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カスハラ
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そして、次の日。
私は用意されたドレスの豪勢さに言葉を失った。
白のシンプルなワンピースで充分なのに、これじゃあ、ウェディングドレスだ。
「いや、こんなの着たら贅沢しまくりの聖女だって思われるわよ」
「ぷ、プレゼントなんです。着てくれないと困ります」
ドレスを用意してくれた侍女は、やや食い気味だが、こんなもの着れるわけがない。
「お披露目に着るものじゃないわよ。これは、結婚式に着るものよ。と、とにかく着ないわよ。自分の結婚式ならともかく、シンプルなものにしてお願いだから」
私の訴えに、侍女はすんなりと受け入れてくれた。
そうこうしている間に、準備を終えると私は会場へと向かった。
「聖女アイオラ。入場」
掛け声と共にマリネッタと入場すると、冷たい視線がつきささってきた。
「あれが悪役聖女アイオラか」
密やかに話しているつもりだが、嫌でも聞こえてくる悪口に思わず笑いそうになった。
ちなみに、この国の王は玉座に座りうとうととしていた。
何をしているのだ。本当に。
「どうも、どうも、悪役聖女ですって言ってまわればいいかしら」
「あの、やめてください」
マリネッタが本気で止めるので私はそれをするのを諦めた。
やれやれと思っていたら、唐突にカオリが私の前に立ちはだかる。
「悪役聖女アイオラ。お前を告発する」
告発と言われても、私には思い当たるようなことはない。
この世界では少なくとも真面目に聖女らしいことをしていたと思う。
あと、おそらく王様に聞こえるように訴えているようだが。彼は白目を剥いて眠っているので意味がない。
「えっと、カオリ様、どういう意味でしょうか?」
言っている意味がわらなくて首を傾けると、カオリはそれを鼻で笑った。
「貴女は、治癒院で私腹を肥やしている。やっている事は素晴らしい事かもしれない。でも、国から出されているお金を好き勝手に使っているわ。なぜなら、作業上の効率の悪さが目立っていたわ。余計な人員を雇ったりしているのを見ました」
カオリが治癒院にいた理由はどうやら、私の揚げ足取りのためだったようだ。
人が努力して創り上げてきたものを、横から掻っ攫っていこうとするセコさがここまでくると清々しくすら見えてきた。
「そこで、治癒院の運営の委譲をアイオラからカオリ嬢へとしたいと僕は考えてます」
ドヤ顔で宣言するクロードに、私は何を言っているのかと思った。
やりたいなら勝手にやればいい。人がやっているものを当然のようになぜ奪っていこうとするのか理解ができなかった。
私は「はぁぁぁ」と、ロングピブラートを効かせたため息を吐いた。
「言いたい事はそれだけですか?」
私の問いかけに、カオリはドヤ顔でさらに続いた。
「いいえ、貴女はとても酷い女性です。クロード様が落馬事故を起こした時、治癒院にいたのにすぐに駆けつけませんでした。代わりに私が行きました」
そういえば、そんなことがあったな。と、思い出した。
そもそも、無関係のクロードのためになんで仕事の手を止めて様子を見にいかないとならないのだろうか。
お客様対応を求めているのか。
それは、今流行りのカスハラではないのか。
「君はなんて薄情なんだ」
薄情だと言われても、無関係の関係の人になんでそんな事を言われなくてはならないのか。
大体、たいした怪我でもないのに。
そして、次の日。
私は用意されたドレスの豪勢さに言葉を失った。
白のシンプルなワンピースで充分なのに、これじゃあ、ウェディングドレスだ。
「いや、こんなの着たら贅沢しまくりの聖女だって思われるわよ」
「ぷ、プレゼントなんです。着てくれないと困ります」
ドレスを用意してくれた侍女は、やや食い気味だが、こんなもの着れるわけがない。
「お披露目に着るものじゃないわよ。これは、結婚式に着るものよ。と、とにかく着ないわよ。自分の結婚式ならともかく、シンプルなものにしてお願いだから」
私の訴えに、侍女はすんなりと受け入れてくれた。
そうこうしている間に、準備を終えると私は会場へと向かった。
「聖女アイオラ。入場」
掛け声と共にマリネッタと入場すると、冷たい視線がつきささってきた。
「あれが悪役聖女アイオラか」
密やかに話しているつもりだが、嫌でも聞こえてくる悪口に思わず笑いそうになった。
ちなみに、この国の王は玉座に座りうとうととしていた。
何をしているのだ。本当に。
「どうも、どうも、悪役聖女ですって言ってまわればいいかしら」
「あの、やめてください」
マリネッタが本気で止めるので私はそれをするのを諦めた。
やれやれと思っていたら、唐突にカオリが私の前に立ちはだかる。
「悪役聖女アイオラ。お前を告発する」
告発と言われても、私には思い当たるようなことはない。
この世界では少なくとも真面目に聖女らしいことをしていたと思う。
あと、おそらく王様に聞こえるように訴えているようだが。彼は白目を剥いて眠っているので意味がない。
「えっと、カオリ様、どういう意味でしょうか?」
言っている意味がわらなくて首を傾けると、カオリはそれを鼻で笑った。
「貴女は、治癒院で私腹を肥やしている。やっている事は素晴らしい事かもしれない。でも、国から出されているお金を好き勝手に使っているわ。なぜなら、作業上の効率の悪さが目立っていたわ。余計な人員を雇ったりしているのを見ました」
カオリが治癒院にいた理由はどうやら、私の揚げ足取りのためだったようだ。
人が努力して創り上げてきたものを、横から掻っ攫っていこうとするセコさがここまでくると清々しくすら見えてきた。
「そこで、治癒院の運営の委譲をアイオラからカオリ嬢へとしたいと僕は考えてます」
ドヤ顔で宣言するクロードに、私は何を言っているのかと思った。
やりたいなら勝手にやればいい。人がやっているものを当然のようになぜ奪っていこうとするのか理解ができなかった。
私は「はぁぁぁ」と、ロングピブラートを効かせたため息を吐いた。
「言いたい事はそれだけですか?」
私の問いかけに、カオリはドヤ顔でさらに続いた。
「いいえ、貴女はとても酷い女性です。クロード様が落馬事故を起こした時、治癒院にいたのにすぐに駆けつけませんでした。代わりに私が行きました」
そういえば、そんなことがあったな。と、思い出した。
そもそも、無関係のクロードのためになんで仕事の手を止めて様子を見にいかないとならないのだろうか。
お客様対応を求めているのか。
それは、今流行りのカスハラではないのか。
「君はなんて薄情なんだ」
薄情だと言われても、無関係の関係の人になんでそんな事を言われなくてはならないのか。
大体、たいした怪我でもないのに。
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