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いたからである。それでも尚諦めることなく否定し続けたのだがとうとう観念する羽目になってしまった私は渋々認めることにしたのである。すると今度はリリィールの方が驚く番となったらしく目を丸くしていた。「えっ?本当に?」信じられないといった様子で聞き返す彼女に無言で頷くことで答えるとしばらく考え込んだ後で何かを思いついたように顔を上げるとこう言ってきたのである。「それなら今度私と模擬戦しない?」突然の提案に戸惑った私は困惑しながらも断りを入れたのだがどうしても引き下がろうとしなかったため結局押し切られる形で承諾することになってしまったのだ。
(どうしよう……断れなかったよ……)後悔先に立たずという言葉があるがまさにその通りであったと思う。あの時、断っておけばこんなことにはならなかっただろうと思うと自分の愚かさを呪わずにはいられなかったが今更後悔したところでどうしようもないことは分かっているので諦めるしかなかった。それに何よりも私自身もこの機会を逃すわけにはいかないと思っていたこともあり決意を固めると模擬戦の日を迎えるまでの間、ひたすら特訓に励むことに決めたのである。
そして迎えた当日、朝早く起きた私は身支度を整えると早速リリィールの元へ向かった。そこでは既に準備を整え終えていたらしい彼女が待ち構えていたので挨拶をすると早速始めようとしたのだがその前にルールを決める必要があったため話し合うことになった。
まず、使用する武器についてだがお互いに木製の武器を使用することが決定した。次に勝敗の決定方法であるが、相手を降参させた方が勝ちというものである。つまり先に相手に参ったと言わせるか戦闘不能に追い込めばいいということになるわけだ。ちなみに魔法の使用は禁止となっているため純粋な力比べとなるわけである。最後に制限時間を設けるかどうかという話になったのだがそれについては設けないことに決まった。理由としては単純に時間の無駄だからである。それならば最初から長引かせる必要は無いと判断した結果こうなったというわけだ。
というわけで話し合いを終えた私達は早速始めることにしたのだが最初に動いたのは私だった。先手必勝とばかりに駆け出し間合いを詰めると渾身の力を込めて拳を突き出したのだがあっさりと躱されてしまったばかりかカウンター気味に放たれた蹴りをまともに喰らってしまい吹き飛ばされてしまうこととなった。地面を転がった私は痛みに顔を顰めながらも立ち上がろうとしたがそこへ追い討ちをかけるようにして魔法を撃ち込まれたことで避ける間もなく直撃してしまい意識を失ってしまったらしい。
気が付くとそこはベッドの上だった。どうやら気を失っている間に運ばれたらしく辺りを見回すとそこには心配そうな表情をしたリリィールの姿があったのでホッとしたのも束の間、すぐに我に返ると慌てて起き上がった私は謝罪の言葉を口にしたのだった。
「ごめんなさい!私ったらつい調子に乗ってしまって……」
しょんぼりとしている私を慰めるように頭を撫でてくれるリリィールだったがその手つきはとても優しかった為、安心して身を任せることが出来たようである。そうしてしばらくの間されるがままになっていた私であったが不意にあることを思い付いたので思い切って提案してみることにした。
「あのっ!もしよろしければお詫びも兼ねて何かさせていただけませんか!?」
それを聞いたリリィールはキョトンとしていたがすぐに笑顔を浮かべると快諾してくれたことでますます嬉しくなった私は早速行動に移すことにした。とは言っても何をすればいいのか分からな
(どうしよう……断れなかったよ……)後悔先に立たずという言葉があるがまさにその通りであったと思う。あの時、断っておけばこんなことにはならなかっただろうと思うと自分の愚かさを呪わずにはいられなかったが今更後悔したところでどうしようもないことは分かっているので諦めるしかなかった。それに何よりも私自身もこの機会を逃すわけにはいかないと思っていたこともあり決意を固めると模擬戦の日を迎えるまでの間、ひたすら特訓に励むことに決めたのである。
そして迎えた当日、朝早く起きた私は身支度を整えると早速リリィールの元へ向かった。そこでは既に準備を整え終えていたらしい彼女が待ち構えていたので挨拶をすると早速始めようとしたのだがその前にルールを決める必要があったため話し合うことになった。
まず、使用する武器についてだがお互いに木製の武器を使用することが決定した。次に勝敗の決定方法であるが、相手を降参させた方が勝ちというものである。つまり先に相手に参ったと言わせるか戦闘不能に追い込めばいいということになるわけだ。ちなみに魔法の使用は禁止となっているため純粋な力比べとなるわけである。最後に制限時間を設けるかどうかという話になったのだがそれについては設けないことに決まった。理由としては単純に時間の無駄だからである。それならば最初から長引かせる必要は無いと判断した結果こうなったというわけだ。
というわけで話し合いを終えた私達は早速始めることにしたのだが最初に動いたのは私だった。先手必勝とばかりに駆け出し間合いを詰めると渾身の力を込めて拳を突き出したのだがあっさりと躱されてしまったばかりかカウンター気味に放たれた蹴りをまともに喰らってしまい吹き飛ばされてしまうこととなった。地面を転がった私は痛みに顔を顰めながらも立ち上がろうとしたがそこへ追い討ちをかけるようにして魔法を撃ち込まれたことで避ける間もなく直撃してしまい意識を失ってしまったらしい。
気が付くとそこはベッドの上だった。どうやら気を失っている間に運ばれたらしく辺りを見回すとそこには心配そうな表情をしたリリィールの姿があったのでホッとしたのも束の間、すぐに我に返ると慌てて起き上がった私は謝罪の言葉を口にしたのだった。
「ごめんなさい!私ったらつい調子に乗ってしまって……」
しょんぼりとしている私を慰めるように頭を撫でてくれるリリィールだったがその手つきはとても優しかった為、安心して身を任せることが出来たようである。そうしてしばらくの間されるがままになっていた私であったが不意にあることを思い付いたので思い切って提案してみることにした。
「あのっ!もしよろしければお詫びも兼ねて何かさせていただけませんか!?」
それを聞いたリリィールはキョトンとしていたがすぐに笑顔を浮かべると快諾してくれたことでますます嬉しくなった私は早速行動に移すことにした。とは言っても何をすればいいのか分からな
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