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プロローグ
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「サトウアリサ!前に出なさい!」
観衆が騒いでいる。私のことを見ている。囚人服なんて今まで着たことがないものだから、いくら世間体を気にしないとはいえ、さすがに恥ずかしいから見ないで、と思わず叫びたくなる。でも、それはきっと無理なのだ。
「あれが偽物の聖女として名高いサトウアリサか・・・見るからに悪い顔つきだな!」
近くに居合わせた観衆の1人・・・大柄で毛むくじゃらな男がそう言った。いや、どう見てもあなた、山賊か何かでしょう。あなたよりも悪い顔つきでないことは分かるんだけど・・・そんなことを考える余裕がまだあった。
知っている。この後私は裁判にかけられることを。そして・・・恐らくは死刑宣告を受けるのだ。なぜかって、それは私が偽聖女であるからだそうだ。そもそも、私自身、自分を聖女と思っていないし、勝手に祭り上げたのは王族や民衆の方ではないかしら、なんて思ってしまう。要するに、私は無実なのだ。自分から「私は聖女ですよ」なんて言っていない、第三者が私を勝手に聖女認定したことから、この悲劇は始まっているのだ。
「まあまあ、みなさん。アリサさんにはアリサさんなりの言い分があるのでしょうから、それを聞いて差し上げましょう。我が国建国の精神、民主主義に則り公平な裁判を受ける権利は保証しないといけませんからね!」
そして、正式に聖女と認められた私の現世の知人(?)であるオオミカナエが声を発する。すると、自然と民衆から拍手が湧き上がる。
「さすがは私たちが認めた聖女様だ!死刑レベルの罪人だというのに、そんな悪人にまで手を差し伸べようとしていらっしゃるのだから!」
「いいえ、これは選ばれし聖女として当然のことだと思いますわ!良民であろうと、悪人であろうと差別することなく接するのが私の役割でございますからね!」
こんな感じでオオミカナエの株はどんどん上がっていくこととなり、逆説的に私の株はどんどん下がっていくこととなった。ああ、せっかく異世界にやってきて新しい素敵な生活が送れると思っていた矢先のこと、こんな展開になると誰が想像しただろうか。今更何を言っても遅いけどね。
「アリサさん?頑張ってくださいね?」
勝利を確信しているオオミカナエに勝つことはないと確信した。ものすごく涼しい顔をしており、現世の時と同じく、彼女の顔を見ていると段々腹立たしくなってきた。それにしても・・・振り返ってみれば異世界にやってくるということ自体が不思議であり、せっかく異世界に足を踏み入れたのはいいが、結果的にこうして死刑になってしまうとしたら、この後は一体どうなってしまうのだろうか。やっぱり、この異世界は夢でしたってことになって現世に戻ることとなるのか、あるいは更に異世界への転生を繰り返すこととなるのか・・・現世に戻っても希望は何もないから可能ならば更に転生をしたいと思った。まあ、全てが神様の裁量によるところだから、私に何も決める権利はないんだけどね。
「サトウアリサ、あなたの罪状は非常に重たいと私は考えている・・・」
私が理想とした少女漫画の王子様・・・第一王子であられるロイド様が今回の裁判の責任者である。聖女としてやって来た私を崇拝し、婚約の話まで突き進んだというのに。今は私に死刑を宣告する立場になっているのだ。
「聖女という立場を偽造し、更には真の聖女である・・・ここに控えるオオミカナエを罵倒し更には闇に葬ろうと画策したことは明白であり、聖女を精神的な支柱とする我が国そのものを冒涜しているに等しい行為であり、これは万死に値するものと判断する!」
だから、私が聖女かどうかは正直自分でも分からないけど、勝手にそういうことにしておいて、実際は他に聖女がいました、更にはその聖女の発言だけ信じて、あろうことか私がその聖女を亡き者にしようと画策したとか、そんなデタラメを信じているあなたが一番ダメなんだって!そのうち、この世界は崩壊するんじゃない?なんて思ってしまう。まあ、どう足掻いても死刑という運命を避けることは出来ないだろうから、それはもう受け入れるけど、もう言葉がないんだよね。あまりにもお粗末というか、そんな感じかしら。
「アリサよ、何か言いたいことはあるか?」
