婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟

文字の大きさ
19 / 22

19

しおりを挟む
「構わないぞ。申してみなさい……」

 皇帝陛下はスピカに発言を許可した。

「お待ちください……」

 あたふたしたスティーブンが、皇帝陛下に声をかけた。

「どうした、何かあるのか?」

「ええっ、それが……」


「ねえ、スティーブン?どうしてスピカの発言を止める権利が、あなたにあるのかしら?」

「アンナ、君は黙っていろ!」

「スティーブン、後ろめたいことがあるのか?」

 皇帝陛下はスティーブンを明らかに怪しんでいた。

「いいえ、そんなことは……」

「ならば、スピカの発言を聞こうじゃないか……」

「それだと真実が捻じ曲がる可能性が……」


「いいから話してみなさい!」

 皇帝陛下の許可を得て、スピカは話を始めた。

「私が……結論から言うと、私が悪いんです……」

「君が悪いとは、どういうことかね?」

「実は……アンナの婚約破棄に関わったのは、この私なんですっ!!!」

 その背景にスティーブンがいることはなんとなく分かった。スピカに全ての責任を押し付けて、というわけにはいかないだろう。もちろん、この女も裁かれることにはなりそうだが……。

「アンナが学院の試験で不正をしたと……告発したんです。もちろん、嘘だったんです!」

 私が学院を追放された理由……納得出来た。

「全部、スティーブンに指図されたんです。ご存じの通り、スティーブンはアンナと婚約していました。でも、スティーブンはアンナに飽きてしまったようで……こんな私を拾ってくださったんです。公爵家とは言え、没落気味であったから、同じ令嬢たちの中でも扱いが悪かった。そんな私をスティーブンは受け入れてくれました。スティーブンは新たに私のことを愛してくれるようになりました……」

 なるほど、そういうことだったのか……。

「スティーブンがアンナとの関係に悩んでいることを悟りました。婚約破棄が成立したら……私がスティーブンと婚約できると思ったんです。だから、アンナをスティーブンから遠ざけようと思いました……」

 スピカの父親は没落したとはいえ公爵家の出身であり、学院の上層部と深いつながりがあったとのこと。共謀して私を学院追放に追いやったそうだ。

「全て上手くいったと思いました……」

 スピカの発言にスティーブンが反論した。

「だから、私がアンナと別れたいとは思っていなかったんだ!!!」

 スティーブンは弁明した。

「私は……一人で物思いに耽ることがある……アンナのことをずっと考えていた。婚約破棄だなんて、とんでもないんだ!!!」

 スティーブンの発言が正しいのか、間違っているのか。どちらにしても、私だけではなくて、この筋書きに関わった人間みんなが不幸になりそうな空気を感じた。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

側近という名の愛人はいりません。というか、そんな婚約者もいりません。

gacchi(がっち)
恋愛
十歳の時にお見合いで婚約することになった侯爵家のディアナとエラルド。一人娘のディアナのところにエラルドが婿入りする予定となっていたが、エラルドは領主になるための勉強は嫌だと逃げ出してしまった。仕方なく、ディアナが女侯爵となることに。五年後、学園で久しぶりに再会したエラルドは、幼馴染の令嬢三人を連れていた。あまりの距離の近さに友人らしい付き合い方をお願いするが、一向に直す気配はない。卒業する学年になって、いい加減にしてほしいと注意したディアナに、エラルドは令嬢三人を連れて婿入りする気だと言った。

“ざまぁ” をします……。だけど、思っていたのと何だか違う

棚から現ナマ
恋愛
いままで虐げられてきたから “ざまぁ” をします……。だけど、思っていたのと何だか違う? 侯爵令嬢のアイリス=ハーナンは、成人を祝うパーティー会場の中央で、私から全てを奪ってきた両親と妹を相手に “ざまぁ” を行っていた。私の幼馴染である王子様に協力してもらってね! アーネスト王子、私の恋人のフリをよろしくね! 恋人のフリよ、フリ。フリって言っているでしょう! ちょっと近すぎるわよ。肩を抱かないでいいし、腰を抱き寄せないでいいから。抱きしめないでいいってば。だからフリって言っているじゃない。何で皆の前でプロポーズなんかするのよっ!! 頑張って “ざまぁ” しようとしているのに、何故か違う方向に話が行ってしまう、ハッピーエンドなお話。 他サイトにも投稿しています。

あなたがわたしを本気で愛せない理由は知っていましたが、まさかここまでとは思っていませんでした。

ふまさ
恋愛
「……き、きみのこと、嫌いになったわけじゃないんだ」  オーブリーが申し訳なさそうに切り出すと、待ってましたと言わんばかりに、マルヴィナが言葉を繋ぎはじめた。 「オーブリー様は、決してミラベル様を嫌っているわけではありません。それだけは、誤解なきよう」  ミラベルが、当然のように頭に大量の疑問符を浮かべる。けれど、ミラベルが待ったをかける暇を与えず、オーブリーが勢いのまま、続ける。 「そう、そうなんだ。だから、きみとの婚約を解消する気はないし、結婚する意思は変わらない。ただ、その……」 「……婚約を解消? なにを言っているの?」 「いや、だから。婚約を解消する気はなくて……っ」  オーブリーは一呼吸置いてから、意を決したように、マルヴィナの肩を抱き寄せた。 「子爵令嬢のマルヴィナ嬢を、あ、愛人としてぼくの傍に置くことを許してほしい」  ミラベルが愕然としたように、目を見開く。なんの冗談。口にしたいのに、声が出なかった。

溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。

ふまさ
恋愛
 いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。 「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」 「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」  ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。  ──対して。  傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。

婚約破棄ですか?勿論お受けします。

アズやっこ
恋愛
私は婚約者が嫌い。 そんな婚約者が女性と一緒に待ち合わせ場所に来た。 婚約破棄するとようやく言ってくれたわ! 慰謝料?そんなのいらないわよ。 それより早く婚約破棄しましょう。    ❈ 作者独自の世界観です。

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)

蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。 聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。 愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。 いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。 ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。 それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。 心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。

婚約解消したら後悔しました

せいめ
恋愛
 別に好きな人ができた私は、幼い頃からの婚約者と婚約解消した。  婚約解消したことで、ずっと後悔し続ける令息の話。  ご都合主義です。ゆるい設定です。  誤字脱字お許しください。  

処理中です...