扉を開けたらそこは異世界

さやかとゆうきの母

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アルファードの婚活事情

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 俺の名はアルファード・デル・ファン・アイドリア。アイドリアの王子だ。
 いずれは父の跡を継いで王になる。

 今、俺は非常に悩んでいる。

 その理由はもうすぐ大学院を卒業しなくてはならないからだ。

「だから、イチローには魔力があるはずなのよ」
「でも、小石一つ浮かすことができないんだよ」

 この声はアイリアとイチローだな。
人が悩んでいるのに、二人とものんきな会話を続けている。

「あら、兄上、こんなところで何をしているの」

 アイリア、お前、兄をなんだと思っているんだ。俺が城の庭にいたらいけないのか。
「もう大学が終わったのか」
「兄上は大学院生だからね。暇なんでしょ」
 
 それにもうすぐ卒業だしね。
「アルファードは卒業したら就職するのか」
 といってから、イチローははっとしたように「悪い、王子が就職するわけないか」
「兄上は婚活が待っているんだよね」

「婚活」
 イチローはきょとんとした顔をしている。
 確か、イチローは俺と同じ年だったよな。

「この世界でも婚活があるのか。というか、アルファード、結婚するのか」

「卒業後は俺はアイドリアの王太子宣下を受ける。一応、婚約者を決めて体裁を整える必要がある。そのための婚活なんだが」
 はぁっ。
 溜息が出てくる。
  
「結婚は人生の墓場だと誰かが言っていたっけ」
 イチローがぽつりと呟いた。
 なんだか、実感のこもった言葉みたいだな。もしかして、イチローは経験者なのか。

「そんなわけがないだろ。僕は君と同じ年なんだぜ」
「冗談だよ。君の家庭のことは妹から聞いている」
 妹の話だとイチローは父親の後妻に疎まれて育ったらしい。

「すぐ結婚するわけじゃない。だけど、将来ともにする相手をみつけなくちゃいけない」
「じゃ、見合いか。一国の王子だもんな。他の国から申し込みが殺到するんじゃないか」
「それはうまくいかないのよね」
 
  アイリアがくすっと笑って「アイドリアは恋愛至上主義なの」
「どういうこと」

「つまり、お互いの気持ちが大切だということ。姉上だって、隣国の王子との縁談があったけど。それは二人は小さい頃から仲がよかったからだもの」
 王子が病気で亡くならなかったら姉上は隣国に嫁いでいたはずよ。
「そうか」

「二度目はあちらのごり押しだったけどね。でも、すぐ破談になったし」
「姉上のことじゃなくて俺のことなんだ」
「そんなに嫌なの、花嫁探しの旅に出るのが」
「えっ、」

  イチローが驚いて俺たちを見た。

 花嫁を探しに王子が旅に出る。
 なんていうか、おとぎ話みたいじゃないか。しかし、アイドリアでは王家の決まり事なんだそうだ。
 そして、アルファードはその旅に出なくてはいけない。

 ということらしい。

 だけど、アルファードは乗り気ではないらしい。
「花嫁さがしの旅は国内のみなんだけど」
 つまり、王子としてのお披露目も役割があるのか。

「そんなことはないわよ。だって、身分を隠して回るんだもの」
 いわゆる、お忍びって奴か。

 しかも、国中を回っていくのか。それってまるで……。
「イチローの世界でもそういうことをしている人がいるよね。テレビで見たわ」
 ああ、水戸黄門な。
「兄上もあんなことをするのね」

 いや、それは違う。
 あれはあくまでもテレビドラマの話だ。それにアルファードは世直しの旅ではなく、花嫁探しだろ。
「だけど、花嫁探しの旅をして本当に相手をみつけた人がいるのか」
「まぁ、おじい様の前の奥さんがそうだったみたいね」

 そういえば、僕の爺さんと彼女の父親は母親が違うんだっけ。
「そりゃもう、ラブラブで彼女が亡くなった後、妃を迎えるつもりはなかったと言っていたわ」
 その決心を覆させたのは僕の爺さんです。

「だから、自分の息子には是非、恋愛結婚をしてほしかったそうよ」

 だから、長男に花嫁探しの旅に出したわけなんだけど。
「国を回っている最中に事故で亡くなったのよね」
 その結果、おじい様は気落ちしてそのままぽっくり。

 お父様が大学を卒業してすぐ、王位につかなくてはいけなかったの。
 お母様はお父様の家庭教師もしたことがあるから一応、恋愛結婚よね。

「だけど、アルファードは乗り気じゃないのか」
「そうなんだよ、」
 何故か、大きく頷くアルファードだった。
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