私と一緒に微笑んでくれたロイド様が、この時もまた、私のことを真剣に見つめている。ロイド様・・・私は言葉ではなくてその眼差しに問いかけた。本当はこんな話、全てデタラメであることだと分かっているのではないかしら。私なんて平凡な女だから・・・ひとまずは私を聖女ってことにして、と思っていたんだけど、後から出現したオオミカナエって女があまりにも美しく理想的な聖女だっと思ったものだから、私のことを捨てて、結果的にオオミカナエを聖女ということにしたのでしょう。
「王子様を気安く睨みつけるな!」
観衆の1人が叫んだ。そうね、私みたいな罪人が気安く王子様を見つめるなんて、不敬な話よね。でもね、これが偽りのない事実だから。私よりも美しく意地の悪いオオミカナエの方が、確かにこの世界では上手く聖女として立ち振る舞うことが出来るでしょう。
結局、私は何も語らなかった。口で語ることなんて、何もなかったんだ。それでいい、もう何も考えていなかった。後は潔く死刑判決を受けるだけ・・・そう思っていた。
「ロイド様?彼女の名誉にかけて、これ以上辱めを受けさせる必要はないでしょう」
オオミカナエが締めくくる。ロイド様は頷いた。
10分後、私に死刑宣告が下った。民衆は歓喜した。王族や市民を欺いた女の公開処刑・・・確かに見世物としては悪くない。転生してもこんな人生になってしまう運の無さをただ嘆いていた。
執行人が数人、私の前にやってきた。執行の方法として銃殺と首吊りを選択することができて、私は直ぐに死ぬことが出来るであろう、銃殺を選択した。執行人が直ちに銃口を私に向ける。歓声が高まる。最終的に発砲の許可を出したのはロイド様だった。
サトウアリサ、絶命。享年20。あまりにも短い人生だった。
発砲の音が何回も脳内で再生された。私は既に死んでいる、死んでいると何度も言い聞かせた。でも、なんだか意識があるような気がする。重力を感じる。鳥の囀りと馬の足音が聞こえる。
あれ、そんなおかしな話があるかしら?私、もしかして死んでいない?
「お前の命は私がもらった・・・お前は今日から私の奴隷だ・・・」
声とは裏腹に貧相な顔立ちの男・・・不自由なこの身体をどうやらこの男が運んでいるようだった。あれ、そんなことあるのかしら。ひょっとして、死んでいないのか・・・。
これは偽聖女として処刑されたはずの転生女が生きる物語である。
観衆が騒いでいる。私のことを見ている。囚人服なんて今まで着たことがないものだから、いくら世間体を気にしないとはいえ、さすがに恥ずかしいから見ないで、と思わず叫びたくなる。でも、それはきっと無理なのだ。
「あれが偽物の聖女として名高いサトウアリサか・・・見るからに悪い顔つきだな!」
近くに居合わせた観衆の1人・・・大柄で毛むくじゃらな男がそう言った。いや、どう見てもあなた、山賊か何かでしょう。あなたよりも悪い顔つきでないことは分かるんだけど・・・そんなことを考える余裕がまだあった。
知っている。この後私は裁判にかけられることを。そして・・・恐らくは死刑宣告を受けるのだ。なぜかって、それは私が偽聖女であるからだそうだ。そもそも、私自身、自分を聖女と思っていないし、勝手に祭り上げたのは王族や民衆の方ではないかしら、なんて思ってしまう。要するに、私は無実なのだ。自分から「私は聖女ですよ」なんて言っていない、第三者が私を勝手に聖女認定したことから、この悲劇は始まっているのだ。
「まあまあ、みなさん。アリサさんにはアリサさんなりの言い分があるのでしょうから、それを聞いて差し上げましょう。我が国建国の精神、民主主義に則り公平な裁判を受ける権利は保証しないといけませんからね!」
そして、正式に聖女と認められた私の現世の知人(?)であるオオミカナエが声を発する。すると、自然と民衆から拍手が湧き上がる。
「さすがは私たちが認めた聖女様だ!死刑レベルの罪人だというのに、そんな悪人にまで手を差し伸べようとしていらっしゃるのだから!」
「いいえ、これは選ばれし聖女として当然のことだと思いますわ!良民であろうと、悪人であろうと差別することなく接するのが私の役割でございますからね!」
こんな感じでオオミカナエの株はどんどん上がっていくこととなり、逆説的に私の株はどんどん下がっていくこととなった。ああ、せっかく異世界にやってきて新しい素敵な生活が送れると思っていた矢先のこと、こんな展開になると誰が想像しただろうか。今更何を言っても遅いけどね。
「アリサさん?頑張ってくださいね?」
