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本編
6.旅の四日目【再び別荘へ】
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チョコレート色の両開きドアの前に立つ、カジュアルな服装の藤佳が映る。
「中学三年の夏休み、私達は真理乃のおじい様の別荘を訪れた」
藤佳はそう言いながらドアを開き、別荘の中へ入る。
「一日目は何事もなく、私達は穏やかで楽しい時間を過ごしていた」
玄関の正面にある、幅の広い階段の手すりに藤佳はそっと触れる。そして、ゆっくりと階段を上っていく。
「けれど、二日目のお昼過ぎ……真理乃の幼馴染と許嫁が別荘へやってきた。どうやら真理乃のおばあ様がいろいろと調べていたみたいで……私達が交際している事もバレていた。おまけに真理乃のおばあ様が勝手に、おじい様の別荘のスペアキーを作っていて、それを借りてきたと幼馴染と許婚は言っていたわ」
そこで丁度、藤佳は階段を上り切り、立ち止まる。
「私はお手洗いから真理乃が待つ部屋へ戻る途中で、スペアキーを使って勝手に別荘内に入ってきた二人とここで遭遇した。二人は私の存在に気がつくと、勢いよく階段を上ってきた」
そこで一度、藤佳は息を吐き――その次の瞬間、険しい表情になる。
「『お前が真理乃をおかしくしたんだ……!』」
乱暴な口調で藤佳は叫ぶ。いつもより少し声が低い。
「『わたしのまりくんを返してよ……!』」
今度はヒステリックな声で藤佳は叫んだ。
その後、藤佳は真顔になってから再び口を開く。
「そんな風に二人は私を怒鳴りつけた。その後も、好き勝手にいろいろと言ってくるものだから……私もつい感情的になって言い返してしまった」
藤佳は眉間にシワを寄せ、怒っているような顔をする。
「『貴方達こそ、真理乃の事を何も解っていない。自分達の理想を押しつけて、真理乃に無理やり演じさせているだけで、少しも本当の彼女を見ようとしていない』と」
藤佳は怒りの籠った声で、言葉を紡いでいく。
「その後、怒り狂う二人に私は階段から突き落とされて……。騒ぎに気づいて駆けつけた真理乃も、私を助けようとして一緒に落ちてしまった」
藤佳は階段の一番上から、絶望的な表情で、見下ろしている。まるで、階段から転がり落ちる、当時の自分達の姿を見ているように。
「……階段を転がり落ちながらも、真理乃は私を強く抱きしめて必死に守ってくれた。そのおかげで私には大した怪我はなかったけれど……真理乃は頭を強く打って意識を失った」
藤佳は顔を覆い、その場にしゃがみ込む。
画面が切り替わり、患者衣を着て寝室のベッドに座る藤佳が映る。恐らく寝室を病室に見立てているのだろう。
ベッドの右側の傍らには椅子が一つ置いてあり、藤佳はその方を向いている。
「救急車で病院に運ばれた真理乃は命に別状はなかったけれど、記憶の一部を失った。家族と、幼馴染や許婚の事は覚えているけど、私との思い出は全て忘れてしまっているようだと。真理乃とは別の病院に運ばれた私に、彼女のおじい様がわざわざ伝えにきてくれた」
そこに真理乃の祖父がいるような感じで、藤佳は淡々と話した後、暗い顔で俯く。
「真理乃のおじい様は心底、申し訳なさそうに私に謝ってくれたわ。何度も何度も……。真理乃のおじい様は何も悪くないのに……」
次に藤佳は左側を見上げる。
「真理乃のおばあ様とご両親には、彼女と別れるよう迫られた。その上、通っていた中学の姉妹校への編入も勧められたわ」
藤佳は悔しそうな顔で、掛布団を握りしめて正面を向く。
「家族を盾に取られた私には拒否権なんてない。真理乃と付き合う前から、私達の仲を応援してくれている姉の推薦の話を出されてしまったら……言いなりになるしかなかった。突き落とされた件も、足を滑らせて落ちただけだと口裏を合わせるしかなかったわ……」
