気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか

岡暁舟

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6 ボリス目線

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俺の知っているナターシャ……そう言えば、随分と雰囲気が変わって来た感じがするな……。

最初に会った頃は、それこそ人形と宝石を詰め合わせたような輝きと可憐さがあった。でも、それが今となってはだんだん不細工になりつつある。

俺が不細工と罵れば、彼女は心を入れ替えるんじゃないかと期待していたわけなのだが、それはあまり意味がなかったようだ。

どうして???そんなものだろうか。彼女は……ああ見えても非常に脆いのだろうか???

それとも……。

「失礼いたします!!!」

「……入り給え」

「はあっ、ボリス様。来週の披露宴の件でございますが……」

「ああ、その件だったら、父さんに相談してくれないか。俺には正直よく分からん。だいたい、そんな体裁を見繕ったって、結局は意味ないじゃん」

「はあっ……承知いたしました……」

俺は侍従を直ぐに帰した。思考をこのままストップさせることができなかったから。

「ボリスよ、自分のことは自分で決めなさい……」

「父さんまで……余計なご指摘は不要です……」

俺は確かめたかった。どうして、ナターシャがこれほど変わってしまったのか。その原因は何か。


「ボリス様!!!」

可愛い小娘……例えるならばエリスのような女はいくらでもいるんだ。彼女らの相手をするのは楽なんだ。美しい顔をそのまま褒めてさえいれば、単純に有頂天になる。それだけで解決できるものだから。

「なんだ、エリスか。どうやって家に来たんだ???」

「ボリス様の家なんて、最初から突き止めておりますわよ。探りを入れるのは、私の家業みたいなもんですから」

「お前はスパイか何かか???」

「さあ、どうでしょう。ああ、でも気を悪くしないでくださいね。そういうタイプの人間も時には役に立つってもんですから」

「そうかねえ……」

なんか半信半疑だった。というか、エリスのことをどこまで信じていいのか。第一印象が可愛い、だったからつい本音を吐露してしまったが……振り返ってみるとまずかったのか???

こいつはこいつで、何か狂ってるみたいだから……。

「ねえ、ボリス様。ナターシャとの関係は結局どうするんですか???」

エリスはよく迫って来た。

「その件については、これからもっと考えないといけないな……」

「考えるですって???でもね、最初から決まってるんじゃないですか???」

「さあ、俺には分からんさ」

あしらおうとすると、彼女は捨てられたくないのか、

「わかりましたよおおっ」

と言って、静かに甘えてくる。まあ、その点は悪くないってところか……。
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