28 / 49
姉と弟の話
しおりを挟む
「この子が貴女の弟よ」
アリスが2歳になった時、アルファードが誕生した。跡継ぎ誕生にアイドリアは喜びに包まれていた。
アリスも弟の誕生に心から喜んだ。
(といっても、従弟なんだけどね)
アリスが国王の兄の遺児であることは王と王妃、王太后しか知らない。
別に公になってもかまわなかったが、いちいち説明するのが面倒だと王妃が言い切ったからだ。
なので、王妃は王と結婚する前に子供を産んだという陰口を叩かれることになったのだが。
「言いたい奴には言わせておけばいい」
と開きなおっているらしい。それに結婚する前から関係を持っていたのは事実だからだ。
ちなみにマイルと結婚する前まで、アディオスも女の子と交流があった。なので、二人が結婚するまで色々とあった。
それは別な話になる。
例えば、アディオスと結婚できたらもれなく、王妃の座が転がりこんでくると思い込んでいた貴族の女の子が軒並み寝込んだ。
アイドリア王族は平民とでも結婚できることを忘れていたらしい。
とかである。
「アリス様、そういうことは私たちがします」
いきなり、アリスがアルファードのおしめを変えたので乳母たちは目を丸くした。
(おい、自分がまだ2歳の幼児だということを自覚していないのか)
「えっ、」
火の精霊、サンはアリスを気に入っているので姿を消してよく彼女のそばにいる。
「何か悪いことをしているのかな」
アルファードが泣き出し、泣き声でおむつだと判断した、アリスがおしめを変えただけなのだが。
「おむつが濡れていると気持ちが悪いのよ。気がついたらすぐ変えたほうがいいでしょう」
(普通、2歳児が赤ん坊のおしめを変えることはしない)
そこでアリスは自分が2歳だったことに気づいた。
「確かに、」
亜梨子の時でも幼児の時には赤ちゃんが泣いた時は大人を呼んでいた。
「だけど、人を呼ぶより私がやった方が早いと思って、」
(少しは自分の年を考えろよな)
「あら、アリス、弟のおむつを替えてあげたの。凄いわねぇ」
「王妃様、」
乳母が困ったような顔をしている。
「そんなに目くじらをたてなくてもいいじゃない。アリスが手伝ってくれたら貴女も助かるでしょう」
と、王妃が乳母を慰めていたがそういう問題なんだろうか。
それはともかくとして、その後もアリスはいろいろとやらかした。
アルファードが離乳食を食べる時期になると、自分でお手製の離乳食を作ったりした。
勿論、材料はサンに調達してもらった。
「姫様、」
乳母はもう涙目だ。しかし、乳母の作った離乳食より、アリスの作った方を王子が喜んで食べているのだ。
「あらあら、」
マイルは困ったような顔になったが、「凄いわ、アリス。弟の面倒を見てくれるのね」
こんな調子でアリスの行為を褒めるので、とうとう乳母が王家に暇乞いを出すところまできてしまった。
(なんで。)
アリスはかなり驚いた。
アリスにとっては弟の面倒を見るのは当たり前だと思っていたのだ。
「そりゃ、あれだけお前にやられていたら辞めたくなるのも当然だ」
最近、姿を消していたサンが言った。
「弟の面倒を見るのは姉の務めでしょう」
「やりすぎなんだよ、お前さんの場合は」
「あの子はこの国の跡継ぎよ。何かがあったら大変だわ」
亜梨子のいた世界では戦争で国が滅茶苦茶になった。
そんなことにならないためにも弟は心優しい人に育ってほしい。
「そういう心配はお前さんじゃなくて、他の奴がやるだろ」
サンはあきれたようにアリスを見た。
月日は流れ、アルファードはアリスべったりの子に育ってしまった。流石に赤ちゃんの頃から面倒を見ていたから当然と言えたが。
ちなみにこの頃になるとアリスの方もやり過ぎたなと反省した。
「別にアリスが気にしなくてもいいわよ。子供の頃から邪な考えを持って近づく人は多いからね」
「えっ、」
いきなり、サンが消えたのでアリスは戸惑ったような声を上げた。
どうやら、マイルがやってきたのでサンは姿を隠したようだ。
(いつも思うんだけど、なんで姿を消すの。そりゃ、精霊が気さくに話しかけてくるのにも妙だけど)
「ということがあって、お姉様は身分を偽って小学校に入学したのよ」
「それでアイリア達も一般庶民として学校生活を送っていたのか」
アイリアの話だと、ゲートという魔法で王都から離れた街の学校に兄妹全員、入学したのだという。
「にしても、たった二歳で弟の離乳食を作るなんて凄いな」
「お姉さまには精霊がついていたからね」
隠していたみたいだけど、魔導師であるお母様にはバレバレだったわ。
「精霊って古田さん以外にも精霊がいるのか」
「当たり前じゃない」
「でも、何で隠しているんだ。精霊がついているだけでも大したことだろう」
「そりゃ、お兄様のためよ」
「?」
なるほど。
そういえば、アイドリアは魔道が盛んな国だったな。魔力持ちの人間が優遇されるから精霊持ちも同等な扱いなんだろう。
「私が魔力を持っていることで私に王位をという連中はいるから」
そういえば、アイリアは公式では姿を見せないことになっていたな。
「アルファードも大変なんだな」
跡継ぎであっても魔力を持っていない。
体裁を気遣う連中にはその点が気になって仕様がないのだろう。
