恋の終わらせ方

毛蟹

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あの二人を振り切る形で、お会計を済ませてお店を飛び出してしまった。

「由寿」

私の名前を呼ぶのは高梨だ。

「これからどうする?」

質問は曖昧で私の答えに困る。
今から何をするのか問いかけているのか、あるいは、今後の二人の関係をどうするべきか。
正己への想いが消えた今は、高梨と一緒に居る事が自然だ。
だけど、それは、あまりにも調子の良いものではないだろうか。

「少しだけ話がしたい」

「いいよ。僕の部屋に来る?」

いつもの下心なんてない質問。
私はそこに行けば、今の心地いい曖昧な関係が崩れ去りそうで怖い。
だけど……。

「うん」

高梨は、いつものように私にココアを用意してくれた。

「ありがとう」

マグカップを手に取りお礼を言うと、高梨は私の隣に座った。

「尚くんのおかげで目が覚めた。ありがとう」

私は、真っ先にお礼を言った。もしも、あの場で彼が何も言わなかったら、モヤモヤを抱えながら正己と関係が続いていたと思う。

「何が?断ち切れたのは由寿が強かったからだよ」
「そんな事ない。尚くんが言ってくれなきゃ、私はずっと見て見ぬふりをしていた」
「じゃあ、そういうことにしようか」

私は聞きたいことだらけだ。だけど、それをどうやって言葉にしていいのかわからない。
一番聞きたい事を聞こう。

「あの、私の事好き?」

あまりにも自惚れた発言。だけど、言葉を飾ってもなんの意味もない。
ただ、高梨が私をどう思っているのか知りたい。

「好きじゃなかったらここまでしない。僕は本当は冷たい男なんだよ」
「そんな事ないわよ」
「どうだろう?わかるのは後々かもね」

高梨は含みのある言い方だが、私は彼の優しさを知っている。

「今はまだ、気持ちが上手に切り替えられない。だけど、私は尚くんのことを好きになると思う。待てる?」

私なりの誠意のある返事だ。
あの時は、好きな人がいるからと逃げてしまったけれど、今なら全力で彼の事を好きになれる気がする。

「待つのは慣れたからね。由寿の気が済むまで待つよ。だけど、『前提』のあるお付き合いだから、そのつもりで」

ちゃんとした『前提』のある付き合い。
だけど、高梨の口ぶりは仄暗い感じがして、私は首を傾けた。

「うん?」
「まだ、わかってないんだろうね」

そう言うなり、高梨は私の上にのしかかってきた。
突然の彼の行動に驚いて私は口をパクパクと動かす。

「っ!えっ、ちょっと」

「付き合ってるに準ずる態度を取るよ」

高梨は顔を近づけて囁いた。そして、唇に柔らかい感触がした。
チュッと音を立てて、彼は私に口付けをしたのだ。

「っつ~~!!」

「うわぁ、茹でタコみたい。合意はもらうけど襲われる覚悟はしといてね」

楽しげに笑う高梨の一言は、彼のクリーンなイメージを一気に崩すには十分な破壊力だった。


数ヶ月後。正己からの連絡はあれから一切なく。きっと、私が本気だと理解したのだろう。
食い下がらなかったら事が彼なりの友情だったのかもしれない。
そして、私と高梨の関係は相変わらず。

いつものように、彼の部屋に遊びに行くと、隣り合ってソファにすわるのだが、その距離が前よりも近い。

「尚くん」

「なぁに?」

私が高梨の名前を呼ぶとニッコリと笑った。

あれから、予定がなければ週末に会う事という約束をした。
もちろん、週末は予定がないので必然的に二人で会う事になるのだが。
私は彼の人間性を見誤っていたかもしれない。

「今、何かしようとしたでしょ?」

「何も」

そう言いつつも、彼は私の太ももの辺りを撫でている。完全なるセクハラだ。

「ちょっと!」

私が止めるように声をかけてもそれはやめない。
それどころか、スカートの中に手が潜り込んだ。

「うん」

高梨は素知らぬ顔だ。
その手はするりと私のショーツにふれて、慌てていると高梨の顔が近づいてきた。
ちゅっと音を立てて唇が触れ合うと、私は思わず目を閉じた。ぬるりと温かく濡れた舌が、中に入り込むと丁寧に歯列を舐めていく。
その蕩けるような口づけに私の頭は、熱が込み上げていくかのようにぼんやりとしていく。

「んっ」

されるがままに口づけを受け入れていると、呆気なく高梨に押し倒されてしまう。
この後どうなるのかは、想像できるし、少なからず期待はあるけれど、素直に認める事が出来ない程度には恥ずかしさがある。

「やっ」
「嫌だったら僕の部屋に来ないでしょ?」

高梨は何かのスイッチが入ったように、メガネを外すと、テーブルの上には乗せた。

「……」

否定できない私は何も言えなくて、沈黙しかできない。

「どのみちあんまり見えないから、恥ずかしがらなくても大丈夫だよ」

フォローになっているのか、なっていないのか判別がつきにくい一言。
いつの間にか、スカートもショーツも脱がされてしまう。
いつも思うのだが、彼の手付きは慣れているというか、こんな状況で服を脱がせられるのはなぜだろう。器用すぎて怖い。

「よく見えないから」

高梨は私の足を開くと、私の陰部に口づけを落とす。

「っ、ん」

濡れた熱い息。唇の感触に身体がビクリと跳ねる。

「っつ」

花芽にざらついた舌を絡めて、花弁に口づけをするように舐めあげる。唇で啄まれると電流で流されたような強烈な刺激。

「あっ」

普段の彼からは想像できない姿に、背徳的な興奮。拒否する事も出来るのに、私はされるがままに全てを受け入れる。
花弁は互いの体液が混ざり合い。泥濘を捏ね回したように、グチュグチュと音を立てる。
愛液を舐めとるように、花芽に深い口づけを繰り返されると、甘く痺れるような感覚。
それは次第に強くなり。

「あぁ、あぁっ!」

腰をしならせながら絶頂を迎えた。

「はぁ、はぁ」

頭が痛く真っ白なまま。息を整えていると、乱れた様子の全くない高梨がメガネをかけていた。

「気持ちよかった?」

事の後のため。いつもの爽やかな笑顔が、すけべ顔にしか見えない。
羞恥心に砲丸をぶん投げるような言葉に、私は思わず両手で顔を隠す。

「これじゃ、付き合ってると同じだね」

それが否定できなかった。

「付き合っていなかったらこんな事しないわよ!」

私が食い気味に叫ぶと、高梨は嬉しそうに笑った。

「じゃあ、もう、遠慮とかはいらないね」

遠慮していたのか。今のは何だったの?

これから先の事を考えると、何故か背筋がゾクリとした。
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みんなの感想(5件)

tente
2021.04.13 tente

屑ふたり、有る事無い事話して回りそうです。
それとも、一応は連絡をしてこなかった屑男が、屑女がそれをやらかした事に身勝手にも怒り、喧嘩が絶えない夫婦になるんですかね。

主人公達が悪縁を切り捨て、前を向けて良かったです。

解除
ひゅうが ちなつ

かつてのヒーローに執着し続けるヒロインが、そいつの正体にようやく気付いて突き放すまでの気持ちの揺れが良かった!!

その気持ちの変化を逃さずにきっちりヒロインを捕まえに行く真のヒーローがめっちゃ良き!!
このヒロインは、幸せになれるねぇ〜♡

解除
ねこセンサー
ネタバレ含む
2020.05.14 毛蟹

お読みくださりありがとうございました

由寿には、お似合いだと思います

解除

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