インフラの整備計画、
住民募集……やるべき
ことは山積みだ。

「にゃ~……レオン、
大変にゃね?」

「まぁな。でも、
やる価値はある」

「じゃあ、
ミュリも手伝うにゃ!」

「お前が手伝うと、
なんか変な方向に
行きそうなんだよな……」

「にゃふふ~♪ じゃあ、
とりあえずスパイス店
の新メニューを考える
にゃ!」

「……お前はやっぱり、
まずそこなんだな」

レオンは苦笑しながらも、
ミュリの無邪気な姿に
少しだけ肩の力を抜いた。

この異世界で、やるべき
ことはまだまだたくさん
ある。

(前世では何者にもなれな
かった俺が、今はこの世界
で未来を作ろうとしている)

(なら、もう迷う必要はない)

「よし、やるぞ!」

レオンは決意を新たにし、
新たな目標へと向かって
動き出すのだった。
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