私はカナリア

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私はカナリア

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「僕の愛しいカナリア」

愛を囁く男にミリアは、心中で嘲笑を浮かべる。
上手くいくなんて。男の愚かさと、あの女の悲しげな顔を思い出して微笑む。

「私もよ」

ミリアとレオが交わした口づけは蜜の味がした。

「あの人から離れて」

苦しむような表情で、ケイトがミリアに訴えかける。

「なぜ?」
「お願い。あの人から離れて」
「嫌、貴女が苦しむなら別れないわ」

ミリアは、ケイトの事が嫌いだ。
彼女はいつも自分よりも上を行く。勉強も人望も、何もかも全て。嫌な女でしかない。

「やめて」
「私たちの邪魔をするのかしら?」
「やめて」

ケイトはオウムのように繰り返し「やめて」としか言わない。

「飽きたら別れてあげる」

ミリアは、意地の悪く笑い彼女の前から去った。

その日の夜。ミリアはレオの元を訪ねた。涙を浮かべて。
「僕のカナリアどうしたんだい?」

レオはミリアに心配そうに声をかけた。

「ケイトさんが……」

ミリアは、それ以上は言わずに、しゃくり上げるように泣き始めた。

「虐められたの?さあ、おいで、僕のところへ」

レオに誘われるまま、カナリアはその部屋の中に入る。

「さあ、飲みなよ。蜂蜜入りの紅茶さ」

ミリアはその紅茶を飲み干した。自分に待ち受ける運命など知りもしないで。
そして、力尽きるように眠りに落ちた。

「……!」

眠りにつき、どのくらい時間が経過したのだろう。ミリアはぼんやりと目を覚ました。
どこだろう。ここは?しかし、それが思い当たりはしなかった。
目元を擦ろうと右手をやろうとしてあることに気がつく。手が全く動かない。
なぜ?と、不安になりながら目線をやると、肩から先が無くなっていた。
右腕だけではなく。左腕も左右の脚も同じように無くなっていた。

「っ……!」

胸の奥から競り上がってくるのは恐怖心だ。しかし、なぜか痛みがない。

「ああ、気がついた?僕のカナリア」

レオが微笑みミリアの顔を覗きこむ。
「痛みがないのは、薬のおかげさ。本当はもう少し遊びたかったんだけど、ケイトが余計な事を言うからね」

その意味を問いかけようにもミリアは、唇を震わせることしか出来ない。

「僕はね。好きな物の断末魔の悲鳴を聞くのが大好きなんだ。君はきっと素敵な鳴き声を聴かせてくれるね?」

「薬が切れるよ」

レオに言われて、少しずつ身体の感覚が戻って来たのがわかった。


「……!」

ミリアの断末魔の悲鳴に、レオは歓喜の笑い声を上げた。

「ああ、やっぱり。僕の愛しいカナリアの鳴き声は素晴らしい」
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