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私に対しての噂が収まってきているのを感じながら、気がついたら週末になっていた。
「凛子さん今週もお疲れ様でした」
いつもの流れのように柏木が挨拶をしてきた。
「柏木くん、お疲れ様でした。来週も頑張ろう」
会社の外で会うようになってから、仕事が終わり二人きりの時に話しかけてくるようになった気がする。
二言三言会話をして柏木は帰って行った。
進藤の件でかなり私を心配しているようだ。あれから、彼女は一度も出社していない。
「帰ろう」
私は帰支度を始める。今日は、たぶん水津が来ると思うから。
水津は帰宅したのか会社には既にいなかった。外に出ると冷たい風が私の身体を包み込んだ。
「凛子」
背後から名前を呼ばれた。振り返るとそこには、ご機嫌そうに笑う水津の姿があった。
「何か食べたい物ある?」
私のこの後の予定なんて無視して、彼は問いかけてきた。
自分と一緒に居てくれると信じて疑わない自信に溢れた表情に、私は彼の掌の上なのだと思い知らされる。
「とくにないかな。強いて言えば、身体に悪そうなものが食べたい」
「わかった。行こうか?」
どこにとは聞かれなかった。いく場所は決まっていたから。水津の部屋に着くと手早くピザなどを注文した。
「デリバリーって初めてなの」
「凛子って変なところで世間知らずだよね。こういうのをやってみるのも楽しいよ。クセになったら困るけどね」
私がそう言うと水津は苦笑いした。初めて食べたデリバリーのピザは美味しかった。
「意外と簡単なのね。今度頼んでみようかしら」
「いいんじゃない。疲れた時とか」
食事を終えてソファに座ると、心なしか隣にいる水津との距離が近い気がした。
腰に腕を回されて抱き寄せられると顔が近づいた。唇が触れそうな距離になり私は目を閉じる。
心臓が速く脈打ち始めるのがわかる。極度の緊張と期待で、全身の血液が沸騰しそうなくらいに身体が熱くなる。
そして、濡れた水津の唇が私の頬に触れた。
「あ……」
期待はずれの口づけに私は少し落胆していた。
「嫌がることはしたくないから」
水津は少しだけ寂しそうに笑った。唇が口づけをしないで欲しい。と、言ったのは私自身だ。
律儀にそれを守る彼がなんだかおかしかった。まるで、私に嫌われるのが怖くて顔色を見ているみたいに思えて。
「そうね」
「……いつかは、許してくれるの?」
探るような水津の目が怖くて見れなかった。
「もう、俺の顔色を見なくていいよ。別にセックスしたいから一緒に居るわけじゃない」
水津は言いにくそうに口を開く。確かに私達は行為自体をしていない。ただ、会って食事をしてのんびりと過ごして、まるで、女友達と過ごすような気軽さでずっと一緒にいる。
楽しい反面、最初に出された条件とは違う状況になっていて、戸惑っているのも事実だ。
たまに、愛されていると錯覚しそうになる。いや、彼は確かに『今は』私の事を好きなのかもしれない。
水津は好きでいる限りはきっと誠実でいてくれるだろう。そうではなくなったら、進藤の時のように容赦なく私を切り捨てるだろう。
「俺は、先のことを考えているよ」
「……うん。わかってる」
曖昧な返事をすると、水津は話を変えようと「そうだ」と何かを思いついたように話し出した。
「暖かくなったら一緒に旅行にいこうよ。今は寒くていけないけど、計画立てましょうよ」
水津の先を見据える言葉に私は瞬きした。
「ライブとかはチケット取りますよ。どうかな?」
水津が色々と勧めてくれるけれど、どうしたらいいのかわからなかった。
全部、自分にとって知らない事ばかりだから。
「ライブ行ったことないから」
ライブに興味はあったけど、勇気がなくて結局一度も私はそういう場に行ったことはなかった。
いつも、私一人では何もできないって思い込んでいた。
「その、彼氏とは?」
「凛子さん今週もお疲れ様でした」
いつもの流れのように柏木が挨拶をしてきた。
「柏木くん、お疲れ様でした。来週も頑張ろう」
会社の外で会うようになってから、仕事が終わり二人きりの時に話しかけてくるようになった気がする。
二言三言会話をして柏木は帰って行った。
進藤の件でかなり私を心配しているようだ。あれから、彼女は一度も出社していない。
「帰ろう」
私は帰支度を始める。今日は、たぶん水津が来ると思うから。
水津は帰宅したのか会社には既にいなかった。外に出ると冷たい風が私の身体を包み込んだ。
「凛子」
背後から名前を呼ばれた。振り返るとそこには、ご機嫌そうに笑う水津の姿があった。
「何か食べたい物ある?」
私のこの後の予定なんて無視して、彼は問いかけてきた。
自分と一緒に居てくれると信じて疑わない自信に溢れた表情に、私は彼の掌の上なのだと思い知らされる。
「とくにないかな。強いて言えば、身体に悪そうなものが食べたい」
「わかった。行こうか?」
どこにとは聞かれなかった。いく場所は決まっていたから。水津の部屋に着くと手早くピザなどを注文した。
「デリバリーって初めてなの」
「凛子って変なところで世間知らずだよね。こういうのをやってみるのも楽しいよ。クセになったら困るけどね」
私がそう言うと水津は苦笑いした。初めて食べたデリバリーのピザは美味しかった。
「意外と簡単なのね。今度頼んでみようかしら」
「いいんじゃない。疲れた時とか」
食事を終えてソファに座ると、心なしか隣にいる水津との距離が近い気がした。
腰に腕を回されて抱き寄せられると顔が近づいた。唇が触れそうな距離になり私は目を閉じる。
心臓が速く脈打ち始めるのがわかる。極度の緊張と期待で、全身の血液が沸騰しそうなくらいに身体が熱くなる。
そして、濡れた水津の唇が私の頬に触れた。
「あ……」
期待はずれの口づけに私は少し落胆していた。
「嫌がることはしたくないから」
水津は少しだけ寂しそうに笑った。唇が口づけをしないで欲しい。と、言ったのは私自身だ。
律儀にそれを守る彼がなんだかおかしかった。まるで、私に嫌われるのが怖くて顔色を見ているみたいに思えて。
「そうね」
「……いつかは、許してくれるの?」
探るような水津の目が怖くて見れなかった。
「もう、俺の顔色を見なくていいよ。別にセックスしたいから一緒に居るわけじゃない」
水津は言いにくそうに口を開く。確かに私達は行為自体をしていない。ただ、会って食事をしてのんびりと過ごして、まるで、女友達と過ごすような気軽さでずっと一緒にいる。
楽しい反面、最初に出された条件とは違う状況になっていて、戸惑っているのも事実だ。
たまに、愛されていると錯覚しそうになる。いや、彼は確かに『今は』私の事を好きなのかもしれない。
水津は好きでいる限りはきっと誠実でいてくれるだろう。そうではなくなったら、進藤の時のように容赦なく私を切り捨てるだろう。
「俺は、先のことを考えているよ」
「……うん。わかってる」
曖昧な返事をすると、水津は話を変えようと「そうだ」と何かを思いついたように話し出した。
「暖かくなったら一緒に旅行にいこうよ。今は寒くていけないけど、計画立てましょうよ」
水津の先を見据える言葉に私は瞬きした。
「ライブとかはチケット取りますよ。どうかな?」
水津が色々と勧めてくれるけれど、どうしたらいいのかわからなかった。
全部、自分にとって知らない事ばかりだから。
「ライブ行ったことないから」
ライブに興味はあったけど、勇気がなくて結局一度も私はそういう場に行ったことはなかった。
いつも、私一人では何もできないって思い込んでいた。
「その、彼氏とは?」
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