聖女様の生き残り術

毛蟹

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聖女の功績はもらいます

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 私はそれから、王都の神殿で過ごす事になった。
 血のつながった人たちと神殿側でかなり揉めたらしい。
 私の身柄を引き取りたい親と、それを阻止したい神殿。

 揉めたせいで私が聖女である事の発表が遅れてしまった。
 お披露目については、とりあえず保留しにしておいた。
 
 聖女の家族というだけで、彼らは一目置かれる。そして、聖女への「支度金」が、膨大なものでそれがほしくて仕方ないようだ。
 それなら、私を手元に置いておきたくなるだろう。
 しかし、彼らがわざと流した私の悪評はどうなるのか。それを、なかった事にはされない。
 本の中のアイオラは、もしかしたら、聖女になったばかりの頃はそこまで悪意のあった人間ではなかったのかもしれない。

 状況が悪くなるのを分かっていて、そこに身を置きたいとは私は思わない。

 神殿側も、最初は家族と引き離してもいいものなのか。という、考えがあったようだが。
 マリネッタが粛々と調査した。軽いネグレクトと、シエナの「こいつは聖女じゃない」という発言を知り。関わらせない方がいい。と、早々に判断した。

 おかげさまで、私は快適な生活を手に入れた。

 聖女の支度金も手に入った事だし、私はとりあえずカオリがやったことを同じように真似ていく事にした。

 まず最初に、カオリのブレーンでもあるマリネッタに相談する事にした。

 実は彼女は一介の神官のふりをして、かなり地位が高かったりする。
 とっつきにくいと思われるのが嫌でなるべく隠しているようだが。

 カオリが始めた無償の治療院の話を出すと、マリネッタは戸惑った様子で私に聞き返してきた。

「治療院ですか?」
「はい。医者にかかることすらできない人のためにやりたいなと考えていて」
「なるほど、運営費はどうするつもりで?」
「支度金をそこに当てたいな。と考えていて」

 計画書をマリネッタに見せると、しばらく真剣な顔をしてそれを読んでいる。
 正直、カオリと違い私は自力でどうにかしないと、現状を打開することができないと考えていた。
 
「悪くないですね」
「あと、それとですね。孤児院というか児童施設を運営したいんです」
「やることが多いんじゃないですかね」

 マリネッタは、少し欲張りすぎではないかと苦笑いしている。
 
「診療所にやってきた子で不審な怪我があっても、親元に返すしかできないじゃないですか、それに、孤児の子だっているわけですし」
「そういう子達を保護したいと?」
「そうです。全員が全員を保護できるとは思ってません。ですが、見て見ぬふりもできません。所詮、綺麗事ですけど、辛い子供を少しでも減らしたいんです」

 マリネッタは、真剣に話を聞いてくれた。
 
「わかりました。今は仮設の診療所を作りましょう。孤児院は実は前々から神殿でも作りたいと考えていました」

 なんだか意外だった。本の中では孤児院や子供の保護施設を神殿が運営してはおらず。そういったことにあまり興味がないと思っていたのだ。
 
「孤児院はいくつもあって、神殿も作るのを少し躊躇していたんですけど、聖女様が言うならすんなりできると思いますよ」

 マリネッタはにっこりと笑って見せた。
 
「歴代の聖女様で、そういったことに支度金を使った人は一人もいませんでした」

 マリネッタの発言から少しは周囲から好感を持ってもらえたらいいな。と、私は思った。
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