俺だけのうさぎ

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 俺は、自信に満ち溢れていた。これなら、確実に恋人を作ることができるからだ。

「俺、俺に告白してきた人と付き合う。そうしたら、百告百フラれって言われなくなるだろ!」

 言いながら、なぜこの方法を試さなかったのだろう。と思った。
 そうしていれば、何度もフラれ続けるという恥をかく必要なんてなかったというのに。

 そもそも、俺に告白してくる異性がいるのかという問題には触れないでおこう。
 
「まあ、そうかもしれんが、フラれる可能性はあるぞ、バーニーのせいで」

 いい気分だったのに、ユステルの余計な一言で全てが台無しになってしまった。
 考えなかったわけではないが、その可能性は十分にある。
 今までフラれてきた理由がバーニー一択だからだ。
 ユステルが好きだからという理由でフラれた事はなかった。
 
「ああ、もう、うるさいな!黙れよ!」

 俺は思わずユステルの頭を叩いた。
 ユステルの背は高い。軽くジャンプしないと頭に手が届かないのだ。腹が立つ。腰の位置も高くて脚が長いのもわかる。
 本当にムカつく。俺はチビだし身体も貧弱だし、力はある方だが、それでも、やはり頼りには見えないみたいだ。
 叩かれたユステルは、「イテッ」と言いながらも痛そうな素振りは全く見せなかった。
 痛くないように加減したが、それでも、相手にされていないような感じがした。
 それがムカつく。
 そもそも、俺がフラれなかったらこんなにイラつくことなんてなかったのだ。
 そう思うと無性にバーニーに腹が立ってきた。

「俺、バーニーに文句言ってくる!」
「どんな文句言うつもりなんだよ」

 俺の唐突な発言にユステルは呆れていた。
 文句を言うにしても何を言えばいいのか、自分でもよくわからない。
 悪いところがないからだ。
 だって、俺が一方的にバーニーに腹を立てているだけなのだから。
 それはもう八つ当たりでしかない。

「俺よりモテるな!とか?」

 なんとも情けない文句ではないだろうか。言ってて恥ずかしい。バカじゃねぇの。と、自分でも思う。
 でも、文句を言いたくてしかたなかった。

「いや、俺に聞くなよ」

 ユステルが、軽くツッコミを入れると視界にバーニーが見えた。
 バーニーは、白銀の髪の毛に夕焼けのような赤い瞳をしていてすぐに見つけることができる。
 ユステルが「地味にイケメン」ならバーニーは、「誰が見ても超絶美形」になる。
 名前は、うさぎみたいに可愛いのに、見た目はなんだか神々しくて別の生き物のようだ。

 本当に羨ましい。身長5センチわけで欲しいし、育ちの良さから感じられる人柄の良さも分けて欲しい。

 ……悪いところがないのが本当に腹立たしい。
 いいやつだから余計にムカつくのだ。

「あ、バーニーだ!俺、行ってくる!」

 俺はバーニーに向かって走り出した。
 
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