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小さな恋の物語
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「姫さま、どこにいらっしゃいますか」
ばたばたと奥を取り仕切る侍女があちこちを走り回っていた。
しかし、彼女が行ってしまうと花壇の陰から小さな少女が顔をだした。
アイリア・デニー・ファン・アイドリアは御年、6歳。アイドリアの第二王女である。
周囲の大人たちの言いつけには従う大人しい子供だが、時々、自分から姿を隠したりすることがあった。
理由は彼女が魔力持ちだからだ。
赤ん坊の頃から精霊などと会話することができた。
元々、アイドリア王家では魔力の強い人間が生まれている。
ただし、魔王を倒したシンク王子の失踪後、王家に魔力を持つ者が生まれなかった。
しかし、現在の王が魔力を持つ娘を王妃に迎えた結果、再び、魔力を持つ王女が生まれたのだろう。
ちなみにアイドリアでは魔力を持つ者は国の発展に貢献すると歓迎されている。
大抵の場合、ある程度成長すると魔力が発現する。
だが、アイリアの場合、赤ん坊の頃から魔力を使うことができた。
ちなみに赤ん坊の頃から魔力を持つとなかなか、大変であった。理由はまだ善悪がつかないので、魔力がただ漏れになってしまうからだ。
特に自我がないうちに魔法を使って周囲に被害を出してしまう。
この場合、赤ん坊を魔導師の塔が引き取り、ある程度の年になるまで面倒を見ることになっていた。
しかし、アイリアは王女なので王宮の奥で育てられていた。
「姫様、どこにいらっしゃるのかしら」
侍女たちが慌ててあちこちを探し回っているのをアイリアは面白そうに眺めていた。
別に侍女たちを困らせるために隠れているわけではない。ただ、彼女は退屈なだけだった。
アイリアには姉と兄がいる。ただし、年が離れているので遊び相手になってもらえないのだ。
しかも、彼らは学校に通っている。
なので、アイリアと遊んでいる暇はないのだ。
「アイリア様ぁ、」
侍女たちが行ってしまったのを見送ってアイリアは侍女たちとは反対の方向を歩きだした。
彼女には目的があった。
今まで、奥庭には行くことを止められていた。
なので、一度一人で奥に行ってみたかったのだ。
侍女たちの話によると奥庭には異世界に続く扉があるという。かつて、魔王を退治した王子が扉をくぐって異世界に行ってしまったのだという。
(というか、お父様の兄なんだけどね)
しかも、彼が異世界に行かなかったら父は生まれていなかったという。
その話を侍女たちから聞いて複雑な心境になったアイリアだった。
それはともかく、異世界に通じている扉には興味がある。
アイリアはまだ、6歳だけど精神的には大分、大人びていた。
それに来年からは、彼女も学校に入学する。
魔力があるために人から隠されて育てられた少女はそれがとても楽しみだった。
「あれっ、」
庭の奥に確かに扉があった。
あったけど、その前に誰かいる。
アイリアは驚いた。扉の前に立っていたのは見知らぬ少年だった。
いくら、世間から隠されて育てられたアイリアでも男女の区別くらいはつく。それに時々、遊びにくる兄がいるので大人と子供の区別もできる。
「貴方は誰、」
アイリアが声をかけると少年は驚いたようだった。
「外人の子だよね。なんで、日本語が喋れるの」
「(・・?、」
アイリアはきょとんと首をかしげた。
ガイジン、ニホンゴ、この人は何を言っているんだろう。
大体、自分は普通にアイドリアの言葉を喋っているだけだ。
というか、ここは城の奥庭だ。侍女や召使でも立ち入ることは許されていない。
少年は兄、アルファードと同じくらいの年頃だった。それに彼女が見たことのない服装をしている。
「ここは一体、どこなんだ」
僕は家の扉を開けただけなのに。
ぶつぶつと呟いている少年にアイリアは彼が向こうの世界からやってきたのだと悟った。
「扉はそこにあるじゃない。また、開けたらいいのよ」
「えっ、」
少年は驚いたように少女を見た。
自分よりはるかに小さいのに少女のほうが落ち着いていたからだ。
「そうだね。扉を開けたらいいんだ」
そうそう。
アイリアが頷いたので少年は扉に手をかけた。
「行っちゃった」
扉は再び開いた。その途端、少年に笑顔になって扉の中へ入っていった。
その途端、扉が閉まりアイリアが扉に手をかけた時、
「アイリア、そこで何をやっているの」
「お母様、」
彼女を止めたのは彼女の母親だった。
「扉の中に入ろうとしたの」
「いや、その、」
アイリアは母親の前でもじもじしていた。
「中に入ってはいけません。王女の貴女が向こうの世界に行ってしまったら大騒ぎになってしまいますよ」
「だけど、」
「さっきの少年が気になりますか。大丈夫、いつかまた会うことができますよ」
……。
どうやら、母親にはアイリアの行動がお見通しのようだった。
扉から出てきた一郎はそのまま、祖父の書斎で倒れた。そのまま、高熱を出し数日、寝込んだ後、扉の中の世界のことをすっかり忘れていた。
当然、アイリアのやり取りもだ。
そのことを知った古田はぽつりと、
「知恵熱が出たんですね」
と呟いた。
ばたばたと奥を取り仕切る侍女があちこちを走り回っていた。
しかし、彼女が行ってしまうと花壇の陰から小さな少女が顔をだした。
アイリア・デニー・ファン・アイドリアは御年、6歳。アイドリアの第二王女である。
周囲の大人たちの言いつけには従う大人しい子供だが、時々、自分から姿を隠したりすることがあった。
理由は彼女が魔力持ちだからだ。
赤ん坊の頃から精霊などと会話することができた。
元々、アイドリア王家では魔力の強い人間が生まれている。
ただし、魔王を倒したシンク王子の失踪後、王家に魔力を持つ者が生まれなかった。
しかし、現在の王が魔力を持つ娘を王妃に迎えた結果、再び、魔力を持つ王女が生まれたのだろう。
ちなみにアイドリアでは魔力を持つ者は国の発展に貢献すると歓迎されている。
大抵の場合、ある程度成長すると魔力が発現する。
だが、アイリアの場合、赤ん坊の頃から魔力を使うことができた。
ちなみに赤ん坊の頃から魔力を持つとなかなか、大変であった。理由はまだ善悪がつかないので、魔力がただ漏れになってしまうからだ。
特に自我がないうちに魔法を使って周囲に被害を出してしまう。
この場合、赤ん坊を魔導師の塔が引き取り、ある程度の年になるまで面倒を見ることになっていた。
しかし、アイリアは王女なので王宮の奥で育てられていた。
「姫様、どこにいらっしゃるのかしら」
侍女たちが慌ててあちこちを探し回っているのをアイリアは面白そうに眺めていた。
別に侍女たちを困らせるために隠れているわけではない。ただ、彼女は退屈なだけだった。
アイリアには姉と兄がいる。ただし、年が離れているので遊び相手になってもらえないのだ。
しかも、彼らは学校に通っている。
なので、アイリアと遊んでいる暇はないのだ。
「アイリア様ぁ、」
侍女たちが行ってしまったのを見送ってアイリアは侍女たちとは反対の方向を歩きだした。
彼女には目的があった。
今まで、奥庭には行くことを止められていた。
なので、一度一人で奥に行ってみたかったのだ。
侍女たちの話によると奥庭には異世界に続く扉があるという。かつて、魔王を退治した王子が扉をくぐって異世界に行ってしまったのだという。
(というか、お父様の兄なんだけどね)
しかも、彼が異世界に行かなかったら父は生まれていなかったという。
その話を侍女たちから聞いて複雑な心境になったアイリアだった。
それはともかく、異世界に通じている扉には興味がある。
アイリアはまだ、6歳だけど精神的には大分、大人びていた。
それに来年からは、彼女も学校に入学する。
魔力があるために人から隠されて育てられた少女はそれがとても楽しみだった。
「あれっ、」
庭の奥に確かに扉があった。
あったけど、その前に誰かいる。
アイリアは驚いた。扉の前に立っていたのは見知らぬ少年だった。
いくら、世間から隠されて育てられたアイリアでも男女の区別くらいはつく。それに時々、遊びにくる兄がいるので大人と子供の区別もできる。
「貴方は誰、」
アイリアが声をかけると少年は驚いたようだった。
「外人の子だよね。なんで、日本語が喋れるの」
「(・・?、」
アイリアはきょとんと首をかしげた。
ガイジン、ニホンゴ、この人は何を言っているんだろう。
大体、自分は普通にアイドリアの言葉を喋っているだけだ。
というか、ここは城の奥庭だ。侍女や召使でも立ち入ることは許されていない。
少年は兄、アルファードと同じくらいの年頃だった。それに彼女が見たことのない服装をしている。
「ここは一体、どこなんだ」
僕は家の扉を開けただけなのに。
ぶつぶつと呟いている少年にアイリアは彼が向こうの世界からやってきたのだと悟った。
「扉はそこにあるじゃない。また、開けたらいいのよ」
「えっ、」
少年は驚いたように少女を見た。
自分よりはるかに小さいのに少女のほうが落ち着いていたからだ。
「そうだね。扉を開けたらいいんだ」
そうそう。
アイリアが頷いたので少年は扉に手をかけた。
「行っちゃった」
扉は再び開いた。その途端、少年に笑顔になって扉の中へ入っていった。
その途端、扉が閉まりアイリアが扉に手をかけた時、
「アイリア、そこで何をやっているの」
「お母様、」
彼女を止めたのは彼女の母親だった。
「扉の中に入ろうとしたの」
「いや、その、」
アイリアは母親の前でもじもじしていた。
「中に入ってはいけません。王女の貴女が向こうの世界に行ってしまったら大騒ぎになってしまいますよ」
「だけど、」
「さっきの少年が気になりますか。大丈夫、いつかまた会うことができますよ」
……。
どうやら、母親にはアイリアの行動がお見通しのようだった。
扉から出てきた一郎はそのまま、祖父の書斎で倒れた。そのまま、高熱を出し数日、寝込んだ後、扉の中の世界のことをすっかり忘れていた。
当然、アイリアのやり取りもだ。
そのことを知った古田はぽつりと、
「知恵熱が出たんですね」
と呟いた。
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