私が死ねば幸せですか?

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アリス1

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アリス1

「貴女は、貴族のお姫様なのよ」

 母は、いつも私にそう嬉しそうに話していた。
 それなのに、私は綺麗なドレスも宝石も持っていない。家は普通の家と比べたら綺麗ではあるけれど。お城ではない。
 その事を母に言うと。
 唇を噛み締めて、母は必ずこう言うのだ。

「邪魔者が死ねば、私たちは貴族になれるのよ」

 私はそれを信じて、その日が来るのを指折り数えていた。

「貴族様の子供とか、現実を見た方がいいよ」

 私をそう言って罵倒する人はいたけれど、私を助けてくれる人はたくさんいた。

「あの子が、愛人の子供は穢らわしいって言われて……」

 私が瞳を潤ませてそう言うと、男たちはそれを信じて暴言を吐いた子を排除してくれた。

 私が母の言う事を信じた理由は、私は母によく似ていて、母はとても綺麗な顔をしていたからだ。

 美人の母が貴族の目に留まるのは当然のことだ。

 人は外見しか見ないのだから。

 貴族様のお父様が迎えにきたのは、私が13歳になった時の事だ。

 私に親切にしてくれた人たちは、とても喜んでくれた。

「これからも仲良くしてくれる?」

 おこぼれを貰おうとする卑屈な笑顔に、私は最後だからとにっこりと笑った。
 
「え?付き合う人が変わるから無理に決まってるじゃない。貴方は貴族じゃないんだから、私と仲良くできるわけがないわ。立場を考えたら?」

 私がそう言うとなぜかショックを受けている様子だった。

「それでも、親切にしてくれてありがとう。感謝してるわ」

 何も言わないもの申し訳ないから、感謝の言葉を告げる。
 何か物をあげたらつけ上がるから、言葉だけで十分だ。それでも勿体無いくらいだけれど。

「今まで不便な生活をさせていたから、アリスはこれからは好きにしていい。私がそれを許す」

 お父様は、そう言ってくれたので、私はまず最初に身の回りのものを揃えることにした。

 服を揃えると、今度は自分に相応しい「お友達」や「恋人」が欲しくなった。

 だから、「お友達」を作るためにお茶会に行くことにした。

 お茶会で、私はすんなりと受け入れられた。
 当然だ。アイネス公爵の娘なのだから。
 以前は母は愛人だったけれど、今は正妻なのだ。
 私を馬鹿にできる人なんて存在しない。

 それなのに、私はある二人に目がいった。

 その二人は、ショーウィンドウに飾られる王子様とお姫様のヴィスクドールの人形のように綺麗だった。

 特に、男の子の方に私は釘付けになった。

「あ、あの子たちは誰なの?」
「ああ、コリー公爵家の令嬢アンジェラ様と令息のスレード様です」

 私が「お友達」に、二人の事を聞くと言いにくそうに教えてくれた。

「まあ、そうなの?話がしたいわ」
「えっ、二人を呼び出す事はできません」

 二人を呼び出すように言うと、困った顔で断られた。

「なぜ?」
「その、無礼な事はできませんから」

 無礼とはどういう意味なのか、私の呼び出しを断れるほどの立場の人間は王族以外にいないはずだ。

「……ねぇ、スレードに会うにはどうしたらいいの?」
「あまり社交をする方たちではありませんからね」

 私の質問に「お友達」は、スレードにあった事を教えてくれた。
 しかし、私にはアンジェラがスレードが注目されるのが耐えきれなくて嫌がらせをしているようにしか思えなかった。

「じゃあ、アンジェラがスレードが社交をできないように邪魔しているようにしか思えないわ」
「……アリス様、その、呼び捨てはあまりにも失礼ですよ。やめてください」

 私が腹を立てていると「お友達」が偉そうに注意をしてきた。

「何様のつもりなの?」
 
 偉そうに口出しをしてきた「お友達」に、私は腹が立った。

 それと、アンジェラにも腹が立っていた。

 私が苦労して手に入れた場所に、さも当然のような顔をして居座っているのがズルい。
 それに、スレードの社交の邪魔をするなんて。

 スレードがあまりにも可哀想だ。
 




~~

お読みくださりありがとうございます

ホット2位に入っていてびっくりしています

ありがとうございます!

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今、結末変えるために、帳尻合わせしながら書いているんですが、矛盾点あったらすみません
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