藤佳は深いため息をついた後、また左側を見上げる。
「だけど私はただ黙って、引き下がりたくはなかった。だから別れを迫られた際に、真理乃のおばあ様とご両親にこうお願いしたわ」
藤佳は少し唇を噛みしめた後、とびきりの笑顔を浮かべる。
「『もしまたどこかで真理乃と再会し、彼女の方から声を掛けてくれたら友人として仲良くさせてください。そして真理乃の記憶が戻るか、彼女がまた私の事を好きになってくれたら、二人の関係を認めてください』と……」
そう言ってから藤佳は一瞬だけ目線を下げ、今度は仄暗い瞳で正面を見る。
「恐らく真理乃のおばあ様もご両親も、そんな事はあり得ないと思ったのでしょうね。簡単に了承してくれたわ。だから私はその言葉を録音して、書面でも約束させた。何がなんでも、約束を守ってもらうためにね」
藤佳はベッドから降りながら、「これが真理乃と離れ離れになった理由……」と呟く。
「ここからは少し余談になってしまうのだけど……その後、私達家族の身にいろいろな事が起こったわ」
藤佳はベッドの傍らに置いていた椅子に座り、斜め前を向く。
「両親が経営していた老舗旅館の、根も葉もない悪評を流され、悪質な嫌がらせも受けて……。旅館は潰れてしまった。何とか旅館を立て直そうとしていた両親は身体を壊して入院した。それで姉は大学を辞めて、とある会社で働き始めたわ。姉はその会社で……陰湿な嫌がらせを受け、退職に追い込まれた」
明らかに怒りを滲ませた表情と声で藤佳はそんな事を言った後、暗い顔で俯いた。
「そういえば……姉が勤めていた会社の社長が、某大手メーカーの会長と仲が良いと、聞いた事があるわ」
藤佳は呟くように言葉を発してから、意味深な笑顔で正面を向く。
「ちなみに姉は今、Webライターとナナチューバーとして稼げているし、両親は元気になってひっそり民宿を経営しているわ」
藤佳は話し終えた後、ニコリと優しく微笑んだ。
画面が切り替わり、階段の中段あたりに座って本を読む藤佳が映る。服装は白いセーターと薄紫色のロングスカート、黒いショートブーツに変わっている。傍らにはカバンが置いてある。
「アタシはいろんな人の反対を押し切って家を飛び出し、葉薊芸術大学に入学した。昔から興味があった、映像関係の事を学びたくて。それから顔は思い出せないけど……その誰かを綺麗に撮る技術を身につける為に……。身内で応援してくれたのは祖父だけだった」
真理乃の少し暗い、寂しげな声が聞こえる。
「私は両親と姉に背中を押されて、葉薊芸術大学に入学した。絵を描くのが好きだから美術学科を選択したわ」
藤佳は本に視線を向けたまま、申し訳なさそうに言った。
「しばらくして、アートホールに『藤と白いジャスミン』の水彩画が飾られるようになった。アタシはなぜか、その絵に心惹かれて……よく見に行っていた」
真理乃は穏やかな声を出す。
「私は時々、そんな真理乃の背中を見ていた。真理乃も同じ大学に入学していた事に対する喜びを胸に秘めながら……」
藤佳は本から顔を上げ、切なげな目で遠くを見つめる。だが、すぐにまた、本に視線を落とす。
「三年生の春休み前に、アタシは大学内を撮影していた。そして、アートホールで本を読む女の子に目が留まり、彼女を無断で撮影してしまう」
真理乃がそう言った後、藤佳が正面を向く。藤佳は微かに目を見開いたかと思えば、すぐにふわりと笑う。
「彼女と目が合い、アタシは無断で撮影した事を謝罪した。それから彼女と少しやり取りをした後、わたしの頭の中に失っていた記憶が流れ込んできた。それと並行するように、自分が撮りたかったのは藤佳ちゃんだと思い出し……次にずっと悩んでいた卒業制作の案も思い浮かんだ」
真理乃が言葉を発している間、藤佳は本に栞を挟んで閉じ、それをカバンの中に仕舞う。それからゆっくりと階段を下り、立ち止まると少し屈んで――真理乃が話し終えた後、幼い無邪気な子どものように笑顔を浮かべた。
「中学三年の夏休み、私達は真理乃のおじい様の別荘を訪れた」
藤佳はそう言いながらドアを開き、別荘の中へ入る。
「一日目は何事もなく、私達は穏やかで楽しい時間を過ごしていた」
玄関の正面にある、幅の広い階段の手すりに藤佳はそっと触れる。そして、ゆっくりと階段を上っていく。
「けれど、二日目のお昼過ぎ……真理乃の幼馴染と許嫁が別荘へやってきた。どうやら真理乃のおばあ様がいろいろと調べていたみたいで……私達が交際している事もバレていた。おまけに真理乃のおばあ様が勝手に、おじい様の別荘のスペアキーを作っていて、それを借りてきたと幼馴染と許婚は言っていたわ」
そこで丁度、藤佳は階段を上り切り、立ち止まる。
「私はお手洗いから真理乃が待つ部屋へ戻る途中で、スペアキーを使って勝手に別荘内に入ってきた二人とここで遭遇した。二人は私の存在に気がつくと、勢いよく階段を上ってきた」
そこで一度、藤佳は息を吐き――その次の瞬間、険しい表情になる。
「『お前が真理乃をおかしくしたんだ……!』」
乱暴な口調で藤佳は叫ぶ。いつもより少し声が低い。
「『わたしのまりくんを返してよ……!』」
今度はヒステリックな声で藤佳は叫んだ。
その後、藤佳は真顔になってから再び口を開く。
「そんな風に二人は私を怒鳴りつけた。その後も、好き勝手にいろいろと言ってくるものだから……私もつい感情的になって言い返してしまった」
藤佳は眉間にシワを寄せ、怒っているような顔をする。
「『貴方達こそ、真理乃の事を何も解っていない。自分達の理想を押しつけて、真理乃に無理やり演じさせているだけで、少しも本当の彼女を見ようとしていない』と」
藤佳は怒りの籠った声で、言葉を紡いでいく。
「その後、怒り狂う二人に私は階段から突き落とされて……。騒ぎに気づいて駆けつけた真理乃も、私を助けようとして一緒に落ちてしまった」
藤佳は階段の一番上から、絶望的な表情で、見下ろしている。まるで、階段から転がり落ちる、当時の自分達の姿を見ているように。
「……階段を転がり落ちながらも、真理乃は私を強く抱きしめて必死に守ってくれた。そのおかげで私には大した怪我はなかったけれど……真理乃は頭を強く打って意識を失った」
藤佳は顔を覆い、その場にしゃがみ込む。
画面が切り替わり、患者衣を着て寝室のベッドに座る藤佳が映る。恐らく寝室を病室に見立てているのだろう。
ベッドの右側の傍らには椅子が一つ置いてあり、藤佳はその方を向いている。
「救急車で病院に運ばれた真理乃は命に別状はなかったけれど、記憶の一部を失った。家族と、幼馴染や許婚の事は覚えているけど、私との思い出は全て忘れてしまっているようだと。真理乃とは別の病院に運ばれた私に、彼女のおじい様がわざわざ伝えにきてくれた」
そこに真理乃の祖父がいるような感じで、藤佳は淡々と話した後、暗い顔で俯く。
「真理乃のおじい様は心底、申し訳なさそうに私に謝ってくれたわ。何度も何度も……。真理乃のおじい様は何も悪くないのに……」
次に藤佳は左側を見上げる。
「真理乃のおばあ様とご両親には、彼女と別れるよう迫られた。その上、通っていた中学の姉妹校への編入も勧められたわ」
藤佳は悔しそうな顔で、掛布団を握りしめて正面を向く。
「家族を盾に取られた私には拒否権なんてない。真理乃と付き合う前から、私達の仲を応援してくれている姉の推薦の話を出されてしまったら……言いなりになるしかなかった。突き落とされた件も、足を滑らせて落ちただけだと口裏を合わせるしかなかったわ……」
藤佳は深いため息をついた後、また左側を見上げる。
「だけど私はただ黙って、引き下がりたくはなかった。だから別れを迫られた際に、真理乃のおばあ様とご両親にこうお願いしたわ」
藤佳は少し唇を噛みしめた後、とびきりの笑顔を浮かべる。
「『もしまたどこかで真理乃と再会し、彼女の方から声を掛けてくれたら友人として仲良くさせてください。そして真理乃の記憶が戻るか、彼女がまた私の事を好きになってくれたら、二人の関係を認めてください』と……」
そう言ってから藤佳は一瞬だけ目線を下げ、今度は仄暗い瞳で正面を見る。
「恐らく真理乃のおばあ様もご両親も、そんな事はあり得ないと思ったのでしょうね。簡単に了承してくれたわ。だから私はその言葉を録音して、書面でも約束させた。何がなんでも、約束を守ってもらうためにね」
藤佳はベッドから降りながら、「これが真理乃と離れ離れになった理由……」と呟く。
「ここからは少し余談になってしまうのだけど……その後、私達家族の身にいろいろな事が起こったわ」
藤佳はベッドの傍らに置いていた椅子に座り、斜め前を向く。
「両親が経営していた老舗旅館の、根も葉もない悪評を流され、悪質な嫌がらせも受けて……。旅館は潰れてしまった。何とか旅館を立て直そうとしていた両親は身体を壊して入院した。それで姉は大学を辞めて、とある会社で働き始めたわ。姉はその会社で……陰湿な嫌がらせを受け、退職に追い込まれた」
明らかに怒りを滲ませた表情と声で藤佳はそんな事を言った後、暗い顔で俯いた。
「そういえば……姉が勤めていた会社の社長が、某大手メーカーの会長と仲が良いと、聞いた事があるわ」
藤佳は呟くように言葉を発してから、意味深な笑顔で正面を向く。
「ちなみに姉は今、Webライターとナナチューバーとして稼げているし、両親は元気になってひっそり民宿を経営しているわ」
藤佳は話し終えた後、ニコリと優しく微笑んだ。
画面が切り替わり、階段の中段あたりに座って本を読む藤佳が映る。服装は白いセーターと薄紫色のロングスカート、黒いショートブーツに変わっている。傍らにはカバンが置いてある。
「アタシはいろんな人の反対を押し切って家を飛び出し、葉薊芸術大学に入学した。昔から興味があった、映像関係の事を学びたくて。それから顔は思い出せないけど……その誰かを綺麗に撮る技術を身につける為に……。身内で応援してくれたのは祖父だけだった」
真理乃の少し暗い、寂しげな声が聞こえる。
「私は両親と姉に背中を押されて、葉薊芸術大学に入学した。絵を描くのが好きだから美術学科を選択したわ」
藤佳は本に視線を向けたまま、申し訳なさそうに言った。
「しばらくして、アートホールに『藤と白いジャスミン』の水彩画が飾られるようになった。アタシはなぜか、その絵に心惹かれて……よく見に行っていた」
真理乃は穏やかな声を出す。
「私は時々、そんな真理乃の背中を見ていた。真理乃も同じ大学に入学していた事に対する喜びを胸に秘めながら……」
藤佳は本から顔を上げ、切なげな目で遠くを見つめる。だが、すぐにまた、本に視線を落とす。
「三年生の春休み前に、アタシは大学内を撮影していた。そして、アートホールで本を読む女の子に目が留まり、彼女を無断で撮影してしまう」
真理乃がそう言った後、藤佳が正面を向く。藤佳は微かに目を見開いたかと思えば、すぐにふわりと笑う。
「彼女と目が合い、アタシは無断で撮影した事を謝罪した。それから彼女と少しやり取りをした後、わたしの頭の中に失っていた記憶が流れ込んできた。それと並行するように、自分が撮りたかったのは藤佳ちゃんだと思い出し……次にずっと悩んでいた卒業制作の案も思い浮かんだ」
真理乃が言葉を発している間、藤佳は本に栞を挟んで閉じ、それをカバンの中に仕舞う。それからゆっくりと階段を下り、立ち止まると少し屈んで――真理乃が話し終えた後、幼い無邪気な子どものように笑顔を浮かべた。
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