アリスが2歳になった時、アルファードが誕生した。跡継ぎ誕生にアイドリアは喜びに包まれていた。
アリスも弟の誕生に心から喜んだ。
(といっても、従弟なんだけどね)
アリスが国王の兄の遺児であることは王と王妃、王太后しか知らない。
別に公になってもかまわなかったが、いちいち説明するのが面倒だと王妃が言い切ったからだ。
なので、王妃は王と結婚する前に子供を産んだという陰口を叩かれることになったのだが。
「言いたい奴には言わせておけばいい」
と開きなおっているらしい。それに結婚する前から関係を持っていたのは事実だからだ。
ちなみにマイルと結婚する前まで、アディオスも女の子と交流があった。なので、二人が結婚するまで色々とあった。
それは別な話になる。
例えば、アディオスと結婚できたらもれなく、王妃の座が転がりこんでくると思い込んでいた貴族の女の子が軒並み寝込んだ。
アイドリア王族は平民とでも結婚できることを忘れていたらしい。
とかである。
「アリス様、そういうことは私たちがします」
いきなり、アリスがアルファードのおしめを変えたので乳母たちは目を丸くした。
(おい、自分がまだ2歳の幼児だということを自覚していないのか)
「えっ、」
火の精霊、サンはアリスを気に入っているので姿を消してよく彼女のそばにいる。
「何か悪いことをしているのかな」
アルファードが泣き出し、泣き声でおむつだと判断した、アリスがおしめを変えただけなのだが。
「おむつが濡れていると気持ちが悪いのよ。気がついたらすぐ変えたほうがいいでしょう」
(普通、2歳児が赤ん坊のおしめを変えることはしない)
そこでアリスは自分が2歳だったことに気づいた。
「確かに、」
亜梨子の時でも幼児の時には赤ちゃんが泣いた時は大人を呼んでいた。
「だけど、人を呼ぶより私がやった方が早いと思って、」
(少しは自分の年を考えろよな)
「あら、アリス、弟のおむつを替えてあげたの。凄いわねぇ」
「王妃様、」
乳母が困ったような顔をしている。
「そんなに目くじらをたてなくてもいいじゃない。アリスが手伝ってくれたら貴女も助かるでしょう」
と、王妃が乳母を慰めていたがそういう問題なんだろうか。
それはともかくとして、その後もアリスはいろいろとやらかした。
アルファードが離乳食を食べる時期になると、自分でお手製の離乳食を作ったりした。
勿論、材料はサンに調達してもらった。
「姫様、」
乳母はもう涙目だ。しかし、乳母の作った離乳食より、アリスの作った方を王子が喜んで食べているのだ。
「あらあら、」
マイルは困ったような顔になったが、「凄いわ、アリス。弟の面倒を見てくれるのね」
こんな調子でアリスの行為を褒めるので、とうとう乳母が王家に暇乞いを出すところまできてしまった。
(なんで。)
アリスはかなり驚いた。
アリスにとっては弟の面倒を見るのは当たり前だと思っていたのだ。
「そりゃ、あれだけお前にやられていたら辞めたくなるのも当然だ」
最近、姿を消していたサンが言った。
「弟の面倒を見るのは姉の務めでしょう」
「やりすぎなんだよ、お前さんの場合は」
「あの子はこの国の跡継ぎよ。何かがあったら大変だわ」
亜梨子のいた世界では戦争で国が滅茶苦茶になった。
そんなことにならないためにも弟は心優しい人に育ってほしい。
「そういう心配はお前さんじゃなくて、他の奴がやるだろ」
サンはあきれたようにアリスを見た。
月日は流れ、アルファードはアリスべったりの子に育ってしまった。流石に赤ちゃんの頃から面倒を見ていたから当然と言えたが。
ちなみにこの頃になるとアリスの方もやり過ぎたなと反省した。
「別にアリスが気にしなくてもいいわよ。子供の頃から邪な考えを持って近づく人は多いからね」
「えっ、」
いきなり、サンが消えたのでアリスは戸惑ったような声を上げた。
どうやら、マイルがやってきたのでサンは姿を隠したようだ。
(いつも思うんだけど、なんで姿を消すの。そりゃ、精霊が気さくに話しかけてくるのにも妙だけど)
「ということがあって、お姉様は身分を偽って小学校に入学したのよ」
「それでアイリア達も一般庶民として学校生活を送っていたのか」
アイリアの話だと、ゲートという魔法で王都から離れた街の学校に兄妹全員、入学したのだという。
「にしても、たった二歳で弟の離乳食を作るなんて凄いな」
「お姉さまには精霊がついていたからね」
隠していたみたいだけど、魔導師であるお母様にはバレバレだったわ。
「精霊って古田さん以外にも精霊がいるのか」
「当たり前じゃない」
「でも、何で隠しているんだ。精霊がついているだけでも大したことだろう」
「そりゃ、お兄様のためよ」
「?」
なるほど。
そういえば、アイドリアは魔道が盛んな国だったな。魔力持ちの人間が優遇されるから精霊持ちも同等な扱いなんだろう。
「私が魔力を持っていることで私に王位をという連中はいるから」
そういえば、アイリアは公式では姿を見せないことになっていたな。
「アルファードも大変なんだな」
跡継ぎであっても魔力を持っていない。
体裁を気遣う連中にはその点が気になって仕様がないのだろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる