気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟

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「まあ、俺にはどっちでもいいけどな!!!」

どっちでもいいわけない……と言うのが本音だった。こう言う問題はなかなかセンシティブであり、簡単に決まる問題ではないのだ。だがしかし、ボリス様がいる手前、このまま仲たがいしている状況はよくなかった。だからこそ、形だけでも友好を演出する必要があると思って、私も手を差し出した。

「そうそう、これからみんな仲良く!!!」

「よろしくお願いしますわ!!!」

私とエリス……彼女の視線はかなり好戦的だった。


********************************************


そして、私が家に帰ると、またどこから聞きつけたのかは分からないものの、お父様が怒りに燃えていた。

「私の言いたいことが分かるかね???」

「それは……婚約のことでございましょうか???」

「それ以外にお前と話すことなどないだろう!!!」

すごい剣幕だった。まあ、彼の気持ちを推し量れば理解できる。私は単なる小間使いに過ぎないのだ。自分の地位を守るためのね。自分の家が栄えれば、確かに自分にもメリットはある。でも、大したものじゃないから。

「エリス……あの女とも婚約するのか???」

「どうも……そのような流れになっているようですね……」

私は事実に基づいて話すしかなかった。お父様はすぐさま溜息をついた。

「お前が……女として全く魅力がないから……ボリス殿はそれを嘆いているのか……」

正直言い返したい気分にもなったが、結局何をやっても無駄なのだ。だから……私は黙って嵐が過ぎ去るのを待つより他になかった。

「まあ、いい。後は私がなんとかするから。お前は精々婚約破棄されないように頑張れ……」

それだけを伝えて、お父様は部屋に戻った。


翌日、ボリス様に会うと、

「相変わらず不細工だな!!!」

と言われ、そして、

「エリスは可愛い!!!」

と言った。

「今日もいいお天気で……」

返す言葉がなかったので、適当に社交辞令を並べて置いた。

「ああ、そう言えば婚約披露宴の件だが……お前の父上殿は何か言っていたか???」

「ええ、ちょうど来週でございますよね」

「そうだ、忘れるなよ!!!」

いつになくテンションが高くて……要するに、私との婚約よりか、エリスとの婚約を楽しみにしているんだと思った。


「おいおい、どうしたんだ???元気がないじゃないか」

ボリス様が普段と違うことを言った……いやいや、これも単なる挨拶なのだと思って、

「いいえ、大丈夫です」

と答え、目の前から去ることにした。
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