勝利を確信しているオオミカナエに勝つことはないと確信した。ものすごく涼しい顔をしており、現世の時と同じく、彼女の顔を見ていると段々腹立たしくなってきた。それにしても・・・振り返ってみれば異世界にやってくるということ自体が不思議であり、せっかく異世界に足を踏み入れたのはいいが、結果的にこうして死刑になってしまうとしたら、この後は一体どうなってしまうのだろうか。やっぱり、この異世界は夢でしたってことになって現世に戻ることとなるのか、あるいは更に異世界への転生を繰り返すこととなるのか・・・現世に戻っても希望は何もないから可能ならば更に転生をしたいと思った。まあ、全てが神様の裁量によるところだから、私に何も決める権利はないんだけどね。
「サトウアリサ、あなたの罪状は非常に重たいと私は考えている・・・」
私が理想とした少女漫画の王子様・・・第一王子であられるロイド様が今回の裁判の責任者である。聖女としてやって来た私を崇拝し、婚約の話まで突き進んだというのに。今は私に死刑を宣告する立場になっているのだ。
「聖女という立場を偽造し、更には真の聖女である・・・ここに控えるオオミカナエを罵倒し更には闇に葬ろうと画策したことは明白であり、聖女を精神的な支柱とする我が国そのものを冒涜しているに等しい行為であり、これは万死に値するものと判断する!」
だから、私が聖女かどうかは正直自分でも分からないけど、勝手にそういうことにしておいて、実際は他に聖女がいました、更にはその聖女の発言だけ信じて、あろうことか私がその聖女を亡き者にしようと画策したとか、そんなデタラメを信じているあなたが一番ダメなんだって!そのうち、この世界は崩壊するんじゃない?なんて思ってしまう。まあ、どう足掻いても死刑という運命を避けることは出来ないだろうから、それはもう受け入れるけど、もう言葉がないんだよね。あまりにもお粗末というか、そんな感じかしら。
「アリサよ、何か言いたいことはあるか?」
私と一緒に微笑んでくれたロイド様が、この時もまた、私のことを真剣に見つめている。ロイド様・・・私は言葉ではなくてその眼差しに問いかけた。本当はこんな話、全てデタラメであることだと分かっているのではないかしら。私なんて平凡な女だから・・・ひとまずは私を聖女ってことにして、と思っていたんだけど、後から出現したオオミカナエって女があまりにも美しく理想的な聖女だっと思ったものだから、私のことを捨てて、結果的にオオミカナエを聖女ということにしたのでしょう。
「王子様を気安く睨みつけるな!」
観衆の1人が叫んだ。そうね、私みたいな罪人が気安く王子様を見つめるなんて、不敬な話よね。でもね、これが偽りのない事実だから。私よりも美しく意地の悪いオオミカナエの方が、確かにこの世界では上手く聖女として立ち振る舞うことが出来るでしょう。
結局、私は何も語らなかった。口で語ることなんて、何もなかったんだ。それでいい、もう何も考えていなかった。後は潔く死刑判決を受けるだけ・・・そう思っていた。
「ロイド様?彼女の名誉にかけて、これ以上辱めを受けさせる必要はないでしょう」
オオミカナエが締めくくる。ロイド様は頷いた。
10分後、私に死刑宣告が下った。民衆は歓喜した。王族や市民を欺いた女の公開処刑・・・確かに見世物としては悪くない。転生してもこんな人生になってしまう運の無さをただ嘆いていた。
執行人が数人、私の前にやってきた。執行の方法として銃殺と首吊りを選択することができて、私は直ぐに死ぬことが出来るであろう、銃殺を選択した。執行人が直ちに銃口を私に向ける。歓声が高まる。最終的に発砲の許可を出したのはロイド様だった。
サトウアリサ、絶命。享年20。あまりにも短い人生だった。
発砲の音が何回も脳内で再生された。私は既に死んでいる、死んでいると何度も言い聞かせた。でも、なんだか意識があるような気がする。重力を感じる。鳥の囀りと馬の足音が聞こえる。
あれ、そんなおかしな話があるかしら?私、もしかして死んでいない?
「お前の命は私がもらった・・・お前は今日から私の奴隷だ・・・」
声とは裏腹に貧相な顔立ちの男・・・不自由なこの身体をどうやらこの男が運んでいるようだった。あれ、そんなことあるのかしら。ひょっとして、死んでいないのか・・・。
これは偽聖女として処刑されたはずの転生女が生きる物語